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ミネルバの訪問者

ミネルバの訪問者

 

 

ここ数日戦闘がなく、清々しい朝を迎えていたミネルバのブリッジクルー達は今日もいつもとなんら変わりない仕事をしていた。

穏やかな雰囲気の中に、ミネルバの艦長であるタリアが部屋に入ってくきた。

「おはようございます」

副艦長のアーサーがタリアに挨拶をする。アーサーに続き他のクルー達も挨拶をする。

「おはよう…」

タリアはクルー達に挨拶を返すが、何処かいつもの覇気が無い事にアーサーは気づいた。

「何かありました?」

アーサーの問いにタリアは小さく溜め息を吐いた後、クルー達を自分の周りに集まるよう言い放つ。

タリアの命令にブリッジにいるクルーは操縦やシステムを全てオートに切り替え、タリアの周りに集まる。

「みんなに伝えておくわ。緊急なんだけど、本日ジュール隊の隊長がミネルバにやってきます」

タリアから告げられた言葉に、クルー達は一瞬何を言われたのかが、よく理解できなかった。

そもそも、ジュール隊は現在地球ではなく宇宙(ソラ)にいる。

それに、どうして隊長がわざわざミネルバまでに来る意味が全くわからなかった?

「艦長!それは本当なんですか!?」

アーサーがオロオロとした様子でタリアに言う。

「本当よ。今朝ジュール隊長からメールが来ていたの」

「隊長自ら戦艦にやってくるなんて事なんて聞いた事ないです」

バートは珍しいと口にする。

「わざわざ来る理由は何なんでしょうね?」

メイリンはタリアに聞く。

「分からないわ。ただ、上層部からは了承を貰っているから断れなかったの」

「上層部がOKを出すなんて、きっとよっぽどの理由があるのではないでしょうか?」

アーサーがタリアに確認する。

「私には全く理由は知らされてないの。ただ、本日ミネルバに来るとだけしかメールには書かれていなかったわ」

「時刻も知らされていないんですか?」

マリクの問いにタリアは「地球時間の午前中としか無いわ」と答えて、再度溜め息を吐く。

タリアには今回のメールの内容に皆目検討がつかなかった。

まして今は戦争中。

何時、何処で危険な目に遭うか全く分からない。そんな中、どうしてジュール隊長自らがミネルバに何の用があって来るのか、タリアには理解できない。

そんな事を考えていて、メールの内容にはミネルバに行くに関しての注意事項があった事を頭の中からすっかり抜けてしまっていた事を思い出した。

「みんなに伝えておくことがもう一つ。今回ジュール隊長が来ることは此処にいるメンバー以外に口外する事を禁止します」

「「「「え?」」」」

普通は出迎えの体制など取るので予め知らせておくものなのだが、全くの逆の言葉にクルー達は不思議に思う。

「良く分からないけど、そういう事よ。今日は戦闘が無い限りあと数時間もしくは数十分でお客様が来るわね」

言外に、何も知らないので聞かないで欲しいというニュアンスを汲み取ったクルー達は、「わかりました」と返答し自分たちの持ち場へと戻っていく。

「それにしても本当に不思議ですね」

アーサーが目の前に広がる、海原を見ながら小さく呟いた。

「本当にね」

タリアは疲れたかのように肘立てに肘をつき、三度目の溜め息を吐いたのだった。

 

それがミネルバクルー達にとってとんでも無い一日になる事にまだ誰も気づいていなかった。

 

 

3時間後、突然の来訪者に格納庫にいたクルー達は驚く。

だが、シャトルにはZAFTのマークが付いているので敵ではないと整備士達は思った。

何より、ハッチを開けたという事は艦長が許可を出したという事でもある。

「誰が乗ってんのかな?」

「俺としてはラクス・クラインが乗っていて欲しいかも」

ヨウランとヴィーノ話しながらシャトルを見る。

「ラクス・クラインがどうかしたのか?」

すると後ろから直ぐに声をかけられ、二人は驚きなが声のした後方を見ると、そこにシンとレイがいた。

「シン!驚かすなよな…ビックリした」

ヨウランは左胸に手を当ててシンをジト目で見る。

「そっちこそ声かけた位でそんなに怒る事ないだろう」

シンは不機嫌を隠さず反論する。

「…ところで何かあったのか?」

レイが静かに会話を遮る。

「あ、あぁ。何かいきなりシャトルが来たんだ」

ヨウランが、シンからレイへと目線を変え話す。

「シャトルが?」

レイは遠くにあるシャトルを見る。

「そうなんだ。いつもなら何かしら連絡あるんだけど、今回は何も連絡が無かった…」

ヨウランが続きを話していると、途端周囲からガヤガヤとした声が聞こえる。

「どうやら誰か降りてきたみたいだぜ!」

ヴィーノがシャトルのハッチが開いた事に気づき、見に行こうとシンを引っ張る。

「レイもヨウランも早く来いよ」

シンはヴィーノに腕を引っ張られながらも気になっているのか一緒になって走ってシャトルの方まで向かっていく。

二人の光景に残された、レイもヨウランもそのままシャトルへと向かっていくのだった。

 

シャトルから初めに現れたのは、褐色の肌に柔らかな金髪の緑の軍服に身を包んだ青年が出てきた。次に出てきたのは銀髪に白い制服を来た青年。そして最後に現れたのは鷲色の髪に赤い制服を来た青年だった。

「ジュール隊長!」

誰が先に言ったのか分からないが、銀髪にアイスブルーの青年は、前対戦で最前列で指揮を取り、プラントを守った一員の一人でとても有名だった。

その姿を知らない者は軍関連者の中では知らない者はいない程の有名人だった。

まさかの人物に格納庫の中はいっきにざわめ立つ。

「あれが、イザーク・ジュール隊長かぁ」

シンは遠目でも良く分かる銀髪の人物を見ながら言う。

「それにしても、隊長クラスの人物が護衛をたった二人しかつけていないとは、警備が甘すぎる」

レイはシャトルの中から他の人物が一向に出てこない事に気づいた。

しかも紅と緑が一人ずつ。

余程腕に自身があるのか、警戒心が無いだけなのか分からない。

「あ、シンもレイもここにいたのね。もう探しちゃったわよ」

「「ルナマリア」」

背後で聞き慣れた声が聞こえシンとレイは声の主を呼ぶ。

「艦長が、ブリッジに来て欲しいって連絡あったのよ」

ルナマリアは人混みの中をかいくぐってきたせいか、少しばかり髪が乱れていたが、そんな事気にもせず二人に艦長からの伝達を伝える。

「所で、何かあったの?」

格納庫の人だかりの原因を二人に聞く。

「ジュール隊の隊長が来ているんだよ」

シンが指を指しながらルナマリアに伝える。

「何でミネルバに?」

ルナマリアは尤もな疑問を聞く。

「俺が知るわけないだろ」

シンはそっぽを向く。

「俺達も格納庫が騒がしかったから来ただけだからな」

レイはそんなシンを見て小さく苦笑し、ルナマリアに答える。

「…アスランに先に知らせた方がいいのかしら?」

「何であの人が出てくるんだよ?」

ルナマリアの言葉にシンは少し眉間に皺を寄せてルナマリアを見る。

「確かジュール隊長とアスランって同期って聞いた事あるから」

ルナマリアの情報に、シンとレイは顔を見合わせる。

「…あの人ってあまり自分の事話さないもんな」

シンはアスランの事を思い出し、ポツリと呟く。

前対戦の英雄で、元国防委員長の息子でアカデミーのトップであのクルーゼ隊のエースパイロットだったという事以外特に情報はない。

性格も、あまり顔には出さないし、自分から話の中に入ってこようとはしない。

クールというか何となく掴み所の無い人に思える。

「そういえば、私たちアスランの趣味とか好きなものとか全く知らないわね」

ルナマリアが今更の様に思い出す。

「それよりも、艦長に呼ばれているなら早く行くべきだ」

何処までも冷静沈着なレイに促され、シンとルナマリアは格納庫を後にし、ブリッジへと向かうのだった。

 

 

一方、突然の来訪者の三人はというと。

「今、誰かアスラン事話した」

鷲色の髪に紫の瞳の紅服を身に纏った少年(年齢的には立派な青年)がミネルバのクルー達を見やる。

「相変わらず、アスランの事に関してはすごいな…キラ」

金髪の青年、ディアッカは苦笑する。

銀髪の隊長服を来たジュール隊長こと、イザークはギロリとキラを見る。

「何でこの俺がこんな事…」

言葉の節々に怒りが込められている言葉にキラは口元に笑みを浮かべる。

「何言ってるの?アスがザフトに戻った原因の一つはイザークのせいでもあるんだから」

にっこりと笑顔(目は全く笑っていない)を向けられイザークはたじろいだ。

「ま、まぁまぁ、キラもイザもこんな所で揉めるなって」

ディアッカがすかさず、キラからイザークを庇うように宥める。

「イザも、久々にアスランとの再会なんだから、そんなに腹立てるなって」

な?とイザークの頭をポンポンと撫でてディアッカはイザークを宥める。

「分かっている」

大人しくなったイザークにディアッカは笑みを浮かべる。

二人の世界に入りかけているイザークとディアッカを見てキラは黒いオーラを出して二人に話しかける。

「僕の前でイチャつかないでくれるかな。僕は早くアスランに会いたいんだけど?」

背後からどす黒いオーラを放ちながら聞いてくるキラに流石の二人も背筋に嫌な汗が流れる。

「取りあえず、ここの艦長に話して…フフッ、楽しみだなv」

楽しそうに笑いながら、どんどんと進むキラの後ろからイザークとディアッカが付いていく。

もはや、二人はキラには逆らえなかった。

そもそも、昨晩いきなりキラから通信がかかり「アスランのいる場所に連れて行って」という無理難題を突きつけられた事から事の始まりだった。

勿論、初めは断った。だが、キラから「もし連れて行ってくれないなら、間違えてイザークの戦艦の生命維持装置解除しちゃおうかな。それとも自爆装置さどうしちゃおうかな。間違って作動だから当然、文句は無いよね?」

この言葉とキラの笑顔の弾圧にイザークは逆らえなかった。

後ろに控えていたディアッカも、乾いた笑いを浮かべる事しかできなかった。

了承の返事を貰ったキラは、即鼓動に移した。

通信終了から数十分程して、どういう訳だが、イザークのミネルバ行きに上層部からの承諾のある用紙をキラが持っていた。

キラ曰く「ちょっと、情報を秘密にする代わりに承諾を貰ったんだよ」との事。

一体、どんな情報を握って脅したのかは分からないし、知りたくないので二人は何も言わずキラの『お願い』というなの『脅迫』を受け入れたのだった。

 

 

 

 

 

「あなた達には連絡が遅くなってしまったけど、本日はジュール隊、隊長がミネルバに来ています」

ミネルバのブリッジでは、シン、レイ、ルナマリアの3人がタリアの前に並んでいた。

「向こうから、到着するまでブリッジ以外の人間に話すなと言われていたので今更になってしまったわ」

「艦長…あの、アスランはもう知っているんですか?」

ルナマリアは疑問に思っていた事を口にする。

自分たちと同じ紅である彼が此処に居ない事が不思議に思う。

「アスランはフェイスなんだからもう知ってるんじゃないの」

シンは面白くなさそうに言う。

再会してからのシンとアスランの微妙な関係が続いており、シンはあまりアスランの事を信頼できていないらしい。

シンのあから様な態度に、ルナマリアは内心で大きな溜め息を吐いた。

レイは相変わらず何を考えているか分からない表情で、ただ事の成り行きを見ていた。

「アスランの事だけど、彼には今回のことを告げないで欲しいの」

タリアから告げられ言葉に、三人は揃って不思議そうな顔をした。

「それってどういう事なんですか?」

シンは訳が分からないいう顔をする。

「アスランには僕達が来るって事を黙ってて欲しいって頼んだから」

ブリッジのドアが開くと同時に、聞いたことの無い声が聞こえた。

ブリッジにいるクルー全員がドアに目線を向けると、そこには紅、白、緑と見事に分かれた軍服を着ている三人がいた。

その中の紅い制服を来た鷲色の髪に紫の瞳をした少年が声ニコリと笑みを向ける。

「貴方は?」

いち早く事態を飲み込めたタリアは、キラに自己紹介を促す。

「僕はキラ・ヤマト…こっちはイザークとディアッカだから別に紹介いらないよね」

ね?っと聞かれ後ろにいるイザークはこめかみを押さえ、ディアッカは苦笑している。

そしてキラの内容を聞いたクルー達は、キラの態度に唖然とした。

幾らザフトには階級がないとはいえ、隊長相手にはこんな態度は取らないものである。

「キラ、その前に一応今、イザは上官だから少しは話させてやれよ」

ディアッカはイザークの肩に手を置きながらキラに話す。

「ほら、イザもそんなに眉間に皺寄せると取れなくなるだろう」

「ディアッカって本当にイザーク甘やかし過ぎだよね」

イザークの眉間に親指でこするディアッカにキラは少し呆れた声を出す。

「…お前にだけは言われたくない」

「あ〜確かに…」

日頃、アスランに甘やかされすぎなキラにだけは言われたくないと心底思う二人だった。

 

一方、ミネルバクルー達は来て早々自分たちの世界に入ってしまった客人に対してどう対処していいのか全く分からなかった。

変な雰囲気に包まれる中、キラは思い出した様にそのままメイリンの場所まで向かう。

「君、オペレーターだよね?」

「あ、はい」

キラの綺麗な顔にメイリンは顔を紅くしながら答える。

「ちょっとだけ、通信機借りていい?」

「あの…艦長…」

メイリンはタリアに伺う。

「…許可します」

タリアはどうでもいいとでもいうような少し投げやりな態度で許可を出すと、キラはメイリンから通信用の機器を渡す。

「ありがとう」

キラはそれを片手に持つと、次に通信回線を選択する。

「アスラ〜ン、取りあえず20数える間に直ぐブリッジ来てねv来ない時は絶交だよ」

ちなみに、選択したのは館内放送。

全館放送で、絶交というとても幼稚レベルな宣言に、ブリッジはしーんと静まりかえる。

「あと15、14…」

キラは秒読みを数える。

「おいアンタ、ここに居たらアスランに踏み殺されるぞ!それと、紅三人そこから一歩も動くな、席に着いている奴はそのまま座ってろ!」

ディアッカは素早くこれからの事に予想を立て的確な指示を出しながら、イザークを安全圏である艦長の直ぐ側まで連れて行く。

「あの…?」

「取りあえず、見てれば分かる」

ルナマリアの困惑にディアッカはキラを指指す。

「8・7…」

一方キラは気もせずカウントダウンを始めていた。

そして外からとてもつもない騒音が鳴ったと思った瞬間、

「キラ、キラ、キラ、キラ――――――ッ!!」

ドアを勢いよく開けたアスランがキラの名前を連呼しながら部屋に入ってくると、目の前にいるキラに思い切り抱きつく。

「アスランv」

キラも嬉しそうにアスランに抱きつく。

「残りカウント3だったからギリギリだよ!」

「すまない。キラに絶交と言われたからね、格納庫からダッシュで来たよ」

ニッコリとキラだけの限定笑顔を振り向けアスランは謝る。

((((((格納庫からブリッジまで17秒!?)))))))

人間離れしすぎなアスランにクルーは呆気にとられていた。

だが、そんな外野は一切シャットアウトの二人は更に会話を続けていく。

「もう、アスランプラントに行くっていったまま全く連絡無いんだもの。すっごい心配したんだからね」

「すまない…」

「それにザフトに入ったって情報見つけた時はもう、撃っちゃおうかと思ったよv」

「あはは。キラに殺されるならベットの上がいいなv」

「何オヤジくさい事言ってんの?っていうか、僕に連絡無しっていう所が物凄い引っかかるんだけど」

「連絡しようにも、キラ俺のメール拒否してるだろ。毎日1時間毎にメール送っても全部返ってきたぞ」

「当たり前じゃない。僕が怒らないとでも思ってる?」

どちらもニコニコと笑顔での会話だが、何故か恐ろしく思うのは気のせいでは無い…はず。

そして色々と突っ込みたいのだが、何処を突っ込んでいいのかが分からない周囲の方々。

「僕に何にも言わないで出ていく薄情者を許せるなんて…思っていないよね?」

ニッコリとそれはもう綺麗に笑いすぎるキラに流石のアスランも額に嫌な汗をかいた。

確実にキラが怒っている事にアスランはやっと気付いた。

「キ、キラ…俺が悪かった…」

「悪いのは確かだから否定しないよ?」

ニコニコと変わらぬ笑顔にアスランは更に追いつめられている。

「本当にすまなかった…キラ、俺のことが嫌いになった?」

「僕がアスを嫌うなんて、ありえないじゃないか!そんな事言うなんて信じられない!!」

捨て犬さながらの瞳で見つめられ、今度はキラが焦って返答する。

「キラ〜〜〜v」

アスランは破顔してキラを抱きしめる。

何だかもう、ただの痴話喧嘩になっている二人の会話を周囲はどう突っ込みを入れていいのか分からなかった。

一同が、何とも言えない空気の中でどうしようかと考えていると、キラの思わぬ一言が発せられた。

「だからね、僕しばらくココにいるからv」

何がだからなのか全く分からないが、キラは暫くの間ミネルバに居るという事をこの場にいる者達に告げる。

「本当に?」

「「オイっ!!」」

突然の爆弾発言に、アスランとイザーク、ディアッカは同時に声を出す。

ミネルバのクルー達はキラの突然の宣告に一瞬脳内がフリーズ状態になった。

「ちょっと待て、勝手に決めるなぁ!」

イザークが怒鳴り声を上げる。

「何か問題あるのイザーク?」

キラはきょとんとした表情でイザークを見る。

「大ありだ。馬鹿者!俺はジュール隊の隊長だ。隊長がそう易々と他の鑑に滞在できる訳ないだろう!」

イザークの剣幕は物凄かった。周りにいる者の方が思わずビビってしまう。だが、慣れている三人にはどうって事ない(笑)

「別にイザーク居なくても大丈夫じゃないの?どうせ宇宙(そら)でディアッカといちゃつくなら、ココだって同じでしょ」

「誰がイチャついているか!!貴様等と同じにするな!」

キラの言葉にイザークは完全に頭に血が上っていた。

「おい、イザーク、落ち着けって。キラも一応イザークは隊長だから居ないとこれでも困るんだぞ」

ディアッカはフォローになっていないフォローする。言っている内容はある意味キラより酷い。

「…ディアッカ、貴様っ!」

ディアッカの一言により、イザークの怒りが更にふつふつと沸き上がる。

ディアッカは先程のフォローでイザークの怒りを更に買った事に今更ながら気付いた(遅すぎ)

「イザーク」

ヒートアップするイザークにストップをかけたのは、意外な程冷めた声のアスランだった。

「キラの何処が馬鹿なのかな?」

((((突っ込むところはそこかい!!)))))

思わず周囲は同じツッコミをする。

だが、アスランは口元は笑っているが、眼は全くといっていい程笑っていない。むしろ殺気立っている。

流石にイザークもアスランの怒りに顔を青ざめる。

そんなイザークをディアッカは庇うように自分の後ろにさり気なくイザークを隠す。

「まぁ、落ち着けアスラン。仮に俺達がミネルバに残るといっても、許可が無ければ無理だって事お前だって分かっているだろう?」

ディアッカの正論にミネルバクルー達は頷く。

「そんな事だったら問題ないよv議長にちょっとお願いしてOK貰っているもん」

「流石、キラは行動が早いな」

「えへへ」

アスランはキラの頭を撫でながら本気で褒めている。キラもアスランに褒められて至極ご満悦の状態である。

「…なぁ、キラ。議長にどうやって許可貰ったんだ?」

ディアッカが恐る恐るという感じでキラに問う。

「ザフトのメインサーバーにあるちょっとしたデータを外部に漏らしちゃうって言ったの。まぁ初めは信用して無かったから、ファイルを一つを向こうに送ったら直ぐに許可貰えたんだ」

ニコニコと楽しそうに言うが、内容はかなりえげつない。

「それはお願いじゃなく、脅迫でしょう」

タリアが盛大な溜め息を吐きながらポツリと呟く。

呟きが聞こえていた紅三人は皆ただ黙って頷いた。

「キラ、お前はまたそんなあぶない事して!もしバレたら後が大変なんだぞ!」

またしても突っ込み所の違うアスランに誰も突っ込めなかった。

「大丈夫v僕かそんなヘマするわけないんだから。IPが分かった所で居場所なんて特定できないんだから(2005年現在)。それにその間に幾つかのプロキシサーバーで繋げていったし、結構ダミーのアクセスも幾つか入れておいたから居場所は分からないよ」

「それでも危ない事はできるだけ止めてくれ。心配なんだ」

「は〜〜〜い」

「キラ…」

全く止める気の無いキラの返答にアスランはキラの肩に自身の頭を乗せる。

「アスは昔から心配性しすぎだよ」

キラはアスランの背に腕を回し、背中をポンポンと叩く。

「だったら心配の種を減らしてくれ」

アスランは本気で訴えた。

「まぁ、それは追々…。それより暫くアスランとまた一緒に居るから宜しくね」

「勿論。俺もキラと一緒で嬉しいよ」

アスランはキラの額と自分の額をコツンを合わせると、お互いがクスクスと笑い会う。

 

 

「あ〜。こりゃもう、残留決定だな。諦めろイザーク」

「そんな…何で俺まで」

「まぁ、休暇だと思ってのんびりすれば良いんじゃねぇ」

「しかし…」

「毎日戦闘で忙しいんだから、せっかくの機会だ。精神的に休んでおいたって損はないだろ?俺も一緒なんだし」

「……分かった」

イザークが頷くのを見てディアッカは口元に笑みを浮かべる。

「艦長。と、いう訳で暫くウチの姫様達がやっかいになります」

ディアッカはタリアにビシッと敬礼する。

「……了解したわ」

午前中だけで一体何度吐いたかも分からない溜め息を吐きながらタリアは承諾した。

 

 

そしてこの日、ミネルバの中に新たに三名のクルーが加わったのだった。

続く(?)

 

 

 

 

 

コメント

無駄に長い駄文…でも一度やってみたかった。ミネルバにキラだけじゃなくて、イザークとディアッカもつれて行きたいと変な妄想をしていたら出来上がりました。
ミネルバクルー出番少なくなっちゃいました(反省)
まだ書きたい内容があるので、ちんたらアップできたらと思います。
この話では、密かにキラはディアッカとイザークと面識有りです。
CPはアス×キラ、ディア×イザ、レイ×シンを希望なのですが、レイとシンは親友の域で終わりそうです(滝汗)