AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する

ENCOUNTER 10

 

 

 

「あら、随分と来るのが早いですわね。私、挨拶はてっきり明日だと思っておりました」

 

 

会いに行った人物の部屋に着いた途端、部屋の主であるラクスがにっこりといつもと変わらぬ笑顔でそう告げた。

キラはラクスの言葉の意味が分からずキョトンする。

「ラクス…キャラ違うぞ」

対してアスランはラクスを見て呆れたように肩を下ろす。

「そうですか?アスランならそれ位やりかねないと私思っておりましたのに」

「キラに行き成りそんな乱暴なことはしません」

「キラは愛されておりますのね」

ラクスはキラを見て嬉しそうに話す。

「当然です」

それに答えるのはキラではなく、隣にいるアスラン。

「二人共仲、良いんだね」

キラはアスランとラクスの遣り取りを見て思った事を口にする。

「俺の一番はいつもキラだよ」

「私はアスランよりキラの方が私好きですわ」

途端、二人同時にキラに向かって言う。

余りにも真剣な顔で言う二人にキラは一歩後に下がり、「ありがとう」と苦笑する事しかできなかった。

 

 

 

ラクスの部屋で本人はベットの上に座り、キラは食事の時に使っていた椅子に座り、アスランもキラの隣に椅子を寄せて座りると、ラクスがAAに来た経緯を話し始めた。

暫くキラとアスランは黙ってラクスの話を聞いているが、途中で地球軍が船に来たという事にアスランは僅かにだが眉を寄せただけで、静かに聞いていた。

キラもどこか複雑な心境でラクスの話を聞く。

そして一通り話終えると、思い出したかのようにラクスは室内でポンポンと跳ね回っていたハロを手に取るとアスランに向かってハロを向ける。

「アスラン、ハロのあの機能きちんと役に立ちましたわよ」

楽しそうに話すラクスの言葉の意味にアスランは気付く。

「キラ、今もトリィを持っているのか?」

アスランは隣にいるキラに問う。

自分がハロに入れた特殊な機能。キラの持つトリィに反応させた言語プログラムが起動した事が嬉しい。それは、キラが自分の上げたトリィを未だ側に置いているという事実だからだ。

アスランの嬉しそうな顔を見て、キラは先日あったトリィの事を思い出しギクリと身体を強張らす。

「キラ?」

アスランはキラの態度にトリィに何か起きたのかを察知する。

「あっ…、あの、トリィは…」

キラは俯いたまま、どう言っていいか分からない。

壊されてしまったといっても、自分がもっとトリィに注意をしていればあんな事は起らなかったのだ。

何より、アスランにはあんなトリィの姿を見られたく無かった。

折角作って貰ったのに、壊れたままだなんてアスランに申し訳なくて…キラは唇を噛み締める。

キラの様子にアスランとラクスは目を合わせ、頷く。

二人には予想が付いた。

――トリィに何かあったのだと。

 

「キラ、トリィがどうしたか教えてくれない?」

アスランは俯くキラの顔を覗き込む。

「え…と、…その……」

「俺としては、もしトリィの調子が悪いのなら直したいんだけど。調子悪いままじゃトリィが可哀そうだろ?」

言いよどむキラにアスランは優しく声をかける。

アスランから言われた『トリィが可哀そう』という言葉にキラはこのまま壊れたままではトリィがずっと飛べないままになってしまうかもしれないと思い悩む。

「キラだってトリィが壊れたままで嫌じゃないのか?」

アスランは更にキラに問いかける。

(僕だってトリィが壊れたままなのは嫌だ。でもアスランにトリィを見せたら悲しませてしまうかもしれない…大事に扱ってくれていないと思われたらどうしよう…)

でも自分では直せないが、製作者であるアスランがいる今ならまたトリィが自由に飛べるのだ。

自分がアスランに見られたくないという気持ちよりも、トリィをこのままの状態にしておくのは余りにも悲しすぎる事にキラは気付き、自分を見つめるアスランと目線を合わせる。

「……トリィ…して…る」

「ん?ごめんもう一回言ってくれる?」

キラの小さすぎる声にアスランはすまなそうにキラに頼む。

「…トリィ……直してくれる?」

今度は先程よりも幾分大きい声で言うキラにアスランは「勿論」と即答する。

「俺がトリィを直さないなんて事は絶対にないから安心して」

「うん!」

アスランの返事にキラは本当に嬉しそうに頷く。

「ありがとうアスラン!トリィは僕の大切な友達なんだ」

「そんなに喜んで貰えたなら、トリィをキラにあげて良かったよ」

製作者として大満足だ。とアスランはキラの頭を撫でながら微笑む。

「部品は一応僅かなら俺も幾つか手元に持ってるから何とかなるが、今トリィはどんな状態なんだ?」

トリィの状態を聞くと、キラは一瞬息を呑む。

「まぁトリィを実際見ればすぐにわかるから大丈夫かな」

アスランはキラの異変に気付き、さり気なく話をずらす。

その様子を見ていたラクスは半ば感心したようにアスランを見ていた。

(キラを守る事に関しては流石ですわね)

内心感心しながら傍観者を務めるのだった。

 

 

「それじゃぁキラの部屋に行こうか」

「そうですわね」

「へ?」

上から順にアスラン、ラクス、キラ。

「だってトリィはキラの部屋にいるんだろ?なら行ってメンテナンスをしないと駄目だろ」

アスランの最もな台詞にキラは素直に頷きかけるが、すぐに思いとどまる。

「駄目だよ、二人共あまり部屋から出ない様に言われてるんだよ」

キラは今すぐにでも部屋から出て行こうとする二人を引き止める。

「アスランの言う通りですわ。トリィを直すにはキラのお部屋に行きませんと」

ラクスは諭すようにキラに言う。

「それは…そうだけど……」

「なら、やっぱりキラの部屋に」

ドアに向かうアスランにキラは「待って!」と思わず大声を出す。

「なら…そうだ!僕がこの部屋にトリィと部品と工具持って来るから二人は部屋で待ってて」

キラは良い提案だと言わんばかりに二人に伝えると、ドアの近くにいるアスランの元へと向かうと「だから大人しく部屋に居てね」と伝えドアを開けてそのまま自室へと向かっていく。

「キラ、俺の工具が部屋にあるバックの中にあるからバックごと持ってきてくれ」

アスランは廊下にいるキラに伝えて「気をつけろ」と言いながら手を振る。

ラクスもドアから顔を出しキラに「気をつけて行ってらっしゃいませ」と笑顔で見送る。

そんな二人を見ながらキラは「何を気をつけろっていうのさ」と小さくぼやいたのは二人の耳には届いていなかった。

 

 

「俺が思っているより足つきの環境は悪いな」

「アスランが見ている以上に悪いと思います」

キラが居なくなった室内で二人は溜息を吐く。

「トリィだが…」

アスランは先程のキラの様子を見て只事では無いと感じた。幾らトリィが壊れてしまっているとはいえ、あの反応は少々度が過ぎているとアスランは感じた。

「壊されたと言いたいのでしょう」

ラクスはアスランの言いたい事を代弁する。

「あぁ…キラは例え自分が壊したとしても素直に俺には言う筈だ」

「自信があるのですね」

断言するアスランにラクスは楽しそうに言う。

「9年も側に居たんだ。3年離れていても性格はそうそう変わるものじゃないさ」

「そうですわね。アスランから話を聞いた通り、優しい性格はそのままでした」

「だから余計にキラを傷つける奴は許せない」

アスランは真っ直ぐにラクスを見る。

「それは私も同じでしてよ」

ラクスも微笑むがそれはいつものふわふわとした笑みでは無く、瞳には力強い光が宿り真剣な表情でアスランを見返す。

アスランといる時はラクスは大抵外で見るイメージとは違う。それは互いに気兼ねが要らない仲だからだが、何よりお互いに外面が良いだけに直ぐに内面を見破られた同士だったりする。

「キラの事が随分と気に入っているみたいですね。キラを呼び捨てにしていましたし?幾ら貴女とはいえ渡す気は更々無いですので」

「まぁ、そんな気はありませんわ。私は以前にも言った通り貴方とキラを応援しておりますのよ。名前で呼び合う位は宜しいのでは?私達はお友達ですもの」

「その言葉信じますよ」

「信じて下さって構いませんわ」

底面下で遣り取りされる会話の雰囲気は非常にほのぼのとは無縁のものだったが、会話をしているお互いには慣れきったものだった。

「暫くは足つきにやっかいになるが、その間にナチュラルがどういうものか観察しておくのもいいかもしれないな」

アスランはキラが守りたいと言った『友達』にも一度是非挨拶をしたいと呟く。

「そうですわね。私も前回お友達の皆様全員には挨拶をしてませんでしたし」

ラクスも両手を合わせて思い出す。

「計画は今の所順調です。『協力者』も見つかりました」

アスランは言外にだから自由行動をしても問題ないと含ませる。

「それは良かったですわ」

ラクスもアスランの言葉の意味を理解すると、楽しそうにハロを両手で抱きしめる。

暫く大人しくしていたハロが『アッカンデー』といきなり騒ぎ始め部屋が一気に賑やかになるのだった。

「キラと一緒に地球軍にやっかいになるとは考えもしなかったな」

アスランはどこか嬉しそうに笑うのだった。

 

 

 

 

「お待たせ、二人共」

キラは左手にアスランが持って来たバック、右手に工具の入ったケースを持って戻ってきた。

「お疲れキラ」

「お疲れ様です」

二人に出迎えられキラははにかむ。

そして机の上に荷物を下ろすと、軍服の中からトリィを取り出しそっと机の上に置く。

電池が切れているので鳴き声はしないが、それよりもトリィの羽の接続部分があきらからに破損している事にアスランは直ぐに気付いた。

そして自分のバックの中から携帯用の工具と、キラに会うためにトリィの部品を密かに持ってきていたアスランは、パーツの入っているケースを取り出し机の上に置くと、側にある椅子に腰掛ける。

「トリィ…直る?」

キラはトリィのボディをチェックしているアスランの背後から心配気に声をかける。

「大丈夫だよ。外傷がどうやら羽の接続部分だけみたいだし…キラはトリィを大事にしてくれていたんだね。傷とか殆ど無い状態だし」

アスランはキラに振り返り、安心させるように笑みを浮かべる。

「良かった…」

キラはほっと安堵の溜息を吐く。このまま直らなかったらどうしようかとハラハラしていたので、アスランから大丈夫という事が聞けて一気に身体の力が抜ける。

「キラ、少しお休みになられてはどうです?今日は色々なことが起って緊張されていたのではないですか」

ラクスがキラの顔に疲労色を見て声をかける。

「でも…」

「緊張して疲れてるのは本当だろ?キラが寝ている内にトリィを直しておくからそっちの空いているベットで寝ていて」

アスランが振り返りキラをラクスがいる反対側のベットを指差す。

「だって、二人に悪いよ」

キラは二人の前で眠る事に躊躇する。

「何俺に遠慮なんてしてるんだ?」

「でも…」

二人がいるのに寝たりしたら悪いとキラは思う。

「キ〜ラ〜そんな我が侭言わないの」

アスランはトリィを机の上に置くと、キラの方を向き眉間を軽く寄せる。

キラなりの気遣いも、アスランにとってはこれも我が侭の一つとして受け入れられてしまう事にキラは大きく息を吐くとベットに向かい横になる。

「じゃ、僕寝るね」

AAに来てから常に緊張し、毎日が気が抜けなかったので、精神的にキラは疲労していた。だが、多分今とても眠いのここにいる二人にはありのままの自分でいても受け入れてくれるからだとキラは思う。

トール達も大事な友達だけど、やっぱりナチュラルで何所か自分に最近余所余所しい感じがした。

雰囲気は今までと変わらないし、話しかけてくれるが何所か…ヘリオポリスにいた頃とは何となくだが違う感じがしたのだ。

「…おやすみ」

最近は全くいう事の無くなった言葉を小さく言う。

「おやすみキラ」

「おやすみなさいませ」

アスランとラクスは直ぐに返事を返してくれた事にキラは密かに喜びながら、目蓋を落とす。

久々に心地よい眠りにキラは身を委ねるのだった。

 

 

 

 

キラが眠りについたのを確認してから、二人は机の上にいるトリィを見る。

「思ったとおりだ」

「壊されたのですね」

トリィのボディをあちこち見ながらアスランが盛大に息を吐く。

ラクスも微かに顔をしかめる。彼女にしてはその表情はとても珍しいのだが、アスランはトリィの診断に夢中になっていた。

「羽に負荷がかかった状態。でも破損状態からして明らかに羽だけを掴まれた又は、折り曲げられたといった感じだ。何より外傷が全くといって良い程無いから物が落下という事はないだろう」

壊されたトリィにきっと悲しんだキラを思い、怒りがふつふつと湧き上がる。ラクスの前だが言葉使いも幾らか乱暴になっているが、そんな事はアスランは全く気にもとめないのだった。

アスランはまず、トリィの電源を入れ症状を詳しく診る。

左羽は接続部が壊れているのでガチャガチャと音が鳴るが、『トリィ』と鳴く声は以前と変わらぬまま流暢な声だった。

その他にも、念入りに調べるが特に壊れている所は無く、アスランはここにある部品だけでトリィが直せる事が分かり、ホッと安堵する。

そして、キラの為にアスランはトリィを一刻も早く直すべく作業を始めた。

 

 

コメント

アスランとラクスでキラを甘やかすシーンが書きたかったのですが…微妙。この二人の関係はこんな感じ。アスランは恋愛感情、ラクスは親愛本能でキラを可愛がり&守ります!!
とばっちり食う人も勿論出ます。というか出さないとね(汗)

トリィの出番をもっと出そうと思いながら無理でした。次は直ったトリィを出したいです(希望)

05/03/19


*追記* 05/03/20
文章が短かった。本当は最後の部分も入れる筈だったのですが、アップした時には抜けてました(滝汗)ですが直したのでこれで次回の話がきちんと繋がります。本当に抜けてる管理人ですみません。





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