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風流にね




「俺、お花見がしたい!」

 部活が終了し、更衣室で皆が帰り支度をしている中リョーマが突然隣で着替えている手塚に言う。

「花見?」

 手塚は不思議そうにリョーマに聞き返す。

「うん!日本は春になったらお『花見』っていうのするんでショ?」

 わくわくしたようにリョーマは手塚に聞く。

「まぁ花見は一応日本の伝統行事みたいなものだしな…」

「じゃぁやろうよ!」

 答える手塚対し、にリョーマは手塚の袖を引っ張りながらせがむ。

「しかし…」

「お花見なら僕たちも行こうか」

「行く行く〜俺もおチビとお花見したい〜!」

「今の時季なら丁度見頃だな」

 手塚の声を遮るように後から声がかかる。手塚とリョーマは同時に後に振り向くとそこには青学テニス部の曲者(性格面)の代表三人がいた。

「酷いな〜僕達を抜け者で二人で花見に行くなんて」

「そうだにゃ〜手塚ってば酷すぎ〜!」

「大体花見は本来大勢で楽しむものだと思うが」

 三人三様の台詞に手塚は頭が痛くなってくる。自分はまだ行くとも何も言ってない筈なのにすっかり行く気らしい。

「俺はまだ何も言ってはいないのだが」

「国光は俺と一緒にお花見したくないの?」

 リョーマが泣きそうな目をして手塚を見上げてくる。

「………リョーマ頼むからそんな目を向けないでくれ」

 手塚はリョーマの両肩を軽く掴み目線を合わせる。

「国光はお花見嫌なの?」

 リョーマは再度問う。

「別に嫌とは言ってないが…」

「じゃぁ、やろうよ!俺日本に来たばっかだから全然フウリュウってものやった事ないんだから!!」

「わかった。花見をしような」 

リョーマの剣幕に手塚は多少怯みながらも同意する。相変わらず可愛い恋人のおねだりには勝てない手塚だった。

「国光大好き〜」

 言葉と一緒にリョーマは手塚にギュっと抱きつく。手塚もリョーマを抱きしめながらおでこに軽くキスをする。

 

 

「また二人の世界作っちゃって少しは周りも見てもらいたいよね」

 不二が冷めた目で二人を見ながらぼやく。

「…不二俺が言うのも何だがあの二人はお互いしか見えていないからな」

 乾が不二を見ながら最もな事を言う。

「わかってるよ。ただあんな風に公衆の面前でも変わらない二人が羨ましいな〜なんて思ったりしただけ」

 不二は含み笑いを浮かべながら制服のボタンをとめる。ちなみに桃城を除くレギュラー陣以外の部員は部室にはいない。

「成る程」

 どうやら不二は少しばかりあの二人が羨ましいらしい。と乾はノートに書き始める。不二の恋人の河村は今日は家の手伝いで部活終了後すぐに帰宅してしまたのだ。

「さてと…手塚、越前取り込み中すまないが場所は俺が決めても平気か?」

 乾は相変わらずの二人に確認をとる。

「あぁ別に俺はかまわないが」

「俺も国光と一緒に花見できればドコでもいいっスから」

「わかった」

 二人の回答に乾は満足そうに頷く。

「それじゃあ今日の7時に校門前に集合でかまわないか?」

 乾の言葉に全員が頷くと、そのまま解散となった。

 

 

 

時刻は7時。校門の前に河村含むメンバー8人がいた。ちなみに桃城は本日彼女である橘杏と一緒に不動峰の花見の方に行くという連絡があったため欠席となった。

「それじゃぁ花見に行くか」

 

 

途中にあるコンビニで一同飲み物や食べ物など色々な物を買いながら乾の後をついて行く。

「ここだ」

 乾が指した先には神社があった。そのまま進んでいくが一向に桜は見えてこない。

「乾センパイ…本当にお花見できるの?」

 リョーマが訝し気に乾を見ながら質問する。

「勿論だ。もう少し先に行けばわかるぞ」

 乾は口元に軽く笑みを浮かべながらリョーマに返答する。

 そのまま進み続けるとそこには桜並木があった。

「ここは穴場だから多少騒いでも問題ないぞ」

 乾がそう言いながら一本の桜の下にシートを敷く。ちなみにこれは持参物である。

「スゴーイ!月の光で桜が光ってるなんて幻想的だね」

「そうだな」

 はしゃぐリョーマに手塚もその光景に見とれながら返事をする。月の光に照らされ淡く光桜は何とも言えない美しさだった。

 それは他のメンバー達も同じらしく皆桜を眺めている。

「ねぇ国光」

 リョーマは手塚の右腕に腕を回しながら見上げる。

「どうした?」

「あのね…俺国光とこうやって色んなものが見れて幸せだよ」

 リョーマは照れた様にそういうと手塚から腕を放し皆のいるシートの方へ走っていく。

「くにみつ〜お花見始めようよ〜」

 リョーマがシートの方から手塚を呼ぶ。

「あぁ今行く」

 手塚は歩きながらリョーマの先程の台詞を思い出し思わず笑みがこぼれてしまう。

「俺もリョーマに会って色々なものが見れて幸せだ」

 手塚ははらはらと風で舞う桜の花びらを見ながら誰に言うでもなく言う。そして恋人と友人達の元に歩いていくのだった。

 

 

 

 

ー翌日ー

「頭ズキズキする〜」

「当たり前だろう。酒なんか飲むからだ。」

 手塚は頭痛で欠席となったリョーマの見舞いに来ていた。ちなみに欠席の本当の理由は『二日酔い』だったりする。

「あれは俺のせいじゃないじゃん〜っ」

 リョーマは自分の声で頭を押さえる。とにかく大声は頭に響いて仕方がない。なので朝から父親の部屋の入室は禁止していたりするリョーマだった。

「まぁ、そうだな」

 昨日ジュースと間違えて手塚がリョーマの異変に気づいたのはすでに一缶全部空けた後だった。ちなみに購入者はいつものと同じく不二と乾辺りらしい。何せ自分以外の人間が全員飲んでいたのだから。ちなみに二日酔いとなったのはリョーマのみ。他の者は大体免疫が出来ているからだ。

「とにかく今日はゆっくり休んで明日は学校に出てこい」

「国光ってセンセイみたい」

 リョーマがクスクスとおかしそうに手塚を見る。

「一応俺は部長という管理職についてるからな。性分だ」

「俺も部員だから来てくれたんだ?」

 ちょっと拗ねた口調のリョーマに手塚は口元に笑みを浮かべる。

「お前は恋人だから心配して来たんだがな」

 そう言うと手塚はリョーマの顎を捉えリョーマと視線を合わす。リョーマも目をゆっくり目を閉じるとそのまま唇が触れるだけのキスが降りてきた。





あとがき

すみません花見じゃないですね…。タイトルも嘘っぱちだし……。参った(汗)