年末年始
ゆらゆらと肩を揺さぶられて俺は重い瞼を開ける。
「ん〜…」
ゴシゴシと右手で目元を擦りながらリョーマは肩に置いてある手を見る。
そしてゆっくりと手の主である手塚を見上げた。
今日は手塚の家に泊まりだった事をリョーマは思い出した。
リョーマの家は父親が住職代理の為、年末年始は沢山の人が寺にやってくる。
勿論両親は大晦日や元旦は忙しい。従姉妹の菜々子は今年は大学の友人と一緒に出かけているためリョーマは一人で過ごす筈だったのだが、手塚がそんなリョーマの家の事情を知り31日は手塚の家に1泊する事になったのだった。
「もう寝た方が良さそうだな」
手塚は苦笑しながら少し寝癖リョーマの髪を手で梳き、元に戻す。
「…やだ」
その台詞にリョーマは首を横にふる。
「だが、もう眠いのだろう。今日はもう寝た法がいい」
手塚はそういいながらリョーマの髪の頭を小さい子供にするように優しく撫でる。
「絶対にヤダ!だって今年はもう少しで終わっちゃうんだよ?」
リョーマは両手を拳の形にして一生懸命訴える。
「今年は今しかないんだよ?俺、年の終わりも始めも国光と一緒に過ごしたい…」
「リョーマ…」
手塚はそっとリョーマの躰を自分の方に寄せ、抱きしめる。
「国光?」
リョーマは顔を上げて手塚を見る。
「俺も、一緒に過ごしたい」
手塚は口元に小さな笑みを浮かべてリョーマを見た。
「一緒に年末年始迎えようね」
「そうだな」
手塚はそういいながら、リョーマの右頬にそっと左手を置く。
そしてそのままゆっくりとリョーマの唇を塞いだ。
初めは、啄むような触れるだけの口付けが、次第に深くなっていく。
「ん…っ…」
リョーマの唇が微かに開くと、手塚はそのまま舌を忍ばせリョーマの舌を絡め取りキツク吸い上げる。
「ふぅ…んんっ…」
何度も角度を変えてくる激しい口付けに、リョーマは躰の力が抜けていく。手塚の服を両手でキツク握りしめながらもリョーマは一生懸命手塚の口付けに答える。
クチュ…っという音を立てて唇が離れる。
「…ぁ…」
離れる瞬間、二人の口には透明な唾液の糸がひかれた。それを見たリョーマの顔が赤く染まる。
「どうした?」
手塚は顔を赤らめて、突然俯いたリョーマに軽く首を傾げる。
「なんでもない」
そのまま手塚の胸に凭れながらリョーマは恥ずかしそうに呟く。
と、その時携帯からアラーム音が鳴り響いた。
手塚は携帯を手に取ると、アラーム音を消すと腕の中にいるリョーマはギュっと力強く抱きしめる。
「あけましておめでとうリョーマ」
耳元で囁かれてリョーマの顔が一層赤く染まる。
「12時にアラームがなるよう設定していたんだ」
手塚は携帯の画面をリョーマに見せながら説明をする。
「何か…ムカツク」
ポツリと呟くリョーマの台詞に手塚は驚く。
「え?」
思ってもみなかった台詞に驚く手塚の胸元をリョーマは両手で押しのけると、ムッとした表情で手塚を見上げる。
手塚は困惑気にただリョーマを見ることしかできなかった。
「だって、一緒に言いたかったんだもん…」
リョーマ台詞に手塚は自然と口元に笑みを浮かべる。
年下の恋人の可愛い台詞に手塚はもう嬉しさでいっぱいだった。
「それは悪かった。だったら今から言おう。少し時間は過ぎてしまったが、初めには変わりない」
手塚はリョーマの顔を覗き込みながら言う。
「国光の方が先に言っちゃったケド」
一方リョーマはちょっと悪戯っぽく笑いながら手塚を見てそう言う。
「だが一緒に言うのはまだだろう?」
手塚も負けじとリョーマに言い返す。
「……すっごい…キザ」
耳まで赤く染めながら言うリョーマに手塚はクスリと小さく笑う。
「国光がそこまで言うんだったら別に俺はいいけど?」
端から聞けば我が儘な台詞だが、それはリョーマの自分に対する甘えだと思っている手塚は目元を綻ばせる。
「ありがとう」
「どーいたしまして」
二人してクスクスと笑い合いながらリョーマが頷く。
「あけましておめでとう国光」
「あけましておめでとうリョーマ」
二人の声が同時に響く。
「今年もずっと二人でいようね」
告げながら、リョーマは手塚の頬に掠めるだけのキスを送る。
「勿論だ」
手塚もリョーマの頬にチュッと音のなるキスを送る。
そして再び、唇を合わせた。
今年もまた愛しい人と一緒に過ごせますように。
そんな願いを胸の中で唱えながら、新年は始まったのだった。
コメント
明けましておめでとうございます。新年越してから年末年始をUPしているダメダメ管理人。今回ネタが…うまく思いつかなくて苦戦しながら何とか書き上げました。新年早々プチスランプ入ってるのかもしれません(苦笑)
100のお題は「おわり」にさせてもらいます。本当は「はじまり」と「おわり」の両方な感じもするのですが、はじまりはまた違うネタでやろうと思ってます(ネタ思いついたのでv)
今年も昨年同様、見ていて恥ずかしくなるような話を中心に頑張ります(笑)
ではでは皆様、本年もどうぞ宜しくお願いします。