『初参り』
「早くしろ、置いていくぞ・・・」
「ちょっ、待てよ!!」
街は冬将軍が制覇していて冷たい風が頬に突き刺さる
オレ、羽柴空は先々と前を歩く水都の背中を追いかけて小走りで駆け寄った
「なぁ・・・どこ行くんだよ・・・」
オレが横に並んで聞いても水都はなにも答えようとしない
今、オレは大学2年生、なんと自分の母校で数学を教えてる・・・っていっても一人で教えてる訳じゃなくて・・・
この目の前に居る鬼のように厳しい数学教師水都真一朗の下でアシスタントとして教壇に立つことになったんだ
んで今はちょうど冬休みであさってから学校が始まるっていう状態
実は正月から水都のマンションに入り浸っていて今日あたり寮に帰ろうかなって思ってたところをいきなり外に連れ出された。
なんでオレが水都のマンションに入り浸ってるかって言うと・・・その・・・・・・////
とっとにかく、オレは今むっちゃ寒いところに行き先もわからず無理矢理連れて来られたって事!
「なぁ〜、マジでどこ行くんだよ・・・・」
「だまって付いて来い・・・・」
ここで下手に食いかかろうならどっかその辺の路地に連れて行かれてヤられること間違い無しだからオレは黙りこんだ。
高校の時のオレなら迷わず食いかかってたけどな!
「着いたぞ・・・」
「へっ?・・・神社??」
水都は少し高さのある石段を一歩づつ迷いもなく上っていく
神社は神社でもお正月の三が日も過ぎて参拝者も少ない・・・
「水都・・・」
「なんだ?」
「まさかこれ初詣じゃないだろうな?」
初詣っていうと『新年あけましておめでとうございます』の掛け声とともに除夜の鐘を聞きながらながーい行列を並んで参拝するやつだと思ってたんだけど
「・・・わざわざ人で混み合っている時期にお参りをする必要は無い」
「いや、そりゃそうだけどさ・・・・」
確かに人で混み合ってる中を歩くのはちと勘弁して欲しいなとは思うけど
それはそれでお正月だなぁ〜って実感できると思うんだけど。
「ってこら、置いてくなって・・・・」
石段に足を取られて立ち止まったオレには見向きもしないでどんどんと石段を登っていく
オレが水都に追いつく頃には石段もなくなっていて正面にお賽銭箱が見えた
境内の前まで行って財布を取り出す
オレは毎年ご縁があるようにって5円玉を投げ入れるんだけど・・・
「げっ・・・そんな入れんの?!」
「私は毎年その年の数だけ入れている・・・」
水都は財布から今年の年、2004年にちなんで2千円と4円を取り出した
「じゃあ来年は2005年だから2千円と5円なのか?」
「あぁ・・・」
水都はお賽銭箱にお金を投げ入れてカランッと鈴を鳴らした
オレも慌てて5円を投げ入れて小さく鈴を鳴らしながら両手を合わせて目を瞑る
お願いしたいことは山ほどある・・・でも一番の願い事は・・・・・・
チラッと横に居る水都をそっと盗み見ると
同じようにオレを横目で見ている水都と目が合った
水都は口元にフッと笑みを浮かべてて・・・
そんな水都の仕草に心臓が止まりそうになった・・・・・・
オレは慌てて目を瞑って必死にお願い事をする。
でも頭の中はさっきの水都でいっぱいで・・・
オレがお願いしようとしていたことが見透かされていたみたいで・・・・
「いつまで拝んでるつもりだ・・・帰るぞ・・・・」
頭の中がぐちゃぐちゃになって顔を上げれてないオレの上から声がかかった。
その言葉に驚いて顔を上げると水都の顔が目の前に迫っていて・・・
そっと口唇に柔らかい感触
そのまま腰に手を回されて快感を引き出すような熱いキスに変わる
「・・・いまさら願うことでもないだろう?」
やっぱり水都はオレがお願いしようとしていた内容を分かっていたみたいでそう囁いてくる
「心配せずとも来年も再来年も・・・ずっと一緒だ・・・・・・・」
「うっ・・・・じゃあ水都はなんでオレの方を見てたんだよ・・・・///」
腰は抱かれたままだけど口元を拭いながら聞き返す。
あの時水都は確かにオレを見て口元に笑みを浮かべたんだ・・・・・
オレの言葉を聞いて水都はまたさっきみせたのと同じような笑みを浮かべて
「あぁ・・・お前と同じ事を考えていた・・・・・・・・」
一言そう答えた・・・・
『来年もこうして一緒に過ごせますように・・・・』
「なんだよ、じゃあ一緒じゃねーか・・・・!!」
照れて赤くなった顔を隠すようにそっぽをむくけどすぐに元に戻されて
また熱く優しい口付けでオレを翻弄してくる
分かっていても願わずにはいられない一番の願い事
きっとこれから毎年同じ事をお祈りするだろうけどそれが一番叶えて欲しい願い事だから・・・
だからオレ達は願わずにはいられないんだ・・・・
これからも・・・ずっと・・・・・・・・・・と。
END
<弁解>
いや、新年早々鬼畜もなぁ〜ってことでほのぼのさせようとしたらこんなものが・・・
はははっ・・・甘い水空もいいと思いませんか?
なんというか水空に関してはかなりのドリーマーなもので・・・ごにょごにょ(必死に弁解中)
コメント
あきらさんから寒中見舞いを頂きました〜水空vあぁ〜やっと新年の水空話が読めて幸せです。しかもラブラブ〜先生が可愛いです(オイ)勿論、空もとっても可愛くてほのぼのって良いものだなぁと改めて実感しました。
あきらさん素敵な寒中見舞いを有り難うございます。