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大切な人との誕生日

 

 

 

いつも通り、授業が終わり数学教論室に帰ってきた真一朗を出迎えてソファの上で真一朗の膝の上に跨るように乗りながら、俺はお帰りなさいのキスをした。

でも、今日はちょっと違かった。

いつもなら真一朗もキスを返してくれて、それから直ぐに机の上の書類整理に向かうのだ。

なのに今日はキスの後も俺の髪を撫でて俺をソファの上から降ろそうとしない。

(真一朗と一緒にいられるのは嬉しいけど)

ちょっとだけ、いつもより長くいられて嬉しくて、俺は真一朗の胸に頬を擦りつける。

真一朗はそんな俺の態度にクスっと小さく笑って、俺の髪を優しく撫でる。

「今日はお前の誕生日だ。何か欲しいモノはあるか?」

真一朗は髪を撫でながら…俺自身も全く予想していなかった台詞を呟いた。。

(きょうって俺の誕生日なんだ〜……)

髪の毛を撫でられている気持ちよさに俺は半ば夢うつつ状態だったが、真一朗の台詞を反芻してふと重要な事を思い出した。

「……今日って俺の誕生日なの!?」

俺は勢いよく首を上に向けて、真一朗の顔をマジマジと見る。

(何で真一朗が俺の生まれた日知ってるの?俺自身が知らないのに!?)

「お前は本当に考えている事が顔に出るな」

真一朗は肩を小刻みに揺らしながら俺を見て笑っている。しかも目元に微かに涙らしきものが浮かんでいるのは俺の気のせいだろうか?

「〜っ…どうせ俺は顔にで出やすいよっ!」

恥ずかしさと、真一朗にあそこまで笑われて悔しくて、俺は顔を真っ赤にしてプイッと首を横に向ける。

「そこが可愛い所なんだけどな」

真一朗は俺の右頬を手の甲で下から撫で上げながら優しく、説くように言う。

「空?」

そっぽを向いたままの俺に真一朗は穏やかに名前を呼んだ。

(俺がそう呼ばれて逆らえないの知ってて〜っ)

俺は途端に真一朗が少し憎くなる。

いつも余裕で、俺の事何でも分かっていて…俺より俺の事分かってる気もする。俺は真一朗の考えてる事なんて何にも分からないのに。

そう言えば真一朗は絶対「私は飼い主だからペットの事を知っていて当たり前だ」とか行って来るんだろうケド…俺はそれじゃ何だか嫌だ。

現に今もそうだ。

俺自身、自分の誕生日なんて全く知らなかった。

なのに真一朗は知っている。

俺は…目が覚めたら、目の前に真一朗がいて、それで俺に「空」って名前をくれて優しく抱きしめてくれた事しか覚えてない。

よくわからないけど、記憶喪失というのに似ているものらしい。普通の記憶喪失ではないという事は真一朗が教えてくれた。

だから自分が今までどんな生活をしていたのかもサッパリわからない。

でも…今の生活は本当に幸せで俺は記憶が無くなって良かったって思ってる。

俺を凄く可愛がってくれる真一朗が側にいるんだもん。だから記憶が甦って元の自分に戻りたいっていう気持ちがあまり沸き起こらない。

でも真一朗は昔の俺も知っているんだよね?だって初めて真一朗と会ったとき、二人きりで俺は真一朗の名前をちゃんと知ってたし…ちょっと不思議だよな。

「…ら……そら…、…空っ」

「えっ?」

突然名前を呼ばれて俺は躰を思いきりビクつかせたと同時に、顎を強い力で捕まれ横に移動させられた。

真一朗と目が合う。

「っ…しんいちろ……」

強引に顎を捕まれたた痛みと、真一朗の瞳に微かに苛立ちが含まれていて俺は痛みと恐怖に声が掠れた。

「何を…考えていた?」

真一朗は怯えた様子の俺を見てますます不機嫌になる。

真一朗の不機嫌な表情を見て俺は狼狽える。

長く側にいるから、真一朗が機嫌の良い時や怒っている時の表情を俺は全てわかる。

意地悪な時でもこういう風に怒ったような表情をするが、そういう時は目だけは微かだが優しさを含んでいる。でも…今目の前にいる真一朗の目は冷たい。

こういう時の真一朗は本当に恐い。

今まで一度も無いけど、このまま捨てられそうな感じもする。

真一朗は絶対俺を捨てないという保証は無い。

俺がイイコにしていればずっと側に置いてくれるって言ってたのを俺は覚えている。

それにこのまま捨てられたら俺自身、どうやって生きていけばいいのだろう。

いつもそう。真一朗は普段はとっても優しいけど、時々凄く恐い。

「…私に言えない事を考えていたのか?」

「違うっ!そんな事考えてない」

真一朗に向かって必死に俺はそう言う。

いつだって俺の頭の中は真一朗の事でいっぱいなのに…。

「なら、私と一緒にいながら何を考えていた?」

真一朗は俺の顎を上向かせると、真っ直ぐ…射抜くように俺を見つめた。

何もかも見透かされるような瞳で見つめられ、俺はゴクリと唾を飲み込むと微かに震える唇を開き、心の中で疑問に思った事を聞いてみた。

「真一朗は…どうして俺の誕生日知ってるの?」

まじまじと真一朗を見ながらボソッと呟く。

だが、真一朗はそんな俺の台詞を聞いた途端眉を顰めて目を細めた。

(怒らせた?)

俺は自分の質問がしてはいけなかった類のものだと思い、狼狽える。

「あの、俺っ…真一朗を困らせるような事何かしちゃった?…あのね、真一朗が話したくないなら……俺、もうなにも…聞かな…っ…から……ふぇ…ぅ…捨てっ……な…で…ぅぅ」

俺は、言っていながら段々と訳も分からず嗚咽と涙が一気に溢れてきた。先程から考えていた『捨てられる』という言葉が自分の中で大きく育ちもう何を言っているのか自分でも分からなかった。

「しん…ちろぉ……」

名前を呼んだ途端、両頬を軽くパチンと挟まれた。

「誰が…お前を捨てると言った?」

涙で視界が歪んでいたけど、俺はその歪んだ視界の中で精一杯真一朗を見つめる。

「私がお前を捨てる筈ないだろう。やっと手に入れたのだから…」

真一朗は俺の涙を指先で拭いながら小さく溜息をつく。でも、口調は何だか穏やかな気がする。

俺はそんな真一朗の声を聞いて少し安心した。

安心して少し気が抜けて、俺はそのまま思っていた事をポツリポツリとだが真一朗に話していった。

「だって…しんいちろ…、怒っ…てた、…から…」

「確かに怒ってはいたな」

真一朗は頷く。

その台詞に俺は小さく方を強張らせるが、真一朗が「それで?」と呟きながら俺に続きを言わせる。

「おれ…だから…、捨てられる…って……おもって…」

自分で言っていながら、再びふぇぇという声と共に涙が溢れてきた。

だって、ここで『そうだ』と言われたら俺は…大袈裟だけど生きていけない。

真一朗は取り留めなく頬を流れる俺の涙を指で拭いながら、今度は盛大な溜息を吐いた。

「馬鹿な子ほど可愛いというが…お前は本当に馬鹿過ぎだな」

そう言いながら、真一朗は俺の躰をギュッっと両腕で包むように抱きしめた。

「しんいちろぉ?」

「全く、どうしたらそんな考えが思い浮かぶんだか…私がお前を捨てるなどという馬鹿な考えが?やっと手に入れたお前を何故捨てるなんて勿体ない事をしなければならないんだ」

しっかりとした、でもちょっと怒ったような口調で真一朗は言う。

「言っただろう?一生可愛がってやる…とな」

そして今度はとっても優しい声で俺の不安要素を一遍に拭ってくれる言葉を耳元で囁いてくれた。

「うん」

その言葉に俺は嬉しくて嬉しくて今度は違う涙を浮かべながら、真一朗の首に両腕を回し思いきり抱きついた。

「お前はいつからそんなに涙腺が弱くなったんだ?」

真一朗は苦笑し、そう言いながらも俺の躰を離す所か、もう一度、強く抱きしめてくれた。

 

 

 

暫くして俺はようやく落ち着きを取り戻して、真一朗の躰から上半身を離す。

「あのね…迷惑かけてごめんなさい」

シュン…と項垂れる俺の髪の毛に真一朗は優しくキスをした。

「別に私は迷惑をかけられた思いは無いが?いつもとは違う、可愛いお前が見れてある意味良かったしな」

意地悪な笑みを浮かべて優しく接してくれる真一朗に俺は嬉し過ぎで、笑顔を向けた。

「ところで、今日はさっきも言ったがお前の誕生日だ」

「うん?」

俺は真一朗の台詞に素直に頷く。

「ちなみに、どうして今日がお前の誕生日だとわかったかというと、お前が私の元にやってきた日が…私がお前に「空」という名を与えた日が3月21日だったからだ。これが誕生日の理由だ。何か不満があるか?」

「ううん!俺っすっごい嬉しい!だって真一朗は俺が初めて会った日の日付きちんと覚えててくれたんでしょ…だから俺今日が誕生日で不満なんてゼンゼン無いっ」

捲し立てる俺に真一朗は一瞬驚いた様にかすかに目を見開いたけど、その後はとっても優しい笑顔を俺に向けてくれた。

俺はポカーンと誰が見ても呆れるような顔で真一朗の顔を見つめていた。

そんな俺に真一朗は笑顔を苦笑に変えながら俺の頬を手の平で撫でた。

「今日はお前が私の元にやってきてからの初めての誕生日だ。何でも望む物を叶えてやるし買ってやる。お前は何が欲しい?」

真一朗はフフッと、小さく笑いながら、俺の頬を撫で続ける。

「何でもいいの?」

俺はちょっとだけ期待を込めた目をしながら訪ねる。

「あぁ。ただし、飼い主を変えてくれというのだけは無いからな」

ニッと口元に意地悪な笑みを浮かべる真一朗に俺は左右に首を思いきり振る。

(さっき真一朗に捨てられるのは嫌っていったばかりなのに…意地悪だ)

心の中で毒づきながらも、俺はここぞとばかりにずっと願っていた事を真一朗に告げる事にした。

「あのね…俺の望むモノはね……」

そう言いながら俺は真一朗の耳元に口を近づけて、秘密話をするようにコッソリと告げた。

「その願いならいつでも叶えてやる。お前の方からやっぱり嫌だと言ってももはや覆す事は絶対にできないぞ」

「うん」

笑顔で頷く俺に真一朗は笑いながら俺の唇に優しく触れるだけのキスをくれた。

まるでそれは誓いのキスのよう。

俺も真一朗にキスを送る。唇にそっと触れるだけだけど、唇から伝わる柔らかな感触と体温にとても心が安心する。

唇を離す瞬間、真一朗が小さく何かを呟いた。

それは俺の耳にまるで何かの旋律のように…すっと耳に届いたと同時に、心の中がとても温かくなる。

「Happy Birthday my SORA」

聞こえたのはこの声。この台詞。

当たり前に使われるフレーズだけどとてもそれは俺にとってはもの凄く嬉しい。嬉しすぎてどうにかなりそうな位。

自分のこの気持ちを真一朗に届けたくて、俺はもう一度真一朗にキスを送るが、今度は真一朗は俺の唇を舌先で軽く突くと、そのまま深いキスに変わる。

口内を嬲られ、激しく吸われて俺は苦しさに顔を赤く染めるが真一朗はそんな俺にはおかまいなしで、キスはどんどん深くなる。

唇の端からは互いの混じり合った唾液が流れ、線になり顎を伝っていく。

「んんっ…ふぅぅ………」

くぐもった声が唇から漏れるが、俺自身もうどうにもできなくて、必死に真一朗のスーツを握りしめる事しかできなかった。

「ぁ…はぁ…」

ようやく唇が離れた時には互いの舌先には唾液の糸が繋がっていて、俺はその光景を見て恥ずかしくなる。

「では家に帰ってお前の願いを叶えないとな」

真一朗は唾液で濡れた俺の顎を親指で拭うと、俺ごとソファの上から立ち上がる。

「今日はベットの上から出られない程可愛がってやろう。あんなに可愛い告白も聞けたのだからな」

「へ?……うわっ…」

俺は聞き返そうとした途端、真一朗は俺の躰を世間一般に言うお姫様抱っこで持ち上げた。

「ちょっ…恥ずかしい」

男性身長の平均値の俺を真一朗は軽々と持ち上げると、俺の額にチュッと小さくキスをした。

「お前が生まれて来てくれて私は嬉しい」

真一朗は真剣な眼差しで俺に言う。

「俺も、生まれてこうして真一朗の側にいられて本当に良かった」

俺も本心からそう思う。

こうして、大好きな人と一緒にいられるから。

俺を生んでくれた存在に本当に有り難うと伝えたいと思う。

願わくば、来年も再来年もずっとずっと、この人と一緒に誕生日を過ごして行きたい。

 

 

 

 

 

 

俺の欲した誕生日プレゼントは…

 

“ずっと一緒にいて−”

 

 

それが俺の願い。

他にはなにもいらない。

ずっと大好きな人と一緒にいたい。

俺の大切な真一朗とずっとずっと…。

いつまでもこんな関係を築き上げて行きたい。

だから俺の誕生日プレゼントを叶えてもらいたい。

俺の一番大事なアナタに。

 

願わくば、来年も再来年もずっとずっと、この人と一緒に誕生日を迎えられますように。

 

 

 

 

 

 

 

コメント

これ誕生日ネタなのか非情に微妙(滝汗)プレゼントというか空、完璧先生に騙されてるし(汗)あなたの記憶無くしたのは目の前の人物が元凶よ〜と思わず突っ込みたくなる内容ですが、空を祝おうと思う気持ちは詰め込んでます!水都先生の時もかなり凄かったけどこれも色々な意味で凄くなりましたね。二人とも別人過ぎで未知の生物に私は思えます(現実逃避)
また空の誕生日ですが設定はかなり無理有りますがそこはご愛敬で宜しくお願いします。

これから空は先生に食べられます。どっちが主役なのか分からないデス!日記にハッピーな内容とホラ吹きマシタ…ごめんなさい。ハッピーではなくもの凄く甘い…糖度当社比3割り増しでございます。

お題の内容は「願いは叶うよ」です。一応先生は空の願いを叶えようとしてらっしゃるので…。






BGM 遠来未来様 「きっとどこかで」