AIで楽曲を楽器やボーカルに分離する

本日も宇宙で何度目かの地球連合軍のAAとザフト軍のヴェサリウスとガモフの戦闘が開始されていようとした。

 

『総員、第一戦闘配備、繰り返す、総員第一戦闘配備』

 

AAのキラは宛がわれた自室の机の上で繰り返される放送を聞くや否や、机の上に散らばっている物を一纏めにし、手に持つと急いで格納庫に向かうのだった。

 

 

 

戦場記録 〜トリィ編〜

 

 

 

「今日こそ足つきとストライクを沈めてやる!」

「少し落ち着けよ」

通信越しでイザークが息巻く中ディアッカは苦笑する。

「そうですよ。戦闘中は冷静な判断で勝敗が決まるんですから」

ニコルも少し呆れた声でイザークとディアッカに話しかける。

「フン、腰抜けの癖に偉そうな事を…」

イザークが眉間に皺を寄せながらニコルに反発しようとした途端、AAの中からストライクとメビウスが出てきた。

「今日こそ、仕留めてやる」

イザークが言うのと同時にデュエルをストライクに向けて一気に加速していく。

「オイッ、イザーク」

「本当に仕方無いですね」

イザークの行動にディアッカとニコルはお互い仕方が無いと言わんばかりにデュエルの後姿を見送った。

だが、それも一瞬で直ぐに二人もAAとメビウスに対しての攻撃体制を取る。

「アスラン?どうかしましたか?」

ニコルはふと、自分の愛機ブリッツの後方にいるイージスのパイロットであるアスランに声をかける。

「…いや、何でもない。」

微妙な間があったがアスランはきちんと返答する。ニコルはアスランが会話に積極的に参加する性格でないという事をアカデミーの頃から知っているので特に気にしなかった。

「そうですか。では僕はAAに行きますね。メビウスはディアッカがもう向かってしまっているので…というか、邪魔して僕のせいとか言われたらたまったもんじゃないですし」

何気に本心をさらっと出しながらニコルは笑顔のままAAに向かう。

「あぁ…気をつけてな」

「ふふふ。勿論ですよ」

どこか黒い気を纏うニコルをモニター越しに見てアスランは背筋がゾクリと粟立つのを感じながら通信を切った。

「…キラ」

アスランは今日もまた大切な親友と互いに殺し合いをしなければならない現状に唇を噛み締めるのだった。

アスランの呟きは周りで繰り広げられる攻防の音でかき消されていた。

 

 

 

「今日こそお前を倒す!」

イザークはストライクに向かって攻撃を今正に仕掛けようとした途端、ストライクから全周波で回線が流れた。

「アスラン、アスラン、アスラ―――ン」

泣き声の様な声がストライクから放たれイザークは思わずデュエルを停止してしまった。しかも台詞の中には、自分のライバル兼同僚の名前が出てきたのだ。

「オイッ、貴様何でアスランの名を」

「アスランッ、いるんでしょ?というか、何で今日に限って直ぐに僕の所に来てくれないのさ!いつもなら直ぐに来てくれるのに!アスランの浮気者〜〜バカ〜もう知らないから〜」

イザークが「名を知っているんだ!?」と言い終わる前にキラが見事に通信で遮った。

そしてイザーク同様、AA初め全てのモノが動きを止める。

特にザフト軍はアスランの名前がまさか地球軍から聞けるとは思いもしなかった。

しかもあの紅でエースパイロットであるアスラン・ザラを『馬鹿』呼ばわり。

先程までの攻防が嘘のようにその場が一瞬でシーンと静まりかえる。

 

「キラ、俺は浮気なんてしてないぞ!第一キラ以外とどうやって浮気すればいいんだ?」

静けさが漂う中、イージスがストライクに向かいながら声をかける。

「突っ込む所が違うだろう!」という周囲の意見は無視してアスランはイージスの高速をフルに活用してストライクに向かう。

「そうだね。アスランが僕以外と浮気する筈ないもんね」

「当り前だ。それよりどうしたんだそんなに慌てて?キラが俺に会いたがってくれるのは嬉しいけど…」

「…うん」

「キーラ、一体何があったの?」

まるで恋人同志の会話をする2人に周囲は唖然とするしかなかった。特にザフトでは、皆が信じられない様子で会話を聞いている。

幸か不幸か、音声だけが聞こえる。勿論アスランが故意にしているという事が明らかだ。何せ通常はモニター通信になっているのだから。

一方、そんな周囲の思いなど全く気にもしない元凶2人は…

「アスランっ!あのね、どうしよう!…トリィが、トリィがっ…どうしたらいい!?」

キラはアスランを呼んだ理由を思い出し、目の前に来たアスランに話しかける。

「キラ落ち着いて、ね。その前に通信が音声だけだからモニターも繋げて」

「あっ…ごめん、今繋げるね」

キラはアスランに言われ素直に従う。

それに驚いたのはAAの隊員達。敵の言葉に疑いも無く従うキラは呆然と見る。

と、同時に今まで見てきたキラと今のキラの様子が違いすぎな事に驚いている。

 

「アスランっv」

通信が繋がったと同時にキラは嬉しさを隠せない様子でアスランの名前を呼ぶ。

「久しぶり。キラ」

「久しぶり」

モニター越しだが、相手の顔を見る事ができて二人とも自然と笑みが浮かべる。

モニターは互いしか見れないよう通信が遮断されているが、音声は全周波。この場にいる全員に聞こえている事など既に二人は気づいてないというか、どうでも良かった。

「顔色が少し良くないけど大丈夫?」

「相変わらずアスランは心配性なんだから…と、そんな事言ってるんじゃなくて、トリィが大変なの!どうしたらいい!?」

「トリィがどうかしたの?そういえばさっき凄い泣きそうな声で俺を呼んでたけど」

キラの要領を得ない台詞を聞きながらアスランは『変わってないなぁ』と思いながらキラを諭す。

「あのね、トリィが動かなくて、直そうと思って色々やってたんだけど……」

「直せなくなっちゃったんだね」

アスランはキラの言いたい事を先回りする。

「僕だって頑張った…んだ…ふぇ…ぇ……うわぁぁん」

目に涙を溜めながら言っていたが、キラはついに涙をボロボロと零し泣き始める。

「泣かないでキラ。俺が直してあげるから。ね、だから泣かないで」

アスランは殊更優しい声音でキラをあやす。

「ほ…んと?…トリ…直して…くれる…?」

「俺がキラに嘘言う訳ないだろう。だからもう涙を止めて。ね。」

「…うん」

優しく微笑むアスランにキラは顔を赤らめながら涙を拭ってアスランに笑いかける。

「涙は止まったみたいだね。…取り合えずトリィを直すにしろ、キラからトリィを受け取らないとな…」

悩むアスランを見て、キラは良い解決策を思いついた。

「それなら、僕が今からイージスに行くからコックピット開けて!」

キラの発言にアスランは「そうだな。その手があった」と肯定をするが、今まで二人の話を呆然と聞いていた全員は「ちょっと待て!」と心の中で思い切り突っ込みを入れる。

「キ…キラ君、そんな危ない事承諾できないわ!」

一早く正気に戻ったのはAAの艦長であるラミアスだった。かなり焦った口調でキラに話しかける。

それをきっかけに他のAAメンバーも元に戻りキラの提案を却下する。

「そうだぞ、坊主。相手はザフトなんだぞ!しかも今は戦闘中だろうが!」

「キラっ、お願いだから危ない事はやめて」

「そうだぞキラ。そんな危ない事はすぐやめて直ぐにAAに戻ってきてもいいから」

「ヤマト少尉!何を考えている!今は戦闘中だぞ速やかに敵軍を落とせ」

上からフラガ、ミリィ、トール、ナタルが声をかける。

「皆そんな慌てた顔してどうしたの?それにアスランだよ。危ないなんて事ないよ?」

キラは『危ない』と言う仲間に不思議そうに返答する。

一方AAメンバーは「相手はザフトで敵よ(だぞ)」という気持ちを隠しもせず声に出した。

「だから、アスランだし平気だよ」

にっこりと笑うキラにAA一同頬を赤く染めながらも、キラの思考が付いていけず途方に暮れるのだった。

 

 

 

一方、アスランの方もキラと同様仲間から通信が入ってきた。。

「ア、アスラン…お知り合いなんですか?」

ニコルが遠慮がちにアスランに問いかける。本来ならもっと違う事を聞くべきだが、生憎と自分の口からはこれが精一杯だった。

何せ先程の会話の内容が自分が今まで見てきたアスランとは全くかけ離れているものだった。

「あぁ。そうだ」

「ちなみに…どんな関係ですか」

「幼馴染兼親友」

「…そうですか」

間髪いれずに、しかも嬉しそうに話すアスランにニコルはそれしか言えなかった。あまりにもアスランの嬉しそうな声と表情に今まで自分が慕っていた兄というイメージはニコルの中からすっかり消えていたと同時に、幼馴染で親友の会話にしては行き過ぎな気がすると思うのだが、これ以上踏み込むと自分自身が危険な予感がしたのでニコルはそのまま会話を終わらせた。

ニコルとの会話が切れた途端、今度は大きな怒鳴り声がアスランに届いた。

「アスラン貴様何考えている!相手はストライクのパイロットだそ!敵を前に倒さない軍人が何処にいる!」

ようやくこの異常から抜け出せたのか、イザークは顔を紅潮させてアスランを怒鳴る。

「キラは敵じゃない。もう一度言ったらイザーク…容赦はしない」

アスランは絶対零度の瞳でイザークを一瞥する。

「アスラン貴様ぁ、何寝ぼけた事を言っている!!」

「イザーク少し落ち着け。取り合えず今は冷静になれ。…アスラン、お前もな」

ヒートアップするイザークを宥めながら、ディアッカはアスランにも一言入れる。

「ディアッカ。俺は別に冷静だ」

アスランは軽く眉を眉間に寄せてディアッカの台詞を否定する。

「その割にはいつもとは態度が随分違うじゃねーの」

「そうか?別にいつもと同じだろう」

「…自覚無しかよ」

「それはどういう…」

「アスラン、今からそっちに行くからコックピット開けて〜」

キラの嬉しそうな声が耳に届き、アスランは意識をディアッカからキラに即座に戻す。

「OK。今開ける」

アスランがコックピットを開けると同時にキラが勢いよくアスランに抱きつく。

「アスランッ!」

「キラ…」

アスランも両手をキラの腰に回して抱きしめる。

「バイザーが邪魔だね。僕の大好きなアスランの翡翠の瞳が見たい」

「俺もキラの紫水晶の瞳で見つめられたいよ」

「アスラン…///」

「キラ、可愛い」

「…可愛くないもん」

「俺にはキラが可愛いく見えるんだよ」

「ばか…」

「それじゃぁ早速トリィを直さないとね」

「うん!工具とトリィは全部持ってきてるから」

そして二人は仲良くイージスのコックピットに

 

 

 

「二人の世界ってああいうのを言うんですね〜初めて見ました」

二人の周りがピンクに見えます…とニコルが遠い目をしながら感想を呟く。

「アスランがあんな事言うとはなぁ…ああいうのが世に言うバカップルってか」

ディアッカは半笑いで呟く。

「………俺はあんな奴等に…あんな奴等に…」

イザークは自分が勝てなかった相手同士の会話に肩を震わせる。それはもう怒りなのか呆れなのかイザークにも分からなかった。

 

 

そして誰が言うでも無く本日の戦闘はこれにて終了だった。

誰もがやる気を無くしたのは言うまでもない。

 

 

 

おまけ

 

「そうだ、アスラン、一応AAの人と通信してもいい?何かねアスランの所に行く時…友達が凄い心配そうな顔してたから」

駄目?と上目使いにキラはアスランを見る。

「キ〜ラ〜、俺が反対できない事知っててそんな態度してるの?」

基本的にキラのお願いにはとことん弱いアスランは、はぁ〜と溜息を吐きながらも「繋げていいよ」とキラの頭を撫でながら言う。

「ありがと〜アスラン大好き」

「はいはい。それじゃぁ俺はトリィを直すから大人しくしててね」

「は〜い」

 

「艦長!イージスから通信が入ってます。繋げますか?」

「…繋げて頂戴」

ミリアリアの困った声に、ラミアスは額に手を当てて通信を繋ぐ様言い渡す。

「あっ、繋がった。こちらキラ・ヤマト。トール、ミリーさっき心配そうにしてたからアスランに言って通信繋げてもらったんだ。僕は全然大丈夫だよv」

キラは嬉しそうにAAのブリッジに向けて話しかける。

だが、AAメンバーはキラの言葉よりその光景に目が正に点状態だった。

何せキラの格好は、恐らくイージスのパイロットである少年の膝の上に横抱きのような格好だった。

後から「キラ、あんまり動くな」と声が聞こえるが音として耳から流れていく。

「あのね、今アスランにトリィを直してもらってるから、きちんと動くようになったらAAに戻るね」

「…そうなの」

ミリアリアはそれだけ言うのが精一杯だった。

「キラはきちんと俺が足つきに送り届ける。本当は…俺の傍に置いておきたいのだがな」

キラの後方からアスランが鋭い瞳でモニターを見る。幸いな事にキラも一緒にモニターを見ているのでアスランの表情にキラは気付かなかった。

だが、AAのブリッジクルーはアスランの表情を見て息を詰まらせる。

「ごめん。アスラン」

「お前の意思で決めたことだろ。今の所はキラの意思を尊重するよ…それよりもう少しで直るから大人しくしていてくれ」

アスランは器用に両手を動かしながらキラの頭に軽くキスをする。

「うん」

キラはも頬を赤く染めながらアスランに身体を預けるのだった。

 

 

通信を繋げたまま二人の遣り取りと見ていたAAのクルーは「通信切りたい」という思いでいっぱいだった。

 

 

終わっとけ…。

 

 

 

 

コメント

こんな話でも一応6ページ使用している自分の頭の悪さにカ・ン・パ・イ(死)
取り合えず、泣くキラと甘やかすアスランを書きたかっただけです。ついでにイザークとか出したかったらもうこんなオカシイ話になりました。
バカップルとか書くのは久々で楽しかった!初めての種SSがコレなのも何か何とも言えないですが(汗)









BGM VAGRANCY様 「Chi vuol la zingarella?」