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「なんだか飽きちゃった」

「そうか」

「だって君がいないんだもん」

「お前が自分で選んだんだろう?」

「うん。そう。で、飽きちゃった」

「分かった。迎えに行くよ」

「待ってるね」

 

 

COME

 

 

 

AA艦内に警報が戦闘事態の鳴り響く。

 

「敵影4時方向、距離2000。熱源パターン確認、X102デュエル、X103バスター、X-207ブリッツ、X303イージスです」

CICからの報告にクルー達の間に緊張が走る。

「フラガ少尉とヤマト少尉は」

マリューが言うと同時にフラガから通信が入る。

「メビウスは準備できてるぜ」

「ヤマト少尉は?」

マリューはストライクとも通信を繋げる。

「ストライクも準備できています」

キラは頷きながら報告する。

「聞こえたと思うけど、G4機と…近くにナスカ級とローラシア級もいると思うわ」

マリューの言葉にキラとフラガは表情を引き締める。

「流石にG4機だけで落としにくるなんてこと、アイツならやらないだろうしな」

フラガが苦虫を噛み潰した顔をする。

「貴方が言うなら間違いなさそうね」

マリューはフラガとクルーゼの関係を知っているので、フラガがそういうならそうなのだろうと信じる。

「あぁ…できる事ならこの考えは間違っていて貰いたいんだけどね」

フラガは軽く肩をすくめると同時に、CICが一気にざわめく。

「艦長っ!左右からナスカ級とローラシア級…そんなっ!」

CICから悲痛とも呼べる声が響く。

「どうしたの!?」

マリューはCICへ連絡を繋げる。

「艦の左右から…ナスカ級とローラシア級接近…2隻共こちらに主砲を向けています!」

「なんですって!」

マリューは先程までに全くモニターには反応の無かったが、今はしっかりとレーダーに2隻の戦艦が表示されている。

しかも距離はすぐ近く。射程距離内にいる状態となっている。

そうなれば当然、相手側も射程距離内。しかも左右から挟まれ、後前からはG4機。

勝ち目が無いのは一目瞭然。例えこちらが攻撃をしかけようとしても直ぐに打ち落とされるのは目に見えている。

マリューは肘掛をガンッと叩いて唇を噛み締める。

まさかの事態に、クルー達もただ呆然とする。

何故レーダーに全く反応が無かったのか分からない。

「艦長ザフトから通信が入っています」

ダリダの声にマリューは我にかえる。

「繋げて頂戴」

現状を改めて見つめ、ダリダの方へと向き通信を繋げる様命令を下す。ダリダも神妙な顔つきで頷く。

「こちらイージス」

声の幼さにその場にいたクルー達は皆驚く。

通信機から聞こえた声は少し高くとても大人の男の声では無かった。

モニターからはバイザーを被っている為、顔までは良く分からない。だが、声からすれば恐らくパイロットは少年だろう。

マリューもまさか少年がイージスに乗り戦闘をしていた事実に驚愕を隠せない。

「地球軍に投降を要求する。拒否した場合は遠慮なく攻撃を開始する」

感情の無い声で『投降』を要求され、マリューは両手を握り締めた後小さく溜息を吐く。

AAの中には今軍人だけでなく、民間人も乗っている。

その事を考えれば投降する事しか選択は無い。

「投降信号を上げて頂戴」

「艦長っ!」

ナタルがCICから上がってきてマリューの元へと行く。

「何かしらナタル?」

マリューはナタルの表情を見て彼女が何を言いたいのか分かりきっていながら質問する。

「ザフトに投降するつもりですか!」

険しい表情のままナタルがマリューにキツイ口調で問う。

「えぇ。この艦にはオーブの民間人もいるのよ。私達軍人だけではなく…ね。関係の無い彼等を死なせる事は許されないわ」

マリューも真剣な顔でナタルに言う。

「…わかりました」

ナタルも民間人を巻き添えにしてまで負ける戦いをする事には反対だった。

「投降信号を上げて」

マリューが命令した後、AAから投降信号が上げられたのだった。

 

 

 

格納庫には既にAAクルー達のみだけだった。

民間人達はザフトの兵士達により保護を受けて別のシャトルへと乗っていた。

皆が不安や恐怖といった表情を浮かべる中、格納庫に新たにシャトルがやってきた。

シャトルから出てきたは、紅い軍服を着た少年だった。

肩より少し上まである藍い髪を揺らしながら、足早にクルー達の方へと向かう。

クルー達は皆緊張に身を強張らせた。

が、そんな中一人の少年…キラだけは表情をパァっと明るくさせる。

「坊主?」

隣にいたフラガがキラの表情を見て不思議そうに見るが、キラはフラガの声など聞こえていなのか、クルー達を掻き分けて前に進み始める。

「アスラン!」

「キラ」

アスランと呼ばれた少年はキラに向かって両手を広げる。キラも迷わずアスランの腕の中へと飛び込んだ。

その光景に周囲は驚愕する。

「結構早かったね。もう少し時間かかると思ってたんだけど」

「キラが退屈だって言ってたからな」

「かなり退屈だったんだ。やっぱりアスランの側が一番って事を学んだよ」

「それは良かった」

キラは顔を上げてアスランに笑いかける。アスランも笑みを返す。

楽しそうに会話をする二人に第三者の声がかけられる。

「アスラン、キラさんも嬉しいのは分かりますが少しは周りを見て下さい」

若草色の髪をした柔和な少年が些か呆れた声を二人にかける。

「あ、ニコル久しぶり」

「お久しぶりですキラさん。先日は僕のコンサートに来てくださって有難うございました」

「ううん。僕の方こそ楽しかったよ。また呼んでね」

「はい。アスランは寝てしまっていますがキラさんはきちんと最後まで聞いて下さるので是非ともお願いします」

「今度はアスランの分まで聞くね」

「…キラ、ニコル」

キラとニコルのなごやかな会話にアスランの困った声が届き会話は終了となる。

「フフフ、分かってます。足つきのナチュラルはヴェサリウスに連行しますね」

ニコルは笑みを絶やさずアスランに言うとAAのクルー達の方へと向かう。

「あぁ。ところでイザークとディアッカはどうしたんだ」

アスランは未だ現れない同僚二人がいないことをニコルに聞く。

「あぁ、イザークとディアッカは民間人の誘導に呼ばれているので時期に戻ってきますよ」

「そうか」

ニコルの苦笑にアスランは頷くだけだった。

「イザークとディアッカも来るの?」

「そうだよ」

アスランが肯定する。

 

「ちょっとキラ、何でザフトと仲良く喋ってるのよ!」

 

今まで呆然と様子を見ていたクルー達の間から少女の怒鳴り声が響き渡る。

「何、フレイ?」

キラはきょとんとしながら声の主をを見る。

「アンタAAを守るんでしょ!私達を守る為に戦っていたのに、何で敵の人間と仲良く喋ってるのよ!」

だが、フレイにはそんなキラの表情を見て更に怒りをぶつける。

「僕は地球軍の人間でもないから敵なんていないよ?それと紹介が遅れたね。彼はアスラン。僕の幼馴染で大切な人」

キラはフレイの怒りなどさらりと受け流して、皆にアスランを紹介する。

クルー達はキラから伝えられた驚きの事実に目を丸くするが、フレイだけはキラのそんな態度に怒りを更に煽られた。

「紹介なんていらないわよ!アンタが地球軍じゃないとでも言うの!?MSに乗って戦って、同胞殺しても地球軍じゃないなんてそんな事あるわけないじゃない!」

フレイは勝ち誇ったかように言い放つ。

「ねぇ、アスは僕の気持ち分かってくれる?」

キラはフレイからアスランに目線を移す。

「勿論。ここは良い環境ではないな」

アスランはキラの額に口付けをして微かに目を細めてAAのクルー達を見る。まだ少年だというのに、とてつもない威圧感を受けクルー達は背筋に嫌な汗が流れるのを感じた。

「ココは退屈でつまんない場所だよ」

クスクスと笑いながらキラはアスランの腰に両腕を回す。。

「それに守るとかっていう言葉に飽きちゃった。何か思っていたより格好良くも無いし、大して面白くなかったし」

「キラは期待を膨らませ過ぎなんだよ」

アスランは目線をキラに戻しクスリと笑いながら鷲色の髪を撫でる。

「何言ってんのよ!早く私達を守る為に戦ってよ」

フレイの叫びを聞いて、キラの雰囲気がガラリと変わる。その事に気付いたのはアスランとニコルだけだった。

「僕はさっきそれが飽きたって言ったの…聞いてなかった?」

キラは大きく溜息を吐きながら告げる。

その内容にAAのクルー達は困惑する。

「飽きた…飽きたですって!冗談じゃないわ!」

フレイの怒号にもキラはクスクスと笑うだけだった。だがキラの双方の瞳は決して笑っていない。むしろ冷たい光を宿していた。

「許さないわよ!アンタはパパを殺したくせに!ザフトに捕まるならパパを返してよ!アンタが見殺しにした、私のパパをっ!!」

「ウルサイなぁ〜…別に僕がキミタチを守る義務はないんだけど。第一死んだ人間は生き返る筈ないじゃないか」

キラは辟易しながら、フレイに答える。

「なんですって!」

フレイは怒りに顔を真っ赤に染めながらキラの元へと向かう。

キラはアスランの腕の中から離れるとフレイの前に立つ。

その表情は今まで見たことも無いほどの無表情だった。

「大体、僕一人で守れると思ってたの?どう考えたって通常勝てる訳ないじゃない。AAを守るだけでいつも精一杯なのに他の戦艦まで手が回んないよ」

キラは呆れた声でフレイに言う。

「じゃぁ何でアンタあの時、大丈夫なんて言ったのよ!勝てないなら大丈夫なんて何で言ったりするのよ!!」

フレイの悲鳴に近い声にキラは「あぁその事」と思い出したように両手をポンと叩く。

後にいるアスランは何処か楽しそうに二人の様子を黙って見ているだけだった。

「それじゃあ言うけど、大丈夫じゃないって言ったら納得した?納得なんてしないよね。それにあの時大丈夫って言わなきゃいつまで経っても僕の腕離してくれそうになかったし」

だから言ったんだよ。とキラはフレイに向かって説明する。

フレイはあまりの内容に何も反論する余裕が無かった。

放心状態のフレイにキラは更に追い討ちをかける。

「人の言う事を信用するのは本当に信じるに値する人間だけにした方がいいよ。僕はキミなんか初めから信用も信頼もしてないから、正直どうでもいいんだよね。AAの皆さんが生きようが死のうが」

ふわりといつも見せていた穏やかな笑顔を向けながら話す内容はとても残酷でクルー達は底知れぬキラに恐怖を抱いた。

 

「坊主はどうしてストライクに乗ってたんだ?知り合いがザフトにいるなら敵である地球軍に来た」

フラガがいつもと変わらぬ口調でフレイに代わりキラに話しかける。だがその表情はとても真剣だった。

「それをそっちが言うんですか?あんなに人を脅しておきながら?僕は乗りたくないと言ったのに友達を守る為に戦えと言ってきたのはアナタ達じゃないんですか?」

キラは当然の事のように話す。

キラの言葉に誰も何も言い返せない。それが事実だったからだ。

「まぁ初めの内はそれでも皆を守れると思ってアスランと敵対しながらでも頑張って本気で戦ってました。同胞を殺して…辛くても皆を守る為だと思ってね」

キラはそこで一拍置くと後からアスランがキラの肩に腕を回して自分の方へと引き寄せる。キラはアスランの温もりにに不安定な心を落ち着かせた。

「でも段々と人は変わるんですね。今まであんなに仲が良くて守りたいと思ってた友人達はいつの間にか僕の事を友人ではなくコーディネイターのパイロットとして見ているし、何より戦わない僕はいらないんですよね?この前食堂で何方かが言っていたのを偶然聞いてしまいました。ストライクに乗って戦わない僕はいらないモノだってね」

いつもよりかなり饒舌なキラから出る言葉に皆ただ口を閉口するしかなかった。

「こんな死ぬ程つまらない場所にいたくないからアスランに迎えにきて貰いました」

「俺のキラが随分と世話になったみたいだな」

冷たい笑みを浮かべるキラの後からアスランが鋭い視線を向けて、ニヤリと口元を歪ませる。

なまじ整っているだけに迫力がかなりある。

「キラはこちらで保護させて貰う。キラの証言を裏付ける人物もいるのでな。貴様達はプラントの最高評議会メンバーによって今後の処置が決まっている事になっている。即死という決定は無いが、案外そっちの方が幸せかもな」

アスランはクスクスと心底楽しそうに笑う。

「アスランったら、事実かもしれないけど冗談っぽく言った方がこういう時はいいんじゃない?」

キラもアスランと共に楽しそうに笑いながら、アスランの首に腕を回す。

「必要とあればやるよ」

アスランはキラの顎を掬い取り、そのままキラに口付ける。

 

 

人目を憚らず堂々とキスシーンを繰り広げられ、その場にいる者達は唖然、呆然としながらただこの場に立ちすくむ。

「お二人とも相変わらずですね」

そんな二人を見て今まで黙って傍観していたニコルだけは「本当に変わってない」と懐かしむように呟いていた。

「あいつら…またこんな人前で」

「相変わらずラブラブだねぇ」

苦虫を噛み潰した声とからかい混じりの声が格納庫に響く。

「あれ、イザーク、ディアッカ戻ってきたんですか」

ニコルは振り返り、声の主達に笑みを浮かべる。

「あぁ。民間人達は問題ない。それと……アスラン!」

イザークと呼ばれた銀髪の少年が苛立ちを隠そうともせず今だ抱き合っている二人に声をかける。

「…何だイザーク」

邪魔をされた事に不機嫌を隠そうともしないアスランに、イザークは言葉に詰まるが、すぐに声を荒げる。

「はやく足つきの連中をヴェサリウスへ連行しろ。代表評議会の議員達が待っている」

「…あぁ」

アスランはそれだけ言うと再び視線をキラに戻す。

「俺はまだ仕事があるからキラは先に俺の部屋に行っていて」

「…うん」

キラは少し寂しそうに頷く。

「仕事が終わったら直ぐに行くから。ニコル」

アスランに呼ばれてニコルがキラの側に来る。

「キラさん一緒に行きましょう。アスランが来るまで僕でよければ話し相手になります」

「…うん」

不承不承といった態度のキラにアスランは小さく溜息を吐くとキラの両頬を手で挟み鼻先に唇を掠める。

「俺もずっと一緒にいたいけど、仕事をサボる事はできないからね。キラは良い子だから俺の言ってる事分かってくれるよね」

幼子に言い聞かすかのようなアスランの口調にキラは反論できなかった。

「〜〜待ってる。あ、それじゃぁ、もうお別れなんだよね」

誰がという事は言わずにアスランは頷く。

キラが言う「お別れ」が何を意味するかアスランには分かりきっていた。

アスランはキラの腰を片手で抱きとめながら、AAのクルー達の前へと向かう。フレイはすでにサイ達がやってきて、放心している彼女を介抱していた。

クルー達からは裏切り者という声が聞こえたがキラは特に何の反応も示さない。

「皆さん今までオセワニナリマシタ。もう会うことはないと思いますが、貴重な体験をさせて頂きました」

暗い笑みを浮かべながらキラはそれだけ言うとアスランと共にシャトルへと向う。

「キラッ!」

キラの背後から、少年の声が届きキラは首だけを回して振り返る。

「何?トール」

「俺達は友達だよな!たとえ、これから会うことは無くなっても俺達はキラと友達には変わりないよな!」

トールの必死の声にミリアリア、カズイ、サイもキラを見る。

「友達かどうかは自分の気持ち次第じゃない?友達って確認し合うモノじゃないデショ」

キラはクスクスと笑いながら四人を見る。

四人は何も言えなくなった。

「それじゃあ、みんなバイバイ」

キラは軽く手を振ってその場から離れた。後からトール達の声が届くが、キラはもう振り返る事はなかった。

 

「いいのか?友達なんだろう」

アスラン自分の元に走って戻ってきたキラに問う。

「僕の中では…ね」

「そう」

アスランは背中をポンポンと優しく叩く。

「うん。それに四人と離れるのは寂しいけど、アスランが居てくれるなら構わないよ」

「俺もキラがいれば他はいらないよ」

アスランの応えにキラは嬉しそうに笑みを浮かべたが、抱きしめられているのでその笑顔は誰にも見られる事は無かった。

 

「あいつ等はいい加減人目を気にしろ」

イザークが呆れた声で呟く。

「無理だろうな。お互いしか見えていないようだし。それに年中あんな光景を見せられてるからすっかり慣れてる辺りもう諦めるしか無いだろう?」

イザークの肩を叩きながら隣にいるディアッカが楽しそうな様子で返事をする。

「そうですよ。もうアスランとキラさんの激甘のスキンシップなんて僕達は毎回見ているじゃないですか。それに逆にあの二人がイチャついていない方が何があったのかと思われますよ」

ニコルの言葉にディアッカも頷く。

「もう諦めろ。イザーク」

「……あぁ」

同僚二人も味方になってもらえなかったイザークは覇気の無い声で頷いた。

そんなやりとりをしている間にアスランとキラがやって来る。

「ニコル、すまないがキラを頼む」

「分かりました。キラさん行きましょうか」

「うん」

ニコルは笑顔でキラを促す。

そしてニコルはキラをヴェサリウスに連れて行くため、シャトルの置き場へと案内をするのだった。

 

 

キラとニコルがいなくなると、三人の空気が一気に変わった。

正確に言うとアスランの雰囲気がガラリと変わった。

「お前本当にキラがいるといないで雰囲気変わるよな」

ディアッカが苦笑しながらアスランに話しかける。

「そうか?」

アスランは不思議そうな顔でディアッカを見る。

「気付いていない辺り重症だな」

イザークがすれ違い様にアスランに告げた。イザークの言葉にアスランは眉根を寄せるだけで反論しない事にイザークの保護者役になっているディアッカは内心大変ホッとした事に二人は気付いていなかった。

 

AAのクルー達の前に三人は来ると、クルー全員を一瞥する。

「お前達には我々と共にプラントに来て貰う」

アスランは無表情のまま淡々とした声でクルー達に伝える。

先程のキラと一緒にいた時の表情とは180度違い、人形の様な何の感情も湛えてない表情に纏う雰囲気さえも今は怜悧な刃物のように鋭く冷たい空気が辺りを包んでいた。周囲の者はアスランを見て背筋がゾッとする。

「先程も言ったが、評議会がお前達と話をしたいそうだ」」

拒否権など存在しない状態なので、マリュー達はただ大人しく従うしかなかった。だが、唯一つ伝えておきたいことがあった。

「一つだけ言いたい事があるのですが宜しいでしょうか」

マリューはアスランの目を見つめてハッキリと告げる。

軍人として甘い事だと言われるのは分かっているが、マリューにはどうしてもこの場で言わなければならないことがあった。

「何だ?」

アスランはマリューの真剣な表情を見て発言を許可する。

「私達の中にはヘリオポリスの学生がいます。彼等は人員不足でいつ落ちるか分からない私達の船を手伝って貰いました。ですが、彼等は軍人では有りません。本来なら我々が彼等の手伝いを拒否するべき事が正しいのですが、人手が無かった為許可してしました。ですが、どうか彼等だけは他の民間人達と共にオーブへ返してあげて下さい」

マリューの言葉にイザークとディアッカだけではなく、学生達も驚いた。まさかマリューが自分達を庇うとは思ってもいなかったのだ。

そんな仲アスランだけは無表情のままマリューの話を聞いていた。

「お願いします。学生である彼等は軍の情報は何も知りません」

マリューは必死な表情でアスランに頼む。

「だが、手伝った事実がある限り民間人という扱いはできない」

アスランはマリューの視線を受けながら出来ないと告げる。

「それに、決定をするのは俺達軍人ではなく、プラントでは議会が全て決める。俺達の一存では何もできない」

「そう…ですか」

マリューは悔しさを隠せず唇をきつく噛み締める。

そして学生達も、オーブに帰れる手立てが完全に失ってしまった事にショックを受けている。

「話は聞いた。我々の戦艦ヴェサリウスにご同行願おう」

アスランは口の端に笑みを浮かべながら、クルー達をシャトルへと案内するのだった。

 

 

 

「アスランv」

アスランが自室の扉を開けると同時にキラが思い切り抱きついてくる。

「キラ、良い子にしてた?」

アスランはキラを抱きしめ返しながらクスクスと笑いながら声をかける。

「ニコルと一緒にお茶しながら話してたよ」

同意を求めてキラはお茶をしているニコルを見る。

「キラさんと楽しくお話してましたよ。今までのアスランの事を色々と聞かれました」

アスランとキラもテーブルにつくと、ニコルは空のカップに紅茶を注ぐとアスランに渡す。

そしてキラのカップにも新しいのを注ぐ。

「すまない」

「ありがと」

二人にお礼を言われてニコルは笑顔で「どういたしまして」と返事を返すとテーブルから離れる。

「では、アスランが帰ってきたので僕はもう行きます。お二人の邪魔をして蹴られるのは困りますからそれじゃぁキラさん、僕はガモフなので今度はプラントで会いましょうね」

ドアを開けて廊下に出るニコルをアスランとキラは入り口まで来て見送る。

「うん。またね、ニコル。あ、イザークとディアッカにもヨロシク〜」

「分かりました」

「気をつけて」

「えぇ。では、お二人ともまた」

ニコルは手を振り、ドアを閉めた。

 

 

 

室内に二人きりになると、キラはアスランの腕に体重を預ける。今日は本当に色んな事があり過ぎと、アスランが側にいるという安心感でキラの緊張は一気に切れた。

キラは一気に訪れた疲労感に逆らえなかった。

そんなキラの状態をアスランが気付かない訳が無かった。

「今日は色々あったから疲れただろう?少し眠った方がいいね」

「うん…」

キラもどっと疲れが出て急激な睡魔に抗う事ができなかった。

アスランはキラの躯を横抱きに抱えるとそのままベットへそっと下ろす。

「ゆっくり寝ていて大丈夫だよ。もうキラは戦わなくていいんだから」

アスランはキラの髪を優しく梳きながら告げる。

「寝ている間側にいてくれる?」

キラは左手を頭上にあるアスランお裾を握り締める。

「勿論。これからもずっと一緒にいるよ」

空いている左手でキラの左手を握り、シーツの上に下ろしながらアスランは頷く。

「ずっと手を握ってるから安心して」

アスランはギュっと一瞬だけ強く握りしめる。

「うん」

キラはアスランの言葉を聞き安心しきった顔で目を閉じると、すぐに寝息が聞こえた。

よっぽど疲れていたのだろう。あっという間に眠りについたキラをアスランは愛おしそうに見つめながら、同時にこんなに肉体的、精神的に疲労させた地球軍の軍人やキラの友人達を許すことができない。

「キラを苦しめた償いはちゃんとして貰う」

アスランの呟きは深い眠りについたキラの耳には届かなかった。

 

 

キラはまだ知らなかった。

もう、友人やクルー達に会える日が来る事が無い事を。

 

 

 

 

 

 

 

コメント


加筆修正しました。なんだかあまり内容が微妙すぎだったので…でも今回もやっぱり中途半端。ですが、これにて終了。
最後はどうぞ皆さんの想像におまかせします。AAクルーが死亡、監禁、それともアスランがキラを監禁…とかもう何でも言いや(殴)

ちょっとブラックなキラを書こうと思ったのですが、何だか黒くなりきれていない…毎回失敗している黒キラ(汗)
この話自体は種部屋オープン前からあったので、まだフレイが悪い子です。いつか、良い子なフレイが書きたいです。フレイ嫌いじゃないのでv