ハツモウデ
人ごみで賑わう神社
「なぁなぁ、次あれしよーぜ!」
今年6年生に上がったばかりの真一朗がその人ごみを掻き分けながら次々と前へ進んでいく。
「真一朗、そんなに慌てなくてもお店は逃げないよ・・・」
真一朗の義兄である奏司が一歩遅れてその後ろをついて行く。
今日は1月1日元旦。
いつもならばガランとした神社もこのときばかりは人ごみに溢れていて活気を見せている。
あちらこちらから聞こえる客引きの声。
本来人ごみをあまり好きでない奏司がこのような場所に来ることは珍しいのだが、それもこれもテレビを見ていた真一朗が行きたいと言い出した為。
可愛い義弟のタメならばなんのその、苦手な人ごみも気にはならない。
特に最近は高学年に上がり、今まで自分を頼ってきた真一朗がひとり立ちしてしまった寂しさもあって、今日の誘いは奏司にとってとても嬉しいことだった。
例えそれが奏司の溜めているお小遣い目当てだったとしても。
真一朗が止まったのは金魚すくいのお店。
「1回300円だよ、釣れなくても2匹はあげるぞ〜」
じーっと水槽を見る真一朗に向かってお店のおじさんが声をかけてくる。
「奏司・・・・」
「はいはい。」
このような屋台の金魚は連れ帰っても三箇日を終えずに死んでしまうことが多い。
いつもならば説得をし、やめさせようとする奏司だが今日は特別。
お店のおじさんに300円を支払い真一朗に金魚すくいをさせる。
嬉しそうに道具を受け取った真一朗は勇んで水槽へと手を付けた。
「あれ、浅香君?」
金魚と格闘する真一朗を微笑ましく見ていた奏司に偶然通りがかった高校のクラスメイトが声をかけてくる。
「うわ〜こんなところで会えるとは思わなかった〜。あけましておめでとう!」
「あけましておめでとう……本当、偶然だね。着物…よく似合ってるよ。」
今日は進学校ならではの質素な制服ではなく、華やかに彩られた振袖姿の学友に正直な感想を漏らす。
「ありがとう・・・」
その奏司の言葉に少し頬を細めながらお礼を継げる学友。
一緒に来ていた友達が横から2人をはやし立てた。
雑談を交わしているといつの間にか金魚すくいを終えた真一朗が奏司の服の裾を引っ張り、終ったことをアピールする。
「あぁ、終ったのかい、真一朗。」
学友との会話を打ち切り、金魚の入った巾着上の入れ物を見せる真一朗と視線をそろえるために奏司はほんの少しだけしゃがみこみ成果の程を聞いた。
「浅香くん・・・あの、よかったらみんなで一緒に回らない?」
頬を染めながら先ほどのクラスメイトが奏司を誘うけれど、その返事も聞かず、真一朗が奏司の元を離れる。
「こら、真一朗・・・・ごめんね、弟が居るから。」
奏司は先々進む真一朗を目で追いながら一言謝りの言葉をかけると真一朗の後を追い掛け人ごみへと紛れていった。
しばらくして鳥居の外で立ち止まっている真一朗を見つけ、奏司はそっと近づいた。
「真一朗・・・どうしたんだい急に。」
「・・・・・・早く帰ろーぜ。」
真一朗の肩に手を置こうと差し出した奏司の手を引いて真一朗はズカズカと歩き出す。
「・・・さっきの人はただのクラスメイトだよ。」
「別に・・・・・・聞いてねーし。」
「金魚・・・・たくさん取れたんだね?」
「・・・・・・・・・」
ぶっきらぼうに答える真一朗に奏司は笑みを漏らしながら聞いた。
そのまま施設までの道のりを二人手を繋いで歩く。
あと何年こうして過ごせるかは分からないけれどできる限り側に居てこの背中を見ていようと奏司は心の中で真一朗に話した。
ほんの少し2人の距離が縮まった初詣だった。
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あけましておめでとうございます〜!奏司×ちび真でお届けしました。今年も頑張りますので応援よろしくです。
コメント
奏司×ちび真!奏真も好きなので、素敵すぎですv奏司さんはなぁ〜受けも攻めもどっちでも大丈夫な方だし(オイ)
あきらさん正月早々素敵なお話を有難うございます。真一朗が本当に可愛過ぎですv
今年も、どうしようもない私ですが、宜しくお願い致します。応援してます!奏真!!
