「ねぇ国光」
「部活中は『部長』だ」
レギュラーコートの外で練習試合の順番待ちをしている手塚に、同じく順番待ちのリョーマが話しかける。
「今は誰もいないもん!」
頬を膨らませて、手塚を下から睨みながらリョーマは反論する。
「そうだな」
手塚はリョーマの幼い仕草や口調に小さく笑いながら答える。
(睨んでいるというよりは見つめている…に近いな)
手塚は大きな瞳で自分を見上げるリョーマを可愛いと思いながら無意識にリョーマの髪を撫でる。
「リョーマは俺に何を聞きたいんだ?」
手塚はリョーマに問いかける。
「うん!あのね、女子ってどうしてマスカラつけるのかな〜って思ったんだ!」
リョーマは手塚に頭を撫でられながら機嫌良く答える。
「マスカラ?」
リョーマの台詞に手塚の方が疑問に思う。
「どうしてマスカラが気になるんだ?」
変な所を気にするリョーマに手塚の方が思わず問いかけてしまう。
「俺が先に聞いたんだけど?」
リョーマは溜息を吐きながら手塚を見る。
「…すまない」
「じゃぁ教えてv」
リョーマは手塚のジャージの裾を引っ張る。
「俺は男だからわからないがマスカラで女子は自分がもっと良く見えると思っているのだと…思うが」
手塚は少し困ったように答える。
「ふ〜ん…でも俺にはあまり大差無いと思うケド」
リョーマは納得できないという顔で手塚を見上げる。
「だが女子は違うのだろう」
手塚は苦笑しながらリョーマを見る。
「男と女では考え方や発送が異なる事はリョーマだってわかっている事じゃないか?」
「それくらい分かってる」
フイっとそっぽを向くリョーマを手塚は見守る事にする。
ヘタに何か言ってリョーマのヘソを曲げるよりリョーマが自分から話しかけてくるのを待った方が得策だという事を付き合うようになり手塚が知った事である。
「…あっ、でも男と女でも考えが同じ所はあるよ!」
リョーマは何か思いついたように手塚の胸に飛びつく。
一方手塚はいきなり飛びつかれてよろけもせずにリョーマの躰を抱きしめて受け止める。
「好きな人にはいつまでも好きでいてもらいたいっていうのは男も女も同じだよ!」
手塚に抱きしめられながらリョーマは嬉しそうに言う。
「そうだな。好きというのは性別も関係ないものだ」
手塚もリョーマにつられて笑みを浮かべる。
「なら何となくわかったかも…」
「何がだ?」
リョーマの台詞に手塚が問いかける。
「マスカラ…いつまでも大好きな人に好きでいてもらいたいから女の子はお洒落するのかな〜って」
「そうかもしれないな」
リョーマの頭を撫でながら手塚が答えると、リョーマは手塚の腰に腕を回して顔を埋める。
「…国光もやっぱりキレイな子がいいの?俺もお化粧とかしたらもっと好きになってくれる?」
手塚のジャージに顔を埋めるようにしながらリョーマは呟いた。
「俺は今のままのリョーマが好きだ。素顔のそのままのリョーマに俺は惚れたからな」
手塚はリョーマを抱く腕の力を強くしてギュっと抱きしめる。
「俺も素顔の国光が大好きだから一緒だねv」
「あぁ」
「全く、いつまでラブラブオーラ出してるのかなぁあの二人は…とっくに出番なんだけど」
すっかり二人の世界に入っている手塚とリョーマを見ながら魔王はドス黒いオーラを出しながら文句を言う。
そしてそのオーラに怯える男子テニス部員とレギュラー数名がコートの隅に固まっていたとか(笑)