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Happy Happy Birthday

 

 

 

「そ〜ら〜」

「くーちゃ〜ん」

廊下を歩いていたら、ナオと祭が俺を呼ぶ声が聞こえて振り返ったら…目の前に何かを押し付けられた。

俺は窒息しそうになるのを避ける為に、一歩後ろに下がる。

「二人ともいきなりなにするんだよ!」

呼吸をしながら、少しだけ怒った口調で言う俺に二人はクスクスと笑う。

(何だか不気味なんですけど)

俺は正直、この二人の事はよく知らないというか覚えていないけど、二人とも俺にとっても優しくしてくれるので好きだったりする。

でも大好きなのはやっぱり真一朗だけど。

 

「もしかして空、今日が何の日か忘れちゃってる?」

「…今日なんかの日?」

祭がまじまじと俺を見るので、俺はもう一歩下がってしまう。正直今日が何の日か全くわからない。

俺は腕を組みながら、う〜んと真剣に悩む。

「今日はくーちゃんの誕生日なんだよ」

俺が余りにも悩んでいたのを見て、ナオが苦笑しながら俺に『答え』を教えてくれた。

ナオの言葉に隣にいる祭も「うんうん」と頷く。

「ほんとう?」

「いつから、空は僕達の言葉を疑うようになったのかな〜?」

祭が満面の笑顔を向けながら、俺の両頬を掴んでフニフニと引っ張る。

「いひゃい…」

「うん。痛くしてるからね★」

この時、俺は祭の言葉を疑うのはやめようと心に誓った。

「祭ちゃん、くーちゃんも記憶が曖昧だから」

ナオが俺達を見かねて助け舟を出してくれた。

「ナオ君が言うなら許してあげる。空、ナオ君に感謝だね」

「もう、祭ちゃんたら」

祭の言葉にナオは少し頬を赤くする。

「ナオありがとー」

俺はナオにお礼をいう。だっていつも祭が俺を苛める(正確にはからかってるのだが)時にはナオが助けてくれる。

「どういたしまして。遅くなったけど、くーちゃんお誕生日おめでとう。これ僕達からのプレゼント」

ナオはにっこりと笑顔で俺の前に大きな包みを渡す。その包みがさっき俺を窒息させかけた物だという事はすぐに分かったが…大きさが半端なく大きい。

どれ位かというと、包みが大きくてナオの顔が見れない程大きいのだ。

「空、誕生日おめでとう。まさか僕達のプレゼントが受け取れない…なんて事は言わないよね」

プレゼントを見てぼ〜っとしている俺を見ていた祭はまたもや笑顔で俺を脅す。

俺は慌てて首を左右にブンブンと振ると、ナオから大きな包みを両手で受け取る。

包みは大きさには似合わず、案外軽かった。

「ナオ、祭もありがとう」

廊下に包みを置き、目の前いいる二人にお礼を言う。

真一朗から、お礼はきちんと言いなさい。っていつも言われてるもんね。

「そろそろ真一朗が授業終わって部屋に戻ってくると思うから帰るね。二人共プレゼント本当にありがと〜」

俺は、両手で包みを抱きしめるように持ちながら、真一朗のいる数学教論室に向かった。

 

 

 

「はぁ、空がこんなになっちゃうとは…水都先生は躾はきちんとしているんだね」

「…ムカツク。僕もくーちゃんに一から色々と教えたかったのに」

「その前に僕が色々とナオ君に教えてあげるよ」

「まっ、祭ちゃん!////」

空のいなくなった廊下では、直の腰に手を当てながら妖艶な笑みを浮かべる祭と、顔を真っ赤にして恥ずかしがる直の姿があったとか。

 

 

 

 

おぼついた足取りで、目的地である数学教論室の前に俺はようやく辿り着いた。

一旦荷物…もとい、プレゼントをドアの側に置いて、俺は教室のドアを開ける。

「まだ真一朗は帰ってきてないんだ」

教室の中には人気が全くないので、真一朗が帰ってきた形跡はなかった。

俺はテーブルの上にナオと祭から貰ったプレゼントを置き、リボンを引っ張り包装紙を剥がしていく。

そして出てきたのは…大きな犬のヌイグルミ。

真っ白で大きな目の犬のヌイグルミを触ると、毛がサラサラでとても抱き心地が良さそうだった。

俺は大きな犬のヌイグルミを抱きしめてソファの上に寝転がる。

「可愛い」

全体の配置やバランスがとても良く、何より大型犬の愛らしい顔で手触りも良いのだ。

俺は抱きしめながら、段々とうとうととしてきた。

いつもこの部屋に入ると、安心して俺は睡魔に襲われる。

真一朗にその事を言ったら少しだけ嬉しそうな顔をしてくれて「寝たいなら寝ていて構わない」と言ってくれた。

それ以降、殆どこの部屋に来ると俺は眠くなって寝てしまう。

そんな事を思い出しながら、俺はいつも通り眠りの世界へと向かうのだった。

 

 

 

「これは…」

眠っている空の前に部屋の主である水都真一朗が立っていた。

授業が終わり戻ってきたら先客がいた。

先客に関しては、自分の所有物なので全く問題はないのだが、問題はその両手で抱きしめている物体。

「相沢か?」

最近、空を甘やかす相沢がふと水都の脳裏に浮かんだが、相沢に限ってヌイグルミというのはまず無いだろう。

水都はテーブルの上に置いてある包装紙の纏まりを見ると、包みの中に小さなカードを見つける。

カードを取り出し、書かれたメッセージを読む。

 

『水都先生へ

 

今日は空の誕生日でしたのでプレゼントを贈りました。どうせ貴方の事だから当日まで空に黙っている可能性が高かったので、僕達は先に空に知らせちゃいましたv

誕生日に一番初めに『おめでとう』という権利くらいは貰いますよ。  』

 

「…成る程」

メッセージを読み真一朗は納得するが、腹は立つ。

メッセージの送り主は書いていないが書いた人物は充分に分かる。

空の幼馴染の二人。

怒るにしろ、空は自分が誕生日なんて事は全く知らなかったのだから怒れない。

そして幼馴染二人にも、あの文章がある時点で既に怒ったら負けである。

「はぁ…」

水都が溜息を吐くと、ソファの上にいる空が小さく身動かす。

「空?」

水都の声に反応したかのように、空は目蓋を開けた。

 

 

 

 

大好きな人の声が自分の名前を呼んだのを感じて俺は目を開けて、ソファの上から上半身だけを起き上がらせた。

「し…いちろ…?」

起きたばかりで上手く声が出せないけど、目の前にいる大好きな人の顔を見て思わず嬉しくなる。

「空」

真一朗はしゃがんで手の甲でゴシゴシと目を擦る俺の頭を撫でてくれる。

真一朗の手の温かさに俺は知らずの内に笑みが零れてしまう。

「おはよう…真一朗」

俺の挨拶に真一朗は苦笑しながら「おはよう」と返事を返してくれた。

「遅くなってしまったが…、誕生日おめでとう」

「え…?」

「本城達から聞いただろう?今日がお前の誕生日だって。本当は…一番初めに言う予定だったが朝に行き成り緊急会議は入ってしまったからな。言う機会を逃した」

後半は少し不機嫌そうに話す真一朗だったけど、俺はそんな事どうでもよかった。

だって、真一朗から『おめでとう』と言われた事の方がビックリで、だけど凄く嬉しい。

「…一番初めに言えなくて、すまない」

「ううん。何番目だって真一朗に『おめでとう』って言われたら一番嬉しいよ!だって真一朗が一番大好きだもん」

「空」

真一朗は優しく微笑んでくれて俺を抱きしめてくれた。

「本当だよ?真一朗に言われるのが一番嬉しいんだから」

俺も真一朗の背中に手を回して、ギュッと抱きついた。

「来年以降は私が一番先に『おめでとう』と言うからな」

真一朗が物凄い本気で言っているのが分かり、俺は嬉しくて「うん」と真一朗の腕の中で頷いた。

 

 

 

こうして水都のペットになってから初めての誕生日は幕を閉じた。

 

勿論、夜はいつも以上に可愛がられたのは言うまでもない。

そして朝、ベットの横には青い石のピアス入ったケースが枕元に置いてあったのだった。

 

 

 

 

 

コメント

所要時間1時間半。本当に勢いで書きあがりました。遅くなりましたが、空誕生日おめでとう!そしてペットになってから幼児化が進み過ぎ(汗)
祭×直書けて良かったですv個人的に直の相手は祭と何かもう訳の分からない自分法律があります。
内容が甘い…水空でこんな文章を書く日が来るとは…。最近のバカップル傾向が尾を引いてるのかな…何だかピンクのオーラが飛び交う話ばかり書いてる気します。
何はともあれ、無事に終わって良かった(本当に)このSSフリーなので、持ち帰りたいをしたいと希望する心の広い方、ご自由にお持ち帰り下さいv






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