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とある日の通信内容

 

 

 

その日、ミナルバのブリッジで嵐が起こるのをクルー達はまだ知らなかった。

 

 

「艦長!通信が入っているのですが…その…」

「どうしたの?」

メイリンの少し困惑した表情を見たタリアは聞き返す。タリアの側にいたアーサーも不思議そうな顔をする。

「通信が一方的に『アスラン・ザラを出せ』という内容の通告のみなんです。しかも通信を繋ごうとしてもパスワードがあるらしくこちらから直接コンタクトできません…」

メイリンの報告に、タリアとアーサーはお互いに顔を見合わせる。

「通信はどこからか特定はできるのか?」

アーサーがメイリンに尋ねる。

「いいえ。送信場所も何かによって邪魔されているようで…ただ、地球からというのは分かります」

「そう」

メイリンの報告にタリアは暫し考え込み、そして「アスランを呼んでちょうだい」と告げる。

「艦長!いいのですか?もし敵だったらどうするんですか?」

アーサーが慌てて意見する。

「ミネルバに通信できると言う事はこちらの情報が分かっているのよ。それにアスラン・ザラを出せだけとしか通知が来ないのだから、敵かどうかもまだ分からないわ」

タリアの言い分にアーサーも頷く。確かに敵なら居場所が分かるのならその場で攻撃をしてくる。

「それに普通個人を呼び出すなら相手のメールに送信すればいいのに、わざわざこの『ミネルバ』に通信してくる人物がどんなのだか興味あるわ」

タリアの言葉にアーサーは小さく溜息を吐いた。

後半の方が彼女の本音なのかもしれないと、密かに心の中で思うのだった。

 

 

 

 

「アスラン・ザラ入ります」

ザフト式の敬礼をしてアスランはブリッジにやってきた。

「貴方宛に通信がきているわ」

タリアは楽しそうに笑いながらアスランを見る。

「通信…ですか?」

アスランは困惑した表情を浮かべてタリアを見る。

「メイリン話してあげて」

タリアは一番通信の詳細を知っているメイリンに説明させる。

「はい。ザラ隊長宛てに通信が入ってきたのですが、発信地や発信者が全く分かりません。そして通信を繋げるとパスワードを求められてこちらから繋げる事もできません。現在は『アスラン・ザラを出せ』というメッセージが表示され続けてます」

メイリンの報告にアスランは何か考え始める。

その様子にタリア、アーサー、メイリンだけではなく密かに会話を聞いていた他のブリッジクルー達もちらちらと様子を伺っていた。

「知り合いかしら?」

タリアは考え込んでいるアスランに問う。

「…もしかしたらですが…心辺りはあります。艦長、通信繋げてもいいですか?」

アスランは真剣な表情でタリアに伺う。

「構わないわ」

タリアは二つ返事でOKすると、ミネルバの巨大モニターの中心に映像が表示される。

「確かに俺宛ですね」

モニターにはしっかりと『アスラン・ザラを出せ』とメッセージが出ている。

「通信を繋げて下さい」

メイリンが通信を繋げると、画面が一気に変わり今度は『ヒスイノアナタトイッショニイルノハ?』と表示される。

普通の人が見たら何の事だか皆目検討もつかないが、アスランにはそれだけで十分だった。そして通信の相手が誰だか分かり、口元に笑みを浮かべる。

アスランの急変した表情に、タリアとアーサーは驚きを隠せない。 メイリンに至っては頬をピンクに染める。

「悪いが『amethyst』と入力してくれないか」

だが、当の本人はそんな事など全く気付かず、通信を繋げる為にキーを入力する様にメイリンに伝える。

そしてメイリンがキーを打ち込むと通信が繋がり、画面に人物が現れる。

「キラ!」

モニターに現れる人物を予想してアスランは話しかける。

「遅い!お前はキラを30分も待たせるのか!」

「…カガリ?」

だが、モニターに出てきたのは思っていた人物と違い内心非常にがっかりしながらも、ポーカーフェイスを崩さないのは流石はかつてプラントで名を馳せたザラ家の嫡子。

「悪かったな。キラじゃなくて」

カガリはアスランの表情を見て、嫌そうな顔をする。

「ふふふ。アスランはキラしか見てませんもの」

カガリの後から、アスランにとっては非常に聞きなれたもう一人の人物の声が聞こえた。

「ラクスもそこにいるんですか?」

「お久しぶりですわ。アスラン」

カガリの後からラクスは現れ、いつもと変わらない笑みをアスランに向ける。

「えぇ…ところでキラは?」

アスランも挨拶を返し、今一番会いたい人物がいないことを聞く。その表情は物凄く真剣だった。

アスランの表情を見て、二人はニッコリと笑顔を浮かべる。

傍から見ればとても可愛らしいが、付き合いの長いアスランにはこの表情の意味が何なのか直ぐに理解できた。

「キラはそこにいないんですね」

「おぉ、流石アスランだな。良く分かったじゃないか」

「こういう所だけは鋭いのですねv」

アスランの断言に二人は楽しそうに返事を返す。

「キラがいないなら通信の意味が無いですので、二人共お元気で」

アスランはキッパリと言った後、通信を切ろうと合図をするが、その行動と発言に周囲の方が驚いた。

何せ通信に出ているのは、オーブの現代表である『カガリ・ユラ・アスハ』と婚約者でもある『ラクス・クライン』だ。その二人に用が無いからすぐに通信を切ろうと本気でしているアスランを皆唖然とした。

「お前、本当にキラ以外どうでもいいんだな。」

だが、カガリは怒るでも、驚くでも無く普通に言い返す。しかもはぁぁ〜という盛大な溜息を吐きながら。

「その通り。キラの平和を守る為に俺は戦っている」

アスランは即答する。

「本当にアスランらしいですわ」

ラクスがパチパチと拍手する。

「それは褒め言葉として受け取っておきます」

アスランもにっこりと笑みを浮かべてラクスに笑み返しをする。

 

仮にも軍人、しかも紅のエリートでFAITHの隊員としてはあるまじき発言を出しながら、それを『らしい』で終わりにするラクスもどうかと口には出さずに皆、思いは同じだった。

 

「それで用件は何です?」

アスランは小さく溜息を吐きながら、目的を聞く。

もはや通信を切ることは諦めるしか他なかった。

「アスランこのまま戻って来ないというのでしたら金輪際キラとは会えないと思ってくださいねv」

「どういう意味です!?」

「そのままの意味だ。別に私は邪魔者なお前がいなくなってキラを独り占めできるからこのままでも構わないがキラが寂しそうな顔をするからな」

ラクスの重大発言に焦るアスランに今度はカガリが追い討ちをかける。

「カガリ…キラに手を出したら殺す」

「いつまでも帰ってこない浮気男に言われたくないな」

アスランの殺気だった目線を受けながらカガリは平然と反論する。

「カガリの言う通りですわ。行くのは構わないのですが、ご自身の荷物位は整理して全て持って行って下さらないと片付けが大変ですのよ」

「ラクス…」

ラクスの言葉にアスランは冷や汗をかく。

「何です?ボディガードの時よりは高給取りになったようですが、それが原因で夫の待つ家に戻らない妻だとは私思ってもみませんでしたわ」

ラクスはニコニコと笑みを浮かべてサラリと爆弾発言を落とす。

その内容にもはやミネルバのクルー達は会話についていけなくなった。

「俺だって、キラの待つ家に帰りたいですよ!ですが、仕事が終わらないので帰りたくても帰れないんです!それに毎日キラにはメール送ってます」

「メールだけ?それでキラが寂しがらないと考えた事はないのか?良妻失格だぞアスラン」

既に、何故男であるアスランが妻なのか誰も突っ込めない雰囲気だった。ついでに婚約者の目の前で堂々と違う人物を好きだと言い張る事も突っ込めず、クルー達はただ呆然と通信を聞いているしかできなかった。

「それは…でもキラも俺の考えを分かってくれた」

アスランは眉間を僅かに寄せて思いつめた様子で二人に向かって話す。

「お前、分かって貰ったのは…百歩譲って分かってやってもいいが、だからといって1回も行ったまま戻って来ないのは問題だろうが」

カガリの言葉にアスランは言葉に詰まる。

確かにカガリの言う通りでもある。

大人しくなったアスランを見てカガリは一瞬だけ目を輝かせた。

「今日中に帰ってこなければ二度と家の敷居は跨がせないからな!」

カガリはビシッと人差し指を指して一昔前の頑固親父の様に言い張る。

「ちょっと待て!あれは俺の家だぞ!!」

アスランが反論する。

「あの家はマルキオ導師の物だろうが!だいたい、家1軒建てられないなんて情けなさすぎるぞ!」

すかさずカガリが言い返す。

「それをお前が言うか!?俺の今まで溜めてた給料とザラ家の遺産全部オーブの資金に回したくせに!本当はあの金で俺はキラと一緒にマイホームを建てて幸せに暮らす筈だったんだぞ!!」

「キラが自分の貰っていた給料をオーブの為に貢献してお前が貢献しないというのがおかしいだろう!大体キラから資金など貰える訳がないだろう。考えろ!」

「だからと言って財産全部資金で貰ってく奴が何処にいる!おかげで俺はお前の護衛をして働かなくなるし、今だってまた軍で働かなきゃならないし、キラと離れてばかりだ」

最後の辺のアスランの声は非常に弱々しかった。

といううか、オーブの資金はザラ家の莫大な資産だったのかとか、全壊に近かったオーブが2年であそこまで復旧できたのもザラ家の財産全部叩いたからだったのかと何故か納得してしまう。

もはや会話についていく事もできないので只単に遣り取りされる会話を頭の中に入れているというのが正しいかもしれない。

 

「アスランが帰ってこなくてもキラは私やカガリ、それに他の方もいますから問題ありませんわ」

二人の会話を遮るようにラクスが乱入してくる。

「大丈夫です。今すぐ俺は帰りますので安心してください」

アスランは口元に笑みを浮かべながらも、目は全く笑っていなかった。

「あらあら、そんなに急いで帰らなくてもいいんですのよ」

ラクスも笑顔で対抗する。二人の間に冷え冷えとした火花が散らされる。

「そうですね。全速力で帰らせていただきますよ」

ラクスの言葉にアスランは笑顔全壊で返答すると、タリアに向かって敬礼をする。

「アスラン・ザラ。諸事情により今すぐ実家に帰らせて頂きます!たとえ許可が無くてもFAITHは単独行動大丈夫なので、このまま行きます!!」

アスランはそれだけ言うと許可が出る前にブリッジから出て行き、そして人間業では有り得ない位の猛スピードでイージスを出発させた。

残されたタリア達ミネルバのブリッチクルー達はモニターい映るセイバーを呆然と見ているだけだった。

 

 

 

「おっ、アスラン来るらしいぞ」

「当り前ですわ。キラが関わっている事にアスランがNOを言う筈ありませんわ」

「これでまた『嫁いびり』ができるな」

「えぇ。本当にアスランを苛めるのは楽しいですわ。世間では姑は必ず『嫁いびり』をすると聞いた時はビックリでしたが、やってみると楽しいですわね」

楽しそうにこれからどうやってアスランを苛めようかと話合う二人に、突っ込む人物は誰もいなかった。

そしてアスランが戻ってきたのはそれから3週間後、鷲色の髪に紫の瞳の少年と一緒に戻ってきたのだった。

 

 

 

 

 

 

コメント

探さないで下さい…。もう駄目です。なんじゃこりゃな話しですね…(逃)





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