Forwarding of Soul 1
目を開けて視界にはいるのは、覚えの無い真っ白な天井。
「ここ…は…」
ぼんやりとしたままの意識に中でエドワードは上半身を起こすと、頭を左右に揺さぶられているかの様な目眩に襲われる。
暫くのそままの体制でいると目眩は治まり視界はクリアになっていく。
エドワードは覚醒した頭の中で周囲を見渡すが、見たことのある部屋だが全く知らない部屋にいた。
「何処だ?」
自分の左側には白いカーテンが引かれてにあり外が見えないようになっている。カーテンの前には小さなキャビネットがあり上には花が挿してある花瓶が置いてある。
右に向けば窓がある。だが見えるのは青く晴れた空のみ。
そして上は白い天井。
無機質にもにた空間は医療室にもにているが、床を見れば見慣れているフリーリングではなく薄いグレーの変わった床。
全くといって良いほど見たことの無い部屋にエドワードは一人居た。
「俺は…生きている…よな」
こんな場所が死後の世界とはとても思えなくて…いや、思いたくないと思いエドワードが口に出して確認をする。
「何でこんな所にいるんだ?」
何故、今このような状況になっているのか思い出すためにエドワードは自分の中の記憶の糸を辿り始めた。
確か今日は1ヶ月ぶりに訪れた東方司令部にいつも通り報告書を提出しに向かう筈だったが、向かう途中である異変に気付いた。
あまりにも軍人が多すぎる。
そして一般市民が殆ど出歩いていない。
「ねぇ、兄さん。何か事件が起こってるみたいだね」
隣にいたアルフォンスも常とは違う光景を見て事件と気付いていた。
「そうみたいだな」
エドワードはふと視界の隅に入った人物を見てニヤリと笑う。
「兄さん?」
アルフォンスは不適とも思える笑みを浮かべるエドワードを見て不思議そうに声をかける。
「アル、先に行くぞ」
エドワードはアルフォンスに何も答えず突然走り出す。
「ちょっと兄さん!」
走り出すエドワードを見てアルフォンスはエドワードの向かう先に誰がいるのか直ぐに分かった。
「大佐を追うのはいいけど…荷物は持ってこうよ。兄さん」
少し呆れた口調でアルフォンスはエドワードが持っていた鞄を手に取り、エドワードの元へと向かうのだった。
「相変わらず大佐の事になるとじっとしてられないんだから」
カシャカシャと鎧特有の音を立てながらアルフォンスの声は苦笑していた。
「大佐っ」
エドワードはこれから会いに行く筈だった人物を呼びながら、目的の人東方司令部大佐、ロイ・マスタングの元へと向かう。
そしてこちらに気付いたのか、他の部下達に何か命令を下していたロイが厳しい顔つきを和らげてエドワードを見る。
「おかえり。鋼の」
正面に立つエドワードの身体を自分の腕の中に抱きしめる。
「ただいま」
ロイの腕の中から顔を上げエドワードもはにかみながら返事をする。
「折角帰ってきたのに、すまない。今は」
「分かってる。今なんかの事件の最中なんだろう?」
エドワードはロイの言う事を遮り先程とは違う、ニッと何か企てるような笑みを向ける。
「相変わらず、テロリストの撲滅運動の真っ最中だよ。だから君は大人しく司令部に行っていなさい」
ロイはエドワードから腕を放すと優しく頭を撫でる。
「けど、いつもとは少し勝手が違うんだろ?街を見れば只のテロじゃない」
エドワードは眉を寄せてロイを見る。
ロイは仕方ないとばかりの顔を浮かべて口を開いた。
「市街地に爆弾が仕掛けてあるとい情報が届いた。本当に市街なのかそれとも街の外れの方なのかは分からないが、どちらにしても市民に被害が出る前に爆弾の始末と主犯を見つける」
口調はいつも通りだが、ロイの目には怒りの色が色濃く出ていた。
エドワードもそれに気付くが、それよりも軍とは関係のない市民まで巻き込む今回のテログループにロイと同じくエドワードも怒りを覚える。
「なら、なおさら俺も一緒に行く。そんな事が起こってるのに待ってるだけなんて、できるかよっ!」
「君ならそういうとは分かっていたよ。だけど…」
ロイがエドワードを説き伏せようとしたその最中、突然「ドォォン」という大きな音が後方から鳴り出した。
二人がそちらに目を向けると音のした方角から空へ向かって煙が上がっている。
「始めたか。鋼の君は早く司令部へ行きなさい」
ロイはエドワードに言い聞かせるように話すと、そのまま音の鳴った方へと急いで向かう。
「…司令部なんて行けるわけねーだろっ!」
エドワードはロイの背中を見て両手をキツク握りしめと背後から自分を呼ぶ声が聞こえた。
「兄さんっ!!」
「アル」
「一体何が起こってるか聞けた?」
言外に誰からという事も聞かずアルフォンスはエドワードに端的に問う。
「あぁ。アル…」
「早く行こう」
エドワードが何を言いたいのか十分に理解しているアルフォスはその先に続く言葉を繋げる。
エドワードはアルフォンスに頷くと、二人は渦中へと向かう為走り出した。
走るたびに不規則的に何度か爆音が聞こえる。その度に地面から僅か等ながら振動が伝わり震度の低い地震が何度も起こっている。
「ったく、こんなにバンバン吹き飛ばすんじゃねーっての」
エドワードは増える煙の数に舌打ちしながら目的の人物を探しに行く。
市民にはある程度伝えていたのか、通路がパニックになっている市民で埋め尽くされるという事はなかった。
逆に軍人が慌ただしく動いている。
「大将、アル!」
走る自分たちに向かって聞き慣れた声が耳に入る。
エドワードとアルフォンスは足を止めてると、二人の見知った人物が自分の元へと走ってくる。
「元気そうね。二人とも」
二人の元にやってきたのはホークアイとハボックだった。
ホークアイはいつもの無表情にも近い表情を変え、口元に小さく笑みを浮かべる。
ハボックも「よっ」と片手を上げて挨拶をする。
「久しぶり」
エドワードはニカッと笑って左手を挙げる。
「お久しぶりです、中尉、少尉」
アルフォンスは二人に向かっていつも通りペコリと頭を下げて挨拶をする。
一瞬だけ場が和むが再び響く爆音に4人の顔が変わる。
「にしても今日は随分と歓迎が熱い団体なんだな」
エドワードはホークアイとハボックを見て伝える。
「そうね。大佐も今回のグループにはかなり否定的だわ」
ホークアイは少し眉を寄る。
「まぁ、俺等も同感だけどな」
ハボックも軽口を言いながら、だが鋭い目のまま言葉を返す。
「そういう奴はちゃっちゃと撲滅しちゃわないとな」
「そうだね」
エドワードは右手を拳の形にして左手の手の平に軽く打ち付ける。
アルフォンスもカシャンと音を立てて首を縦に振る。
「なぁ、もしかして爆弾ってあちこちに仕掛けてある?」
「えぇ。私達の方でも幾つかは見つけて何とか処理はしたけど…正確な数が分からないから今も手分けで探しているの」
「取りあえず街の中央や司令部周辺には無かったから、恐らく街の中央から外に向かって仕掛けてあるって訳だ」
「よっし、アルお前は中尉達と一緒に行ってくれ」
二人の状況を聞いてエドワードはアルフォンスに告げる。
「兄さんあんまり無茶しないでね」
「分かってるって」
「大佐はもう少し先の廃墟の方面にいるわ。一番初めの現場を見ているの」
ホークアイはエドワードに彼が今一番探している人物でもある自分の上官の居場所を伝える。
「ありがとう、中尉。少尉、アルの事よろしく」
「おう任せとけ」
ハボックはエドワードの頭をくしゃくしゃとかき混ぜる。
「兄さんこそ気を付けてね。大佐の邪魔だけはしちゃ駄目だからね」
アルフォンスの兄に対してはどうかと思える台詞は今更なのだが、エドワードは少し唇を突きだして「分かってる」とぶっきらぼうに答えた。
「エドワード君気を付けてね」
ホークアイはエドワードが自分よりも攻撃力は上回る事は充分に理解はできているが、弟のような存在だと思っている。
「中尉もね」
エドワードは先程教えて貰った探し人の元へと向かうのだった。
どんどんと目的の人物の元へと進むにつれ、硝煙と埃の匂いが濃くなっていく。
足を進めていくと、探していた人物の後ろ姿が見えた。
「大佐」
エドワードは駆け足でロイの方へと走っていく。
「大佐」
ロイは間近で聞こえたエドワードの声を聞き、後ろを振り向くとそこには予想していた少年が自分の元へと走ってきた。
エドワードがロイの元へと到着すると、走ってきたからか肩で息をする。
「鋼のどうして来た。ここは危険なんだぞ」
ロイは眉間に皺を寄せながらきつい口調で告げる。
「そんな事わかってる!でも…」
エドワードが反論しようとしている中、再び激しい音を立てた爆音が聞こえた。
それもとても直ぐ近くで…と思った時にはもう辺りは爆風と硝煙に包まれていた。
そして,エドワードは何かが自分を引っ張りそして身体を強く抱きしめられたのを頭の片隅で認識していた。
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