Encounter 4
ラクスの件から一日経った翌日、トール、ミリアリア、サイ、カズイの四人は食堂にいた。
フレイは昨日の事もあってか、食堂には行きたくないとベットで寝てしまった。
ミリアリアはそんなフレイに少々呆れながらも、トール達と一緒に出て行ったのだった。
「何かキラ最近変わったよな…」
トールがポツリと漏らす。
「うん…何か明るくなったかな」
カズイもトールの言葉に最近のキラを思い出す。
「それって…やっぱりあの子が来てからだよな。あのコーディネイターの女の子が来てから何となくだけど変わったよな」
サイも思う所があるらしく、頷く。
「…やっぱりコーディネイター同士だから気楽に話せるんじゃないのかな……僕達全員ナチュラルだし」
「でも、俺達は三年間もずっと一緒で友達だったんだぞ!」
「そうよ。それにキラはナチュラルとかコーディネイターとかで人を判断する人じゃないのは知ってるでしょ!」
カズイの言葉にトールとミリアリアは反対する。
正面に座る二人に一斉に言われてカズイは思わず俯いてしまう。
「けど、カズイの言う事も外れてはいないと俺は思うな」
カズイの隣に座るサイが、二人の意見に対し冷静な判断を下す。
「サイ…」
トールが困惑気に正面にいるサイを見る。
「ヘリオポリスにいた3年間俺達はキラと友達だった。それは事実だし、今もそうだ。だけど、ココ最近のキラの表情や雰囲気は…正直言って俺は初めて見た」
サイは今までの自分が見てきたキラを思い出しながら自分の思いを口にする。
「だからと言って、それが別に悪い事だとは俺は思わないけど。幾ら友達だからといっても何もかも知っているという事はないだろう?」
サイは軽く方を撫で下ろしながら明るい口調で言う。
「まぁ…そうよね。友達だからって私もサイやカズイの全ては知らないし、トールの事も何でも知っているとは言い切れないし」
ミリアリアも笑いながら納得する。
「それでも俺はキラの友人としてはショックかな。今まで一番仲が良いって思ってた俺でもあんなに嬉しそうに笑うキラを見せ付けられたら…正直あんまり面白くない」
「トール…その台詞、好きな子の違う一面を他人から見せられたのに嫉妬する人みたいよ」
トールの言い分にミリアリアはにっこりと笑顔で言い返す。
笑顔に裏にとてつもない迫力を感じたトールは冷や汗を流しながら「そんな事思ってないから」と一生懸命弁解するが「信じられないわ」というミリアリアの無情の声に必死に宥めに入る。
目の前で夫婦漫才を繰り広げる二人を暫く見ていたカズイは、目線を隣にいるサイに向ける。
「何だ?」
カズイの視線に気付いたサイもトールとミリアリアから視線をカズイに移す。
「…僕はキラの凄さを改めて思い知ったんだ」
カズイはサイに聞こえる程度の小さな声で呟く。
目の前にいるトールとミリアリアは今も互いに言い合っているので、どうやらカズイの声は聞こえていないらしい。
「正直、やっぱりコーディネイターとナチュラルには差があると思った」
カズイは自分の気持ちをポツリポツリと話す。
「どういう事なんだ?」
サイはカズイの声を聞きながら問う。
「昨日、二人が食堂を出て行った後、あの女の子の持っていたピンクのロボットが壊れちゃったんだ。…多分、フレイが机にぶつけた時に」
「そうだったのか!?」
サイは改めてしる事実に驚きを隠せない。
「うん。で、その時僕とトールとミリィで何とか直せないかなって話をしたんだけど、あの機械の構造って傍から見ても僕達学生で簡単に直せる代物じゃないって意見になったんだけど…」
「キラが直したのか」
カズイの言葉をサイは汲み取りカズイに確認する。
「キラ、パソコン持ってきて凄い速さでキーを叩いてプログラムのエラーとかあっという間に直したんだ。しかもあの女の子と話しながら…画面も正直言って今まで見たことも無いくらい早くて…いつもキラの入力や解析は早いと思ってたけど……あれはキラにとったらとても遅いだったんじゃないかな」
「どうしてキラが遅い動作をしていた何て思いつくんだ?」
サイの疑問にカズイは俯き、テーブルに視線を向けるとおずおずと答える。
「僕達がいたからだと思うんだ。キラはもしかして僕達がいる前だから…その上手く言えないんだけど、距離を置かれるかもしれないってキラは思ったんじゃないのかな」
「カズイもそう思ってったんだ」
正面から声をかけられ、カズイはハッと顔を上げると、いつの間にか言い争いを止めていたトールとミリアリアが自分を見ていた。
「…っ、ごめん」
カズイは思わず謝る。
「別に謝る事なんてないだろう。それに俺だってカズイとちょっと同じ事思ったし」
「え!?」
トールの言葉にカズイは驚く。
「昨日のキラを見ていたら、正直今までのキラって何処か一線引いた様な状態だったのかなって再確認しちまったんだよな〜」
トールは頭を掻きながら気まずそうに話す。
「でも、キラにとってはそんなに大した意味じゃないかもしれないじゃない」
ミリアリアも、自分に言い聞かせるかの様に呟く。
「それでも、やっぱり俺達友達だろ!キラの気持ちも分かるけど…信用されてないのかな。俺達。カレッジにいた頃は殆ど毎日一緒だったんだぞ」
トールも何ともいえない気持ちになる。
「キラにもキラの事情があるんだろ。俺達がどうこう言ったってキラにしかキラの気持ちは分からないんだ…けど、俺達がキラを友達だっていう気持ちには嘘はないんだから…例えキラがどう思って様が俺達はキラを友達だと思っている。それで…今はいいんじゃないか」
サイは小さく息を吐きながら三人を見て微笑する。
「そうよね!それにキラは私達を守る為にMSにも乗っているんだもの…友達じゃなかったらそんな事普通しないわ」
ミリアリアも納得したのか、笑顔で頷く。
そしてトールとカズイも二人の言葉に胸の中のつっかえが取れたのかサイとミリアリアの言葉に笑みを浮かべるのだった。
先程までのどこか余所余所しかった空気も今はすっかりいつも通り、和やかな雰囲気に変わっていた。
だが、そんな今までの自分達の会話を聞いている人物がいる事に四人は全く気付いていなかった。
「ここはあまりキラにとって余り楽しい環境ではないみたいですわね」
ハロを両手に抱きながらラクスは表情こそいつもと同じ穏やかだが、瞳には強い光を湛えている
ハロもいつもは絶え間なく何か喋っているが、黙ったままラクスの手の中で大人しくしたまま、一人と一体は静かに食堂を後にするのだった。
「ラクス、どこに行ってたの?一人で出歩かない様艦長と約束したじゃないか」
ラクスが部屋のドアを開けると同時にキラが焦った様子でラクスに話しかける。
ラクスはキラの姿を見て笑みを浮かべると、ベットの上に腰を下ろす。
キラはラクスの正面に立ち、ラクスの返答を待つ。
「ちょっと食堂へ向かいました。それに、私きちんと部屋を出て行く事を扉に向かって話しましたわ。返事が返ってこなかったのですが、きちんと三回言いました」
「そう…でも、できれば僕に言ってね」
色々言いたくなるが、多分言ってもどうしようもないだろうなぁとキラは内心諦め、それでも一応ラクスに注意する。
「次からはそうしますわ」
キラは小さく肩を下ろして苦笑する。
昨日のハロの一件から、キラとラクスの距離は大分縮まった。
少なくとも、キラはラクスに対して何処か余所余所しい態度が無くなり、友人と話す感じで会話をするようになった。
「あ、ねぇ、ラクス食堂で誰かに会った?」
キラはラクスが食堂に行ったという事で、ふと引っ掛かる事があった。
もし食堂にフレイがいたら、また何か言われてラクスが傷つくかもしれないとキラは即座に思った。そしてフレイだけではなく、他のクルーや一般人に会っても全員が決してコーディネイターに友好的な態度で接してくれるとは限らないのだ。
キラはその事を身を持って経験しているだけに、ラクスに問いかける。
「誰にもあってませんわ…ですので、つまらなかったですわ」
ラクスはつまらなそうな顔をしてキラを見る。
「そう…」
キラはラクスの言葉に安堵する。
(これ以上優しいラクスを傷つけたくない)
キラは心の中で小さく決意をするのだった。
暫く二人で話していると、フラガが部屋にやってきて、ストライクの整備に関してマードック呼んでいるという事で迎えに来たので、キラはストライクの整備に向かうためラクスの部屋を後にした。
部屋を出て行くときにフラガがからかい混じりに
「室内デートの邪魔をしてわるいねぇ」
と言った。
フラガの言葉に対してラクスは「私とキラはデートをしているのですね」とのほほんとキラに向かって話すと「友達でもデートなのかな」と天然を発揮している二人にフラガは唖然として何も言えなかった。
「ピンクちゃん、そろそろ連絡をしましょうか」
室内から誰も居なくなり、ラクスはハロを手に取る。
「通信ON」
途端、ハロからノイズが聞こえる。
「もしもし、聞こえますか?こちらラクス・クライン」
ラクスは楽しげにハロに向かって話しかける。
「こちらラクス・クライン、聞こえてますか?」
何度かラクスが声をかけると、ノイズが徐々に小さくなる。
「…ら……き…、……ラ…ス……」
途切れ途切れだが、返答が返ってきてラクスは更に声をかける。
「こちらラクス・クラインですわ。聞こえますか?」
「…え…ます。…クス。ハロ……周波…を…あわせ………これできちんと声が聞こえますか?」
「えぇ、よく聞こえるようになりましたわ。…アスラン」
ラクスは通信相手の名前を楽しげな声で呼ぶのだった。
コメント
展開早くします。アスラン取り合えず声だけ登場。次はラクスとアスランがメインですv
微妙にキラ×ラクな感じですが、アスキラです!微黒ラクス登場ですっ。彼女に言わせれば食堂へ向かっただけで、食堂には入っていないので「食堂で誰とも会っていない」という事。屁理屈といえばそうですが、こんなんでも無い知恵振り絞って考えました(汗)
友人4人も今回は微妙な役です。この後、キラとトール達の距離は今より離れていく設定なので、キラと友人達が仲良しが大好きという方は読むのを止めておくこと進めます。
BACK TOP NEXT