ENCOUNTER 12
「三人共交代の時間だ」
ナタルに言われ、トール、ミリアリア、サイの三人は少し遅くなったが休憩に入る。
生憎、カズイだけが今日はシフトが違ってしまった。
三人はカズイに挨拶をしてブリッジを出て行く。
「それじゃぁ飯にでも食いに行くか」
廊下を歩きながらトールが二人を食堂に誘う。
「そうね」
「フレイもいいかな。一緒に食べる約束したんだ」
「ならフレイを迎えに行きましょう」
ミリアリアにトールも賛成し、三人はフレイのいる部屋に迎えに行く事にした。
「そういえば、キラはご飯食べたかしら?」
廊下を進みながらミリアリアは最近会う機会が減ってしまった友人を思い出す。
コーディネイターの少女と少年がやってきてから、キラはコーディネイターという事で彼等の面倒をみているとマリューから聞いていた。
何より前回の食堂の一件からキラとはまともに会っていない。
数日前に一度休憩時間の終わりにキラに会ったが、キラ自身、特にあの一件の事を言うでも無く、会えば今まで通りに接してくれた。
だが、休憩時間の終わりという事で殆ど挨拶と少しの雑談しかできなかったのだが。
「そういえば俺も最近殆どキラに会ってないな」
サイもここ数日、通信機越しに見える姿しか見ていない事に気付く。
「ならキラも一緒に飯食いに誘おう!最近戦闘が無いから今日は整備も殆ど無いってマードック曹長も言ってたし。キラの部屋は丁度通り道にあるしな」
トールは遠くに見えるキラの部屋を指差し二人を見る。トールもカレッジの中で一番会う機会の減ってしまったキラと久々に話したかった。
「久しぶりにキラとご飯ね」
隣で楽しげな表情を浮かべる彼女にトール達も心弾ませるのだった。
「ミリィ、トールも迎えに来てくれたのね」
フレイはサイのの腕に抱きつきながら、隣にいる友人とその彼氏に挨拶する。
「…えぇ」
「どうしたの?」
ミリアリアの少しだけ気落ちした声にフレイは気付く。
「実はさっきキラも一緒に食事をしようと誘いに行ったんだけど、部屋にいなくてね」
サイがミリアリアの気持ちを代弁する。
「私も最近キラには会ってないわ」
フレイもサイい言われて気付く。
「ミリィ、そんなに落ち込むなって。もしかしたらキラは案外食堂にいるかもしれないしな」
トールは明るく話しながらミリアリアの肩を抱く。
「別に落ち込んではいないけど…元気にしているか心配してるだけよ」
コーディネイターとしてナチュラルの中で一人いるキラは元がとても繊細なので傷つく事も人一倍多いかもしれないのだ。
友人として今までキラの隣にいたミリアリアは、そんなキラが一人でいるかもしれない状態を心配していた。
「俺だって同じ気持ちだよ。まぁ、取り合えず飯を食べる食べに食堂に行こうか。昔ニホンっていう国では『腹が減っては戦はできぬ』っていうコトワザていうのがあったしな」
「はいはい。トールは要するにお腹が空いているのね」
ミリアリアは呆れた声を出す。
「そういう事」
トールに促されるまま三人は食堂へと向かう。
「キラ!?」
食堂に着くと、そこには自分達が先程まで探していたキラがいた。
だが、隣と相向かいには見覚えのあるコーディネイターの少女とこの前新たに救助された少年がいた。
「みんな…」
キラは入り口にいる、トール達に気付き、少し驚いた顔をするが直ぐに軽く微笑む。
そして一緒にいる彼等に何か告げてこちらに向かってくる。
そのまま待っていれば、自分達が行くのにいつもこうしてわざわ来てくれる変わらぬキラの態度を見て、ミリアリアは安心した。
「キラ、元気そうね」
「何言ってるの?この前会ったばかりじゃないか」
キラはこの前、偶然休憩中のミリアリアと出会い話したばかりだったので、不思議に思う。
「そうね。でも毎日は顔合わせていないでしょ?」
「そうだぞ!俺なんて全然キラと会ってないんだぞ」
「俺もだな」
ミリアリアに連なってトールとサイも話しかける。
「そういえば、トールとサイには全然会ってなかったね」
キラも思い出したように話すとサイの隣にいるフレイを見る。
「…フレイも久しぶりだね。元気?」
数日前の出来事があり、少しぎごちなく話かける。
「元気よ」
サイの腕を抱きしめながらフレイも返事をする。だが、顔には不機嫌な表情がありありとしている。
キラはフレイの様子に困った表情を浮かべるが、すぐに笑みを浮かべて「よかった」とだけ伝える。
「キラはこれから食事なのか?」
サイは場を和ませるように会話を弾ませる。
「ううん。少し前から食べ始めたんだ」
「なら、私達も一緒に食べても…平気?」
「そういえば、俺達まだ全然あの人達の事知らないもんな」
ミリアリアの提案にトールも賛成する。
「いいの?」
キラは二人を見て驚くが、直ぐに本当に嬉しそうな顔をする。
その表情を見て、ミリアリアは提案をして良かったと思った。
コーディネイターという事で少し話しにくい面もあるかもしれないが、キラもコーディネイターなのだ。話せないという事は無いだろうし、自分達も正直あの二人を敵だとは思っていない。
「でも…向こうは大丈夫なのかな?」
トールはテーブルで談笑している二人をちらりと見てキラに聞く。
例え、自分達が提案をしても向こうが話したくないと言われればそれまでだからだ。
「アスランとラクスなら大丈夫だよ。二人共皆と話してみたいって言ってたんだ」
それは食堂に初めて来る前日の夕方、ラクスの部屋でアスラン達に紹介したい友達がいる事を伝え、二人共会いたいと言ってくれていたのだ。
「きっと二人も喜ぶよ。ラクスは話し相手が増えるのを楽しみにしていたから。二人に話してくるね」
「…冗談じゃないわ」
嬉しそうな顔で席に戻ろうとするキラを睨みながら、フレイが口を開いた。
フレイの声にキラは足を止めて声の方へと振り返ると、自分を睨みつけるフレイがいた。
あきらかに憎悪の気を纏うフレイにキラは困惑する。
「冗談じゃ無いわ!私はコーディネイターと話す気はないわよ。ねぇ、サイもう少し時間が経ったらまたご飯食べましょう」
「フ、フレイ!?」
フレイはサイの腕を引っ張り、食堂から出て行こうとする。
「ちょっと、フレイそういう言い方はないんじゃないの!」
ミリアリアがフレイを止める。
「何よ!大体ミリィ達だってコーディネイターが恐いんでしょ?」
フレイの言葉に三人は思わずギクリと身体を強張らす。
「コーディネイターなんて捕虜にするべきよ!いきなり襲われたらアブナイじゃない。だって相手は遺伝子を弄くって生まれたのよ危険だわ!」
「そんな…コーディネイターだからって…捕虜なんて…そんな酷い事…」
あまりの言い分にキラは思わず反論をする。だが、声が震えてしまい上手く言葉が発せない。
だがフレイにはキラの声はしっかり聞こえていた。それがフレイを更に煽る結果となってしまった。
「大体、コーディネイター同士で仲良くしていてアンタ本当に戦う気があるの?アンタは皆を守る為に戦ってるんでしょ!なら敵と仲良くしてどうするのよ!」
フレイの言葉にキラは何も言えず、ただ動揺する。
「それとも毎回戦場に行くのはいいけど、同じ化け物同士で戦うんだから手加減して戦ってるのかしら?」
「いい加減にしろ!」
テーブルを両手で叩き、アスランは立ち上がるとフレイ達に鋭い視線をを送る。
アスランのあまりの視線の強さに四人ただ身体を硬直させるだけだった。
アスランは座席から離れてキラの元へと直ぐに向かう。
「キラ」
「アスラン…」
今にも泣き出しそうな顔で振りかえったキラを見てアスランは自分の腕の中にキラを抱き寄せる。
「キラはいつも戦うのが辛くて苦しいんだよね」
アスランはキラを抱きしめながらキラに囁く。
「アス…僕…」
「うん。キラはいつも一生懸命頑張ってるよ」
アスランはキラの背中を落ち着かせるように撫でる。
「随分とキラの事が分かった口調ね。コーディネイター同士、お互いの苦労が分かり合えるっていのう?」
フレイが二人の遣り取りを見て、不快そうに口に出す。
「でもキラはそんなに頑張らなくてもいいんだ」
アスランはフレイの言葉を無視したままキラに話しかける。
「アスラン?」
キラはアスランの言った意味が気になり顔を上げる。
顔を上げたキラには涙がまだ目の淵に溜まっており、頬には涙の流れた跡が残っているた。アスランはキラの両方の目元に唇を寄せて溜まった涙を唇で拭う。キラもアスランの行為をそのまま受け入れる。
「ねぇ、キラは軍人じゃないんだから戦う必要が何処にあるんだ?」
唇が離れ、アスランの綺麗な顔が苦しそうにキラを見つめる。
「でも…僕が戦わないと、AAは…みんなが死んじゃうかもしれないんだ」
「それとキラが犠牲になるのは違うだろう」
キラ一人でこの艦の全員の命を救うなんて事はできない。それは同じ戦場に身を置いているアスランが一番良く分かっている。
何より、ここまでキラを追い詰めたナチュラル達にアスランは激しい憤りを覚えた。
「どうしてキラ一人で戦場に出て戦うんだ?お前はオーブの学生なんだろう。それがどうしてMSに乗って、戦って、そして本来守る立場にある軍人を守らなければならないんだ!」
アスランは段々と語気を荒げる。キラと再会してからずっとアスランがキラに対して言いたかった事がどんどんと口から出てくる。
「僕だって…」
「キラが戦ってくれなきゃ私達は死んじゃうのよ!戦えるんなら戦うのが当り前じゃない!私達は戦えないのよ!キラはコーディネイターなんだからMSに乗れるのよ!それにキラは私達を守る為に戦うって言ったんだから!!」
キラの言葉を遮り、フレイの叫びが食堂の中に響き渡る。
「だからキラには私達を守る義務があるのよ!」
アスランの腕の中にいるキラの肩が震えた事に抱きしめているアスランは気付く。
同時に、体中から激しい怒りが溢れてくる。
「キラの守りたいと言ったのは…こんな奴等だったのか」
内心の激しい憤りとは裏腹にアスランの口から出た言葉は酷く冷たい口調だった。
コメント
二時間ドラマの様に一気に展開早めてみました。今回は頑張りました。私のつたない文章能力と言語理解力ではこれ以上何をどう言っていいのか分かりません(滝汗)
フレイの台詞一生懸命考えました!頑張って酷い台詞を考えるのも一苦労ですね。お嬢様なので変な所で頭良さそうだし(笑)一般常識はかなり欠落していますが(苦笑)
次も頑張ってアスVSフレです。