顧問である竜崎の事情で土曜が珍しく休みになった。 そんな休日をリョーマは従姉の菜々子に誘われて(半ば強引に)買い物に付き合っていた。 ちなみに行き先は若者が集まるとあるデパートだった。 菜々子はリョーマに着せる服を選びながら楽しんでいるが当のリョーマはグッタリと疲れていた。なにせ今のリョーマは菜々子の着せ替え人形状態になっていたからだったりする。 (こんなんだったらまだテニスで疲れた方がマシ…) 心の中でリョーマはそうぼやきながらも菜々子に付き合った。
「じゃぁ私はレジで買ってきますねv」 ニッコリと満足気な菜々子の細い腕には7、8着の服が抱かれていた。 「俺・、そこのベンチに座ってるから」 リョーマはグッタリとした様子で菜々子に告げるとそのまま休憩所として設置してあるベンチを指差しながら店から出ていく。 結局約2時間リョーマは菜々子に付き合った。 (何で服買うだけでこんなに疲れるんだろ…) ベンチの上でクタ〜っとしていると菜々子がニコニコと笑顔でリョーマの元に戻ってきた。 「おまたせしました。じゃぁ次行きましょうか」 にっこりと笑われてリョーマは瞬間口の端を引きつらせたがそのまま無言で頷く。 菜々子の後から出ているオーラがリョーマをそうさせたのだった。 (何か…コワイ) リョーマは心の中でそう思った。 二人して並んで歩いていくと菜々子が「ここです」と言いながら店に入っていく。着いた先は花屋だった。リョーマの目から見てもお洒落だと思う店だった。 店の中に入るとやはりというか、女性客やカップルが結構いた。 「お家に飾る花を一緒に見ますか?」 菜々子がリョーマに言うとリョーマは首を横に振る。 「じゃぁ終わりましたらリョーマさんの所に行きますから。疲れたならそこに隣に喫茶店があるので座って待っていて下さい」 菜々子はリョーマに告げる。 「俺も行くよ」 「そうですか」 リョーマはそれだけ言うと店に入っていく。菜々子もその後に付いていくのだった。 中に入ると当たり前というか色々な花の匂いが店の中漂っていた。 (スゴイ甘い匂い…) リョーマはキョロキョロと周りを見渡すと今まで見たこともない花があちらこちらにあった。 とある鉢に入った花にリョーマは近寄っていく。 (これキレー…コチョウランっていうんだ) きれいな紫と白の2つが並べて置いてありリョーマはまじまじと見ている。 「胡蝶蘭が気に入りましたか?」 中年の女性が優しい笑顔でリョーマに話しかけてきた。 「胡蝶蘭は他のラン類に比べ簡単に割と簡単に花を楽しむことが出来るんですよ。」 「ふ〜ん」 「お母様に贈り物ですか?」 女性の台詞にリョーマは首を横に振る。 「じゃぁ好きな方にかしら?」 店員はニコっと笑いながらリョーマを見る。 「………」 リョーマは瞬間手塚の顔を思い出して顔を赤く染める。 「花には一つ一つメッセージがあるんですよ。花言葉って聞いたことあるかしら?自分の思いを花に託して伝えるというのがあるの。日本ではあまりないけれど」 「ふ〜ん…じゃぁ相手に自分の思いを知ってもらう花ってあるの?」 リョーマは店員を見ながらそういう。 「ええ。でも片思いかしらそれとも恋人にかしら?」 店員はリョーマにそう訪ねる。 「…俺の片思い」 リョーマはポソっと呟くがきちんと届いたらしく店員はリョーマの側から離れ少し奥に向かっていった。 「これはどうかしら?」 暫くして戻ってきた店員の腕には色とりどりの花が抱えられていた。 「これはリナリアといって別名姫金魚草というの」 細く長い茎には小さな花がいくつも付いている。そしてい1本1本色が違うので見た目がとてもカラフルなのだ。 「この花の花言葉は何なの?」 リョーマは質問する。 「花言葉は『私の恋を知って』よ。気持ちを伝えるにはいいかしらと思って」 「…うん」 リョーマは頷きながら店員の持ってきたリナリアをまじまじと見る。 「リョーマさんお待たせしました」 菜々子が終わったらしくリョーマの元に近づいてくる。 「リョーマさんリナリアが気に入ったの?」 菜々子はリョーマは花を見ているのに少しだけ驚いたような顔をするが、直ぐにいつもの笑顔を浮かべる。 「別に…ただ花言葉がよかっただけ」 「そうですか、でしたらそれを小さな花束にして貰えますか?」 菜々子は店員にそう言う。 「わかりました。リボンはピンクとブルーどちらにしますか?」 「ブルーでお願いします。リョーマさん店の外で待っていて下さい」 「へ?」 リョーマを抜かして菜々子と店員はレジの方に向かっていった。 (何なんだ?) 一人残されたリョーマは首を傾げながら店の外に出ていった。 「はい、リョーマさん」 菜々子は店から出ていくとリョーマに花束を渡す。 大きくも小さくもない丁度良いサイズの花束だった。 「菜々子さんのは?」 菜々子の手にはバックと紙袋が2あるだけだ。 「私のは自宅まで送って下さるらしいんです。開店したばかりらしく無料でやって下さると言っていたので」 「ふ〜ん」 「リョーマさんは手塚さんに早めに渡した方が良いと思ったので持ち帰りにしたんです」 「!!」 菜々子の発言にリョーマは驚愕する。 「なっ、何で…っ」 リョーマは顔を真っ赤に染めながら菜々子を凝視する。 「女の勘ですvでは帰りましょうか」 言いながら菜々子は出口へと向かっていった。 (女の勘ってコワイ…) 菜々子の後ろ姿を見てリョーマはそう思ったのだった。
そして更にリョーマは本日驚くべき事がおきた。 「越前」 「…部長」 帰り道偶然手塚と出会ってしまった。 「それじゃぁ私は先に帰りますから。リョーマさん頑張って下さいね」 にっこりと笑いながら菜々子は手塚に軽く会釈をして先に帰ってしまった。 「買い物か?」 「そうっス。部長は?」 「俺は図書館の帰りだ」 「休みなのに勉強熱心っスね」 リョーマは手塚を見ながら言うと手塚は苦笑する。 「お前もあと2年したら受験生だぞ」 「そんな先の事はまだ考えないようにしてるからいいんデス」 「越前らしいな」 手塚はそう言うとリョーマの頭をポンポンと優しく叩く。 (〜〜〜///) リョーマの心臓は止まってしまうかもしれないと思うほどドキドキと早鐘を打つ。 「どうした?」 そんなリョーマの異変に気付かない手塚は俯いてしまったリョーマの顔を覗き込む。 「なっ、何でもナイ…っ」 端から見ても赤くなっている顔を左右に振りながらリョーマは手塚に言う。 「…そうか」 「そうっス!それと、部長よかったらこれどうぞ」 リョーマは勢いにのって手塚に先程花屋で購入した花束を手塚に押しつけるように渡す。 「越前?」 「俺の気持ち無駄にしないで下さいね」 リョーマはそれだけ言うと脱兎のごとく手塚の前から走り去った。 「…リナリア」 手塚はリョーマに渡された花をまじまじと見るとフッと微笑する。 「あいつはこの花の意味を分かって渡したのか?」 (花言葉は『私の恋を知って』とかだった気がするが) 母親が花好きなので手塚も自然と花の名前やその意味を知っていた。 「できれば知っていてもらいたいがな」 手塚はリョーマの去った後を見ながらそう呟いたのだった。
END |
| コメント…というか反省文です。 花の名前ですがこんなんでも良かったでしょうか(ドキドキ)私自身あまり花に詳しくないので四苦八苦しながら何とか頑張ってみました(汗)リナリア一応画像付けておきます。私のじゃとても説明不足なので。ちなみにラン科のお花です。菜々子さん強くてすみません。私の中では菜々子さんは腐女子という認識になっています(殴) 本当に遅くなってしまいすみませんでした&リクエスト有り難うございました。 |
![]() これがリナリアです。見づらいですが… |