マリューの計らいで、外出許可が出た事にメイリンはとても嬉しかった。
だが、その言葉を聞いたミリアリアは速攻で辞退した。
「マリューさん、私はやっぱりやめておきます」
ミリアリアはふっと遠くを見つめながらマリューに話す。
「…そう。ミリアリアさんの気持ちは理解しているから何も言わなくても大丈夫よ」
マリューはミリアリアの両肩を叩いて、大きく頷く。
そして、マリューとミリアリアは互いに目を合わせると、はぁ〜と大きな溜息を吐いた。
その様子を見ていたメイリンは疑問に思いながらも、久々に外で遊べる事が嬉しく、気にとめなかった。
だが、この時にミリアリアと同じく止めておけばよかったと思う事は彼女はまだ知らなかった。
ショッピング
キラ・アスラン・ラクス・メイリンの4人はエレカに乗って市街へと向かっていく。
運転はキラが行う事になったとき、何故かアスランはしきりにシートベルトのチェックをし、ラクスも笑顔で思い切りシートベルトをきつく締めていた。同時にハロは荷台に入れられていた。
メイリンはそんな二人を見て、何となく疑問に思うが二人に習ってきちんとシートベルトをしめると、運転席に座ったキラがハンドルを握る。
と、急発進。
これでもかという程の時速を出してキラは運転を始めた。
その間アスランはサングラスを飛ばされないよう左手で押さえていた。
ラクスは終始これでもかという程のにこやかな笑みを浮かべながらただシートに座っているだけだった。
そしてキラはそんな状態など気にしていないのか「やっぱりフリーダムより速度は落ちるなぁ〜」などと呑気に呟きながら平然として走行真っ最中である。
そんな中メイリンは半泣きになりながらこの地獄のゴーカート(笑)が終わるのを両手を汗で湿らせながら心の中で思い切り願ったのであった。
「着いたよ〜」
声と同時に急ブレーキをかけられ、本当に最後まで心臓が落ち着かないドライブというなのチキンレースが終わり、メイリンは生きていた事に心底ほっとした。
心臓はまだドキドキと早鐘を打っており、エレカから着地する時には膝が少しガクガクとしていた。
「キラは相変わらず速度が少し速いぞ…あと20km/h早ければ吹っ飛んでいたぞ」
「大丈夫!トリィが落ちないように速度出しているものv時速だって180km/h位だったし」
「まぁ、いつもの運転より少し遅くしたのは偉いな。メイリンがいたからだろう?」
「当たり前。アスランとラクスだけだったらいつも通りだもん」
前方からアスランとキラが何でもなかったようにエレカから降りる。アスランはキラの肩に止まっているトリィを撫でながらキラに呆れた声を出すが、会話の内容としては突っ込み所満載である。
メイリンはもう一人エレカに乗っている人物がどんな表情をしているのか多大に気になり、チラリと横に座っていたラクスを見る。
「ピンクちゃん、ドライブは楽しいですわね」
ラクスは何でも無かったかのように、トランクに入れて置いたハロを取り出すと、ハロに向かって笑顔で話しかけていた。
メイリンは何かを言おうにも何を言っていいのか分からずただ立ちつくしていると、いつの間にかラクスが隣に来ていてキラとアスランに声をかける。
「久々の外ですもの。お買い物にしましょうv」
ラクスがニッコリと笑みを浮かべると、キラとアスランは頷く。
「そういえば、AAに来てから外に一歩も出てなかったな」
「アスラン怪我してるんだから無理ないでしょう。そういえば僕も全然外に出ていなかったなぁ〜外に出れば戦場ばっかりだったし」
キラは前半は呆れた視線をアスランに向けながら、後半は少し憂いを帯びた目で空を見上げる。
「キラ…」
アスランはキラの頬に手をそっと当てる。
「大丈夫。だって隣には君がいるもの」
キラはアスランを見て笑みを浮かべる。
「俺の隣にはキラがいる…だな」
アスランもサングラス越しだがキラに微笑む。
すっかり二人の世界に突入したアスランとキラにメイリンはどうしていいのか分からなかった。
それよりも、何故かラクスを放っておいている事にも物凄い気になる。
確かアスランはラクスの婚約者だったが、キラといつも一緒おり、親密な関係だったのでキラと付き合っているのかもしれないとメイリンは密かに思っていたりする。
「あ、あの…ラクスさん…」
おどおどとしながら、ラクスを見るとラクスは微笑みを崩さず、メイリンを見る。
「どうかなさいました?」
「いいんですか?」
特に変わらないラクスの態度にメイリンはチラリとアスランとキラを見る。
「本当に久々のデートですもの。浮かれてしまうのは仕方ないですわ」
「久々のデートって、AAから外に出ていなかったんですか?」
「えぇ。一度出ていったのはアスランに会いに行くためだったんですが、ザフトに戻ったアスランにキラは落ち込んでしまった上、戦火が激しくなってしまいましたから…二人で一緒にのんびり外に出るのは戦争が無かった頃以来ですわね」
「それじゃぁ、AAの皆さんはここ数ヶ月ずっと戦艦の中だったんですか?恋人なのにデートもままならないんですね」
「ずっと海底で状勢を見ておりましたの。…キラもアスランも再び共に戦う事になりましたからきっとこれからは毎日デートし放題ですわね」
「あの…ラクスさん?」
ラクスの言葉にメイリンは何処かずれた会話になっている事に気付く。
「マリューさんもキラとアスランに少しは戦争から離れた所で過ごす様お気遣いして頂きましたので、今日は私達は女同士でお買い物を楽しみましょうv」
言いながら、メイリンと両手を握ってラクスは告げる。
「私は嬉しいのですが、ラクスさんはいいんですか?恋人なんじゃないんですか?」
メイリンは今までずっと聞こうかと思っていた事を口に出した。
「誰がです?」
だが、返ってきた答えはポカンと不思議そうな顔と声。
「私の勘ではキラさんと恋人同士なんじゃないんですか?」
メイリンはどこまでも呆けているのか分からないラクスに半ば逆ギレ状態でラクスに詰め寄る。
「私とキラが?それは無いですわ。だってキラはアスランと恋人同士ですもの」
楽しそうにラクスはメイリンに答えた。
「えぇぇ!?」
「あら、二人は公認カップルなんですよ。もし、私がどちらかの恋人になったという噂が立ったらお二人に殺されてしまいますわね」
ラクスは方頬に手を当ててわざとらしく溜息を吐く。
「だから、メイリンさんもアスランは駄目ですわ。キラを泣かす方は私の敵ですもの」
「ラクスさん!!」
ラクスの言葉にメイリンが顔を赤く染める。
ここ最近アスランに対して淡い恋心を密かに抱いていたのだったが、どうやら目の前の彼女には分かっていたらしい。
「本来なら私が言っても納得はされないでしょうけど、あの二人はお互いしか見えていませんわ」
「そう…ですか」
ラクスの態度は牽制や意地悪で言っているというのではなく、事実を告げている事にメイリンは気付く。
そして、自分の今ある淡い恋心は、相手に何も告げない内に失恋決定になりそうだ。
「ラクスさん!今日は思い切り遊びましょうね!」
メイリンは笑顔でラクスに話かけるとラクスも嬉しそうに笑みを浮かべる。
「そうですわね。思い切り楽しみましょう」
今日、ここに新たな女の友情が生まれたのだった。
おまけ
「何だかラクスとメイリンは楽しそうだな」
アスランは先程から何か話している二人を見て呟く。
「そうだね。ラクスも同じ年の女の子が周りにいなかったから嬉しいのかもしれないね」
キラも笑顔で話している二人を見て口元に笑みを浮かべる。
「今日は俺達も久々のデートだから思い切り楽しもうな」
アスランはキラの肩を抱き寄せる。
「うん。そういえば二人で外に出かけるのって戦争が起こる前以来だね」
「あぁ…またキラと一緒にこうしてデートができて嬉しいよ」
「僕も!…この戦いが終わったらまたいっぱいデートしようねv」
キラはアスランの肩に体を預けながら顔を上げる。
「勿論。戦いが終わっても今度こそずっと一緒にいよう」
アスランはサングラスを外すと、そっとキラの唇に啄むキスを送る。
キラも両目を瞑りアスランのキスを受け止める。
そんな二人の周りを、キラの肩から飛び去ったトリィがくるくると旋回していたのだった。
強制終了!
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