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LOVE FOOL
いつもと変わらぬ男子テニス部の光景にいつもと少し違う光景があった。 「部長のバカー」 コートで怒鳴り声を上げるのは異例の1年生ルーキーでテニス部の王子様こと越前リョーマだった。 「バカはないと思うのだが…」 そしてその隣で返事を返すのは青学のテニス部部長で王様でもある手塚国光だった。 当然部員達はリョーマの台詞の内容に驚く。なにせ青春学園きっての才色兼備なこの男をバカ呼ばわりしているのだから。当然手塚は部員達にとっては雲の上の人物だったりするわけで、一瞬コートの中がシーンと静まりかえる。そして直ぐにザワザワと騒がしくなるが、手塚が軽くコート内を一別しただけでまた部員達は部活動を再会した。
そんな事に全く気づかないリョーマは尚も手塚に文句を言い続けていく。 「じゃあ、わからずや?がんこもの?じじくさ?イロメガネ?」 リョーマは左手で指を折りながら思い出したように手塚に暴言を振りまく。 「越前…その台詞誰に教わった?」 手塚の眼光が一瞬鋭くなるがリョーマは台詞を思い出すのに必死になっているので手塚の表情には気付いてない。 「ん〜と不二先輩とか乾先輩とかエージ先輩とかが教えてくれたの!でも俺も意味わかんない…」 リョーマが顔を上げ手塚を見ながらそう答える。手塚は「そうか」と少々疲れた顔をリョーマに向ける。そしてコートで練習をしている不二、菊丸、乾の3人を鬼のような形相で睨んでいた。ちなみにそれを目の当たりにした部員達は半泣きで練習をしていた。そして睨まれている3人は「こわいなぁ」「手塚どうしたんだろ?」「今日はいつもより眉間の皺が3本多い…と」など呑気に練習をしていた。大石は相変わらずの胃痛であやうくコート内で倒れる寸前だったとか…。
「部長〜っ俺の話聞いてるの?」 リョーマはコートを見ている(正確には睨んでいる)手塚のウェアの袖をクイクイと引っ張る。 「あ…ぁ」 手塚は振り向いて目線をリョーマに合わす。ちなみに手塚の表情は先程とは一変して微かに笑みを浮かべている。普段無表情なのに何でそんな芸当ができるんだ!?と突っ込まれそうな変わり身の早さだった。 「じゃあ俺のお願い聞いてくれる?」 リョーマは笑顔を向けて手塚にねだる。 「それは却下だ」 手塚は軽く溜息をつく。 「何で〜?」 「今は部活中だからな」 手塚はリョーマの頭をポンポンと優しく叩く。 「そんなの関係無いじゃん!」 「…リョーマ俺は部長だから規律を乱すような真似はあまり出来ないんだ」 「それ以前に俺の恋人でショ!国光は」 リョーマのその台詞に手塚は一瞬言葉に詰まる。 「だが、今は部活の最中だ」 何とか手塚はリョーマに分かってもらおうと言葉を選ぶが逆にリョーマはどんどんと不機嫌になっていく。 「恋人のお願いも国光は聞いてくれない程の仕事人間だったの俺忘れてた!もういい、やっぱり国光なんか大っキライ!!」 リョーマは頭に載っている手塚の手を払いのけてそのままコートから出ていこうとするが、手塚に抱きしめられそれは不可能になった。 「はなしてよ〜国光なんて嫌いなんだから」 「リョーマ…」 バタバタと腕の中で足掻くリョーマに手塚は溜息をつくとヒョイとリョーマを抱き上げる。とはいっても小さい子供が父親に抱っこをされるような形だが。 手塚はリョーマの背中を優しく撫でながらリョーマの涙を舌先で拭う。 「くにみつ〜」 リョーマは手塚の首に自分の両腕を絡ませると、肩に顔を埋める。 「俺が悪かった…」 手塚はリョーマをあやしながら謝る。 「前から約束をしていたのに…本当にすまない」 「ううん。俺こそワガママ言ってごめんなさい…国光が忙しい人だて分かってるのに俺…国光の事困らせて…」 リョーマは手塚の肩から顔を上げながら泣いたせいで少し舌足らずな声で話す。 「悪いのは俺の方なんだからお前は気にするな。昼過ぎなら多分生徒会の用事も終わっているから、それから一緒にか出かけるか?」 「うん♪俺国光と一緒ならどこでもいーよー」 手塚の提案にリョーマは嬉しそうに頷く。手塚もリョーマにつられてリョーマにだけわかる様に優しく微笑む。 「…あのね」 手塚の笑みで顔を赤く染めながらリョーマは恥ずかしそうに手塚の髪の先を左手でツンと引っぱる。 「どうした?」 「あのね…国光の事キライだなんて嘘だから。大嫌いて言ってゴメンネ。本当俺…は大好きだよ国光のこと」 「あぁ俺もリョーマの事が世界で一番大好きだぞ」
一方外野側はといえば… 「全くいい加減にしてほしいよね〜」 不二はそう言いながらもストレッチをしている河村の背中に腕を絡ませている。 「あそこまで堂々と出来るのもあの二人ならではだな」 「そっスね」 と言う乾&海堂はお互い以外入り込めない雰囲気を出している。 「相変わらず熱いっすね〜部長と越前俺も帰りに不動峰に…っと『今日は一緒に帰ろうね』…ラッキーあの邪魔な兄に会わずにデート出来そうだv」 ポケットから携帯を取り出す桃城の顔は誰から見ても浮かれていた。というか部活中に入れとくな! 「頼むから部活の時だけはしっかりしてくれ…うぅ胃が……」 唯一の常識人、大石はそんなレギュラー陣を見ながら胃を押さえ今度はコートに膝をついた。 「大石大丈夫かにゃ〜?」 菊丸は慌てて大石の側に薬と水を持って走ってくる。さすがゴールデンコンビ!大石は薬を飲み終えて一息つく。 「ありがとうエージ」 「大石本当大丈夫?」 「エージこそよく平気だな?この状況」 「だって皆幸せだからそれでいいんじゃない?」 お気楽な菊丸の台詞に大石は頭通も襲ってきた気がした…。 果たして大石の苦労はどこまで続くのだろうか?
そんなこんなで今日も青学の男子テニス部は平和だったりする。
END
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