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ENCOUNTER 16

 

 

 

2人の登場とアスランの気迫の凄さに格納庫の中は一瞬にして無言の鎮圧が押しかかる。

「アスラン、ラクス嬢!」

鎮圧の中で初めに声をかけたのはニコルだった。

ニコルはいつもと変わらぬ笑顔を向けて二人の下へ向かう。

「お久しぶりです。ニコル様」

ラクスが手を振りながらニコルに挨拶をする。

その様子をザフト兵達は驚きを隠せない。何せプラントの時期代表とまで言われている二人が私服とはいえ敵の戦艦に堂々と乗っている事に疑問に思っても仕方ない。

一方、AAのクルー達はどうしてザフトの軍人と親しく話している疑問に思った。

 

しかし、アスランはニコルの質問に答えを返すわけでもなく、そのままフレイとキラに向かって歩いて行く。

恐ろしい程の無表情に、周囲の者は背筋がゾッとする。

同じ赤い軍服を着ている3人の青年達も同じらしく息を呑んでいた。

ただ、ラクスだけが「あまり苛めないで下さいませ」とアスランの背に向かって声をかけていた。

表情や口調はいつもと全く変わらない穏やかなモノだったが、彼女の周りから出るオーラがとても黒く見えると思ったのはAAクルーと紅の3人の見間違いでは無いだろう。

 

 

フレイは興奮状態で周囲の異常な様子など全く目にも耳に入っておらず、キラを罵倒するのを止めない。

「手を離せ」

アスランはフレイの後ろまでやって来ると声と同時にフレイの肩を掴み、キラから引き離す。

フレイは力任せに引き離された反動で床に腰から打ち付けてしまう。

「何するのよ!!」」

フレイは邪魔されたのと、痛みでアスランを怒鳴る。

が、アスランの殺気交じりの鋭い視線にフレイは恐怖を直感で感じ口を噤んでしまう。

小さく震えるフレイをアスランを見下ろすが、直ぐに視線をキラへと向ける。

 

「キラ」

先程までとは打って変わって、優しい声音と笑みを浮かべながらアスランはキラの前に立つ。

余りの豹変振りに周りの者が驚く位、アスランの声は甘かった。

「ア…スラン?」

一方、名前を呼ばれたキラはアスランの顔を何処か呆けた顔で見る。

「もう大丈夫だよ」

アスランは優しく微笑みながら両手を軽く広げると、キラは迷いも無くアスランに抱きつく。

「恐かったね…キラ。でも、もう大丈夫だよ。俺がいるだろう」

アスランは抱きついてきたキラの躯を少し強く抱きしめる。

「アスラン、アスランッ!」

キラはアスランの腕の中で涙を流しながらただ「アスラン」としゃくりあげながら名前を呼び続けた。

「キラ、大丈夫だよ」

両手でキラを抱きしめて、背中を右手でポンポンと叩きながら「大丈夫、大丈夫」と何度も落ち着かせる様にアスランはキラに言葉をかける。

次第にキラも落ち着いてきたのか、アスランの腕の中から顔を上げる。

「ほら、もう泣かないの」

アスランはキラの目尻に溜まっている涙を唇で拭う。

キラも大人しく目を瞑ってアスランの腕の中で大人しくする。

その行為が辺りにも当り前の様になされている雰囲気に周りはただ黙ってその場を見ている事しかできなかった。

「キラ、こんな中で俺はお前を置いてはいけない。俺と一緒にプラントに行こう」

「でも…」

アスランは先程の状況で誰一人キラを助けようとしなかった光景を見て、キラを早くこの場から離したかった。

「前にも言ったけど、地球軍の人を死なせる事は決してしないから安心して。俺はただ、キラがここに居るのが心配なんだ」

「アスラン…」

アスランの何処か思いつめた表情を見せられキラは小さく頷いた。

「アスラン貴様、一体何を言っている!ソイツは地球軍なんだぞ!!」

こんな状況下の中で周囲の目も気にせず、ピンクオーラを出しているアスランとキラに、気が短い(笑)イザークが半ば怒鳴り声を出しながら向かって来る。

「キラは地球軍じゃない!第一俺達と同じコーディネーターだ」

アスランはキラを庇うように抱きしめながらイザークに言う。

いつもより感情を出しているアスランにイザークは珍しいモノを見たが、アスランの言った内容の方に驚く。

「コーディネイターが何故地球軍の制服を着ている!?」

地球軍の青い制服を着ているキラを見てイザークは至極当り前の疑問を口にする。

「それは…」

キラはイザークをちらりと見るが直ぐに視線を落とすとアスランの服をギュッと握る。

「キラは友人を守る為に仕方なくMSに乗っていただけだ。第一、キラは元々オーブの人間でヘリオポリスの学生で、軍人ではなく民間人だ。それをたまたま扱えたというだけで地球軍がキラを無理矢理MSに乗せていたんだ」

アスランはキラの変わりに今までの経緯をイザークだけではなくその場に居るザフト軍に伝えるようにハッキリと言い放った。

アスランの言葉にイザークだけではなくその場に居たザフト軍は動揺を隠せない。

「MS…って事はストライクのパイロットって事か?」

ディアッカはアスランの話を聞いていて、確認をする。

「そうだ」

アスランはディアッカを鋭く睨みながら肯定する。

アスランのキラを庇う姿を見てディアッカは小さく笑う。

「そんなに睨むなよ。別に危害を加えようなんて思ってないぜ。なぁイザーク」

ディアッカはイザークの隣に来て、イザークに目線だけを向ける。

「当然だ。だがアスラン、貴様どうしてコイツをここまで守る?」

イザークは単にアスランが軍人としての立場で守っているとは全く思えなかった。

「それは…」

「それはアスランの大切な人がキラだからですわ」

アスランの声に被さるように話したのは今までずっと傍観していたラクスだった。

「アスランがキラ以外の事で一生懸命になるなんて有り得ないですもの」

両手を胸元で合わせてにっこりと笑みを浮かべながらラクスはキラとアスランを見る。

「と、いうかアスランは基本的にキラさんが無事なら他はどうでもいいんですよ」

ニコルもアスランとキラを見た後、イザークとディアッカを見て小さく肩を竦める。

「へぇ〜アスランも隅には置けないってか」

ラクスとニコルの話を聞いてディアッカはキラをまじまじと見るめると、キラと視線が合う。

「俺はディアッカ・エルスマン。こっちはイザーク・ジュール。そしてあそこにいるのがニコル。アマルフィ。全員スランとは同僚ってやつだ宜しくな」

ディアッカはキラに簡単に自己紹介をする。

「…よろしく」

キラは一拍おいてふわりと微笑んだ。

キラの微笑みにディアッカだけではなく隣のイザークも頬をかすかに赤く染める。

「イザーク、ディアッカ、キラに手を出したら命は無いと思え」

そんな二人の表情を見逃さなかったアスランは二人に絶対零度の瞳を向ける。

「人のモノには手は出さない主義だぜ。なぁ?」

「無論だ」

ディアッカは背筋に嫌な汗を流しながらイザークに振るとイザークは少し青ざめた表情でディアッカに同意する。

「ひとまず自己紹介も終わりましたし、いつまでも立ち話している訳にもいきません。任務を終わらせましょう」

ニコルがタイミングを見計らい三人に『仕事中』だという事を伝える。

「アスランはキラさんとラクス嬢をシャトルに案内して下さい。僕らは足つきのクルー達をヴェサリウスへ連行しますから」

ニコルはアスランにそれだけ言うと、イザークとディアッカと一緒に本来の任務を行いに向かって行った。

 

 

 

 

「キラ、行こうか」

ニコル、イザーク、ディアッカの三人がキラ達の前から居なくなると、アスランは腕の中でずっと大人しくしているキラの顎を指先で軽く持ち上げながら、キラだけに見せる安心させる笑みを向ける。

だが、反対にキラは顔をくしゃりと歪め今にも泣きそうな表情を浮かべた。

「キラ、どうしたの?」

アスランが優しくキラに尋ねる。

「本当に…一緒に行ってもいいの?」

呟きのような小さな声でキラはポツリと言葉を洩らす。

「当り前だろう!それに、キラと戦場でもう会いたくないって言っただろう」

アスランはキラの両方の目尻に溜まっている涙を唇と舌先で拭う。

「キラとずっと一緒にいたいんだ」

アスランはキラの唇に誓いを立てるように唇を合わせたのだった。

 

 

 

 

 

久々の更新です。すみません…続きが全然はかどらない上、尻切れトンボです(滝汗)
た、多分あと1、2回で終わる予定です。というか終わらせたい(切実)
人目も憚らずイチャつく二人が好きです!!自分の趣味丸出しなので、きっと失笑されている方も多くいるかな…。フレイが最後まで嫌な子で終わりそうですが、いつか良い子のフレイを書いてみたいですね〜その日が来るのか謎ですが。





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