AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する

白いハンカチーフ

 




ガッシャーン

科学室に硝子の割れた音が響き渡る。と、同時に科学室のドアが開かれた。

「どうした!?」

入ってきたのは相沢だった。

そして、割った人物は真一朗。

「悪ぃ…ちょっと腕に当たったら割れちまった」

真一朗は近づいてくる相沢にバツが悪そうに頭をかく。

ちなみに割ったものは、試験管6個。試験管立て事落っことしたので、立ててあった試験管は全て割れてしまったのである。

「お前は大丈夫だったのか?」

相沢は床に砕け散っている試験管を見た後、真一朗の方に目を向ける。

「俺は別に平気だぜ」

両手をホールドアップの形にして何でもないと相沢に言う。

真一朗は、そのまましゃがむと大きな破片だけを集めようと試験管の欠片に手をつける。

「…真一朗」

真一朗の行動に相沢は少し声を固くして、見下ろす形で真一朗を呼ぶ。

「何だよ?それよりホウキとチリトリってココにはないのかよ?」

真一朗は破片を纏めながら俯いたまま相沢に話しかける。

「ロッカーにある」

相沢は短く答えを返す。

「じゃ、取ってきて」

準備室のドアを指差しながら真一朗は相沢に“取ってこい”と態度で表す。

「破片から今すぐ手を離せ」

が、相沢は小さく溜息を吐き、真一朗の方に右手をかける。

「手をケガするぞ」

当たり前だが試験管は硝子製。割れて尖った試験管の欠片は凶器とは言い難いが、充分傷をつけられる代物である。

それを真一朗は素手で触っているので、相沢としては止めてもらいたかった。

が、真一朗はクスクスと笑いながら相沢の方に首を傾ける。

「大丈夫だって!そんなガキじゃねーんだから」

『それよりはやくホウキとチリトリ』と目で訴えられて相沢は、仕方ないと言わんばかりに準備室に向かっていく。

恋人に言われたホウキとチリトリを持って…。

 

 

「後は自分で片付けろ……どうした?」

戻ってきて、相沢は真一朗の異変に気付いた。

「別に…どうもしねーけど」

真一朗は笑いながら相沢の顔を見るが、何故か左手で右手を隠している。

相沢は直ぐにそのことに気付き、真一朗を無理矢理立たせると左手を強引に右手から引きはがそうとする。

「オイっ」

「…これはどうした?」

力任せに左手を引き剥がされて、相沢が見たものは、赤く染まった真一朗の右手だった。

「…別にちょっと手の平を切っただけだけど…見た目は酷そうだけど実際は浅くしか切れてないし……」

真一朗は苦笑しながらケガの経緯を話す。

「ケガには変わりないだろう」

対する相沢は無表情で真一朗の右手を見つめる。

掌からはまだ血が流れていて、止まる気配は無かった。何よりいくら浅い傷だからと言っても掌が真っ赤に染まるのを見て良い気分はしないものだ。

「だから触るなと言ったんだ」

相沢はキッと目を細めて真一朗を見る。

「俺だって好きでケガしたんじゃねーよ」

「当たり前だ。好きで流血沙汰を起こされては迷惑だ」

容赦なく言い放つ相沢に真一朗はウッと言葉に詰まる。

「仕方ない奴だ」

相沢はそう言いながら、白衣の胸ポケットから白いハンカチを出すと、真一朗の掌に巻き付ける。

「取りあえずこれで止血しろ」

キュっとハンカチを結びながら相沢が言う。

「取りあえずお前は何処かに座っていろ。後は私が片付ける」

相沢は言うのと同時に真一朗を隣の実験台の椅子に無理矢理座らせる。

「…サンキュー」

真一朗は小さく礼を言う。

「なら今後は大人しくしてるんだな」

相沢は小さく笑いながら真一朗にそう言い、破片の処理に向かった。

 

 

「血は止まったか?」

片付けが終わり戻ってきた相沢は真一朗に問う。

「あぁ。お陰様でな…でもこのハンカチもう使えなくなったな」

白かったハンカチは血の色で赤黒く変色していた。

「別にハンカチの1枚位どうってことは無い」

相沢はそう言いながら、真一朗の右手をそっと掴み持ち上げると指先に触れるだけのキスを送る」

「なっ、何すんだよ!」

真っ赤に頬を染めた真一朗は相沢の手から腕を振り払う。

「別に何も?」

口の端にニヤリと笑みを浮かべながら相沢は真一朗を見る。

「…それより、今後は科学室に来るのは禁止だ」

「何でだよ!!」

いきなりの相沢の台詞に真一朗は反論する。

「その変わり私の大学の教授室に来い」

真一朗の台詞を無視して相沢は淡々を話を進めていく、

「俺は嫌だって言ったら?」

「お前がケガをするのは見たくないからな」

ハンカチで巻かれた手を相沢は見ながら、少しだけ眉間に眉を寄せる。

「………」

「明日からは大学部だから、今より入るのは楽だろうしソファもあるしな」

「………」

「不満か?」

「……別に」

真一朗は窓のを開けながら小さく呟いた。

開けると同時に、気持ちよい風が窓から入ってきて室内が緑の匂いに包まれた。

「別に俺は何処でもかまわねーよ」

相沢に背を向けたまま真一朗はポツリと呟いた。

それを聞いた相沢は小さく口元に笑みを浮かべる。

「私も同じだ」

同じく呟いた台詞は果たして真一朗に届いたのかはわからないが、科学室には穏やかな空気で包まれていた。

 

 

 

 

コメント

相真…甘いや。でもジャンルはほのぼので(汗)

ハンカチ=止血用具というイメージが私の中にあるのでこんな話になりました…。ウチの相真多分ずっとこんな感じですね…これからも。鬼畜よりラブラブな方が書いていて楽しかったりしますv

 



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BGM  VAGRANCY様 「木洩れ日」