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Pillow talk〜Side SORA〜
俺は水都の腕の中で珍しく目を覚ます。 覚ます…というのとはちょっと表現が違うのかもしれない。 だって俺は別に今までずっと眠っていた訳じゃないから。 狸寝入りと言えば会っているのかよくわからないけど、俺は水都の腕の中で寝たふりをしている。どうしてだか今日は眠れないのだ。 いつもならその徒労感でぐっすりと眠ってしまうのだが、今日に限って眠気が襲って来なかったりする。 ちなみに寝たふりの訳は至極最もな意見がある。 目を開けたら一回抱かれるかもしれないから。性格にはもう一度抱かれるのだ…。過去数回だが経験上そうなっているからほんの気まぐれという名の僅かな希望に賭けるのはもう辞めた。 さすがにこれ以上犯られたら明日学校に行けないかもしれない。 ふと俺がそんな事を考えていると、小さく水都が何かを呟いた。 (?) あまりに小さくて聞き取れなくて今度はちゃんと聞こうと俺は耳をすませる。 「我ながら非道な行為をしたものだ」 そんな台詞が俺の耳に届いた。 (自覚…あるんだ) 俺は意外な台詞に驚いた。 当たり前のように酷い扱いをするのでまさかそんな台詞が聞けるとは思ってもみなかった。何せ初めから強姦まがいというか…あれはもう強姦だったような気がする…。 「だがやっと手に入れたのだからな」 ふと、近くでそんな声が聞こえると同時に俺の頭の上に何か温かいものが落ちてきた。 それは俺の髪を優しく梳く。 (もっ…もしかして…水都の手!?) 俺の心臓はドキドキと水都に聞こえるのではないかと思う位音を立ていた。 (どっ、どーしよ…やっぱり起きた方がいいかも…というか、これ夢だよな) 水都がこんな事するなんて信じられないのだ。それに俺が起きているというのも何だか信じがたい。 今起こっている事全てが現実に思えなくて…いっそのこと目を開けば夢から覚めるかもしれない。 だってこんなに優しく扱う水都が現実にいるわけないから。 (だけど…このまま……夢が続いてくれてもいいのかもしれない) 俺が密かにそう思った途端、水都が首筋をなぞった。 「んっ…」 ビクリと身を固まらせて俺は反射的に声を出してしまう。 (ヤバッ…) 内心焦りながらどうしようか考える。 (でも…多分これは……夢なんだよな。) 俺は自分にそう言い聞かせるように結論を出す。 (別に夢だから……甘えてみてもいいよな) 俺は水都のシャツをギュっと握った。 昔からこうして恐い夢や悲しい夢をを見た時は誰かの服を握っていた記憶がある。 その人はとても温かくて、いつも笑いながら俺を抱きしめて寝てくれた…。 今はもう思い出せないけど…。 握ったシャツから微かだが、水都の体温が伝わってる気がした。 どうしてだか、すごく安心する。 (何だか…気持ちいい…) 髪を撫でられて俺の意識は段々とだが朦朧としてきた。 「空」 どこか遠くで水都が俺の名前を呼んだ気がする。だけど、水都にしてはやけに優しく俺の名前を呼ぶ。そして俺の上に何だか温かいものが降りてきた。 (気持ちいい…) ふわふわとした感触のものが俺の顔に落ちてきて…すげー気持ちいい。 まどろむ意識の中で水都がこっちを見ている気がした。 とても悲しい瞳をした水都が目の前にいて、俺の心は何故かズキンと傷んだ。 (みなと?) 俺は無意識にアイツの名前を呼んでしまった。途端、どこか嬉しそうな顔をした水都がいた。 そして何か言ったらしいが俺にはもう聞こえなかった。襲ってくる眠気にそのまま身を任せて俺はそのまま眠りについたのだった。
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