『パトロンはサンタクロース』
12月24日といえば冬の一大イベント
恋人達の甘い囁き・戯れ
家族との暖かい交流・安らぎ
子供達はみなプレゼントに期待を膨らませる
そんなクリスマスをなによりも心待ちにしている人物が一人・・・
■□■12月23日□■□
「真一朗、どうだろう私と聖夜を一緒に過ごしてみないか・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
マンションの5階部分。
真一朗の住むマンションへ突然姿を表した相沢は薔薇の花束を片手に不敵な笑みを浮かべながら玄関先に出た真一朗へ手を差し伸べた。
「・・・・嫌だ。」
どうして相沢がここに居るのか、どうして自分を誘いにくるのか・・・そんなことを一通り考えたあと真一朗は拒否の返事を返す。
「なぜ断るんだ・・・お前が大好きなお酒も飲み放題で望むのならばロレックスでもなんでも買ってやろうというのに・・・どうして断るんだ?!」
「・・・んなもん相沢だからに決まってるだろ。じゃ、忙しいから・・・」
相沢は真一朗が憎むべき相手で敵対する2人の関係を表すもっともな回答を突きつけて真一朗は扉を閉めようとするが相沢は足をはさむことでそれを阻止する
「よぉ〜し分かった・・・ならば今から私は相沢の名を捨て永瀬と改名するぞ!」
「どっちも一緒だ!!・・・つーか離れろ!!!!」
そのままずずーっと中へと入ってきた相沢は改名宣言をしつつ真一朗の腰へと抱きつく、それを真一朗は引き剥がそうと体を引きながら相沢の顔を押さえつけるが一向に離れる気配は無い
「ふふふ・・・・逃がさんぞ真一朗・・・・・・さぁ私と聖夜を共にすると言え!」
「誰が言うか!・・・くそぉ〜この、離れろ!!」
真一朗がどんなに力を込めて引き剥がそうとしてもまるで妖怪の子泣きじじいのようにピッタリとひっついて離れない。
「兄ちゃん、誰か来てるのか・・・・・・・」
そうこうしているうちに玄関の騒ぎに気づいた空がリビングから顔を出して真一朗を呼ぶが来訪者を見て絶句してしまう。
「お兄ちゃん、羽柴どうしたの・・・・相沢・・・・」
リビングの扉前で動きを止めた空を不信に思った直が空の後ろからひょいっと廊下を覗き見ると空同様動きを止めて意外な来訪者の名前を口にした
「おやおや、これはNo.013にNo.014ではないか・・・」
「・・・っ!何でてめぇがこんなとこに居るんだ!!!」
「ちょっ、羽柴落ち着いて・・・!!」
今にも相沢へ殴りかかりに行きそうな空を後ろから抱きつくことでなんとか阻止した直は自分よりも力の強い空を押さえつけるために懇親の力を込めて踏ん張る
「お前等に用は無い・・・用があるのは私のし・ん・ちゃ・んvvv」
「誰が誰のしんちゃんだ!!気持ちわりぃー呼び方をするな!この、離れろ!!」
背筋になんともいえない悪寒が走った真一朗は今度こそ本気で相沢を離しに掛かる
「聖夜を私と過ごすと言えば離してやろう、それまでは決して離さんぞ・・・」
リビングの扉の所から相沢を睨みつけていた空だが、2人を見ている間に湧き上がってきた怒りも収まり今は唖然とした様子で立ち尽くしていた、それは空を押さえていた直も同じで・・・むしろ相沢の執念に呆れているという感じだ
「つーかさ・・・兄ちゃん24日朝から職員会議だろ?」
空のその一言に相沢が動きを止める
「・・・・・・・・No.013・・・・・ワン・モア・プリーズ」
「だ・か・ら・・・12月24日は兄ちゃん朝から職員会議で夕方まで居ないんだろって言ってんだよ。」
聞き返してきた相沢にもう一度同じことを繰り返し伝えると真一朗に抱きついたままフリーズする
「・・・な、ならば夕方から夕食でもどうだ・・・・高級フランス料理を・・・・」
「あぁ・・・・夕方はみんなでパーティーをするから空いてないぞ、それにオレは高級フランス料理よりもビール片手に七海の料理がいいんだ。お酌をしてくれる可愛い可愛い空くんも居るしな。」
「な、ならばそのパーティーが終わった後の1時間・・・いや、譲歩して30分だけでもいい・・・・」
「パーティーが終わった後は空と甘い時間を過ごすから1分でも無駄にはできねーな・・・」
断られてなおも食い下がる相沢にとどめの一言を言い放つと完全にフリーズしてしまった相沢を引き剥がして玄関の外へ放り投げる・・・そして扉に鍵をかけるとチェーンまでもつけて厳重な戸締りをした
「・・・くっ、検体のくせに私の可愛い真一朗に手をつけるとは・・・No.013め・・・・・」
相沢はインターフォンを連打するがその扉がもう一度開くことは無かった
■□■12月24日□■□
朝、相沢はクリスマス・イブを微妙な気分で迎えた・・・
あのあと自分の息子、芥のところへと誘いに行ったが
『断る!』
の一言に一刀両断され、さらに芥の後輩であり相沢の息子でもある学にまで
『イブは芥と約束してんだ・・・ごめんな教授。』
と本当に申し訳なさそうな顔で謝られた。
だから今日の相沢の予定はまったくのゼロ・・・
「・・・研究所にでも顔を出しておくか・・・・・・・・」
ベッドから起き上がった相沢は気分も重い体を引きずると洗面台へ向かった
・・・・・ピンポーン
相沢が眠気も覚まし、ひげも剃り、ちょうど研究所へ行く準備が整った頃に突然来訪者を継げるチャイムが鳴り響く。
研究所への来訪者はあってもマンションの来訪者というのは少ない・・・また新聞の勧誘か何かかと顔をしかめて覗き穴から外を見るが真っ暗で何も見えない、つまり外側から指で押さえられているということで・・・相沢のマンションを知っていて尚且つふざけたノックをしながら覗き穴を押さえるような人物は相沢の知り合いの中では一人しか居ない・・・
「メリークリスマス♪」
扉を開けるとそこにはサンタクロースの帽子を被ってにこやかな笑みを浮かべる綾野が居た
「相沢くん、暇してるよね??僕と一緒にお出かけしよ♪」
「ふざけたことを言うな私は忙しい・・・・・・」
相沢は扉を閉めようと綾野から視線を逸らしたが・・・・
「真一朗にも芥ちゃんにも振られてるのに?」
綾野の台詞に思わずぐっと押し黙ってしまった
「なぜお前がそんなことを知っている・・・・」
「え、本当だったのぉ〜?」
綾野のニヤニヤとした笑みを見て自分が墓穴を掘ってしまったことに気づく
相沢は強引な綾野の誘いを断りきれず一緒にクリスマス真っ只中の街へ繰り出す事となった・・・・・
「やっぱり自分が後部席に乗るならロールスロイスだよね〜。うーん快適♪」
のんびりと座席に寝転びながらご機嫌な綾野とは正反対に向かい側の座席では相沢が不貞腐れた表情で肘掛にひじを置いて拗ねていた
「もー、相沢くんもそんな不景気そうな顔しないで・・・せっかくのイブなんだよ?」
「誰のせいだ・・・誰の・・・・・」
あくまでにこやかに話し掛けてくる綾野の言葉に反論するが・・・
「なに、僕のせいだって言いたいわけ・・・相沢くんひどいよ、僕はただこのイブを君と過ごしたかっただけなのに・・・・・・」
どこまでが本当でどこまでが嘘か・・・綾野はシートに『の』の字を書きながらイジイジとしはじめる・・・
「あのな、綾野・・・・」
「どうせ僕なんて解毒剤を作る機械ぐらいにしか思ってないんだ・・・」
「おい・・・・」
どんどんいじけていく綾野に声をかけようと相沢は手を伸ばしたが綾野の肩に触れる寸前で急に振り返った綾野にビックリして手を引っ込めてしまう
「相沢のために情報をリンクしたり色々頑張ってるのに・・・・僕の体だけが目当てだったんだーー!」
「誤解を招くような言い方はやめろ・・・!!」
涙目でキッと相沢を睨みつけながらすすり泣きのような声を上げてシーツに突っ伏する
「・・・・はぁ、分かった・・・もう分かったから泣くな・・・・」
とうとう綾野のぐずりに音を上げた相沢は頭を押さえながら綾野をなだめにかかる
「うぅ・・・ぐずっ・・・・・相沢、僕のこと・・・好き?」
「好きだ・・・だからいい加減顔を上げろ」
「・・・本当に?」
「本当だ・・・・」
これ以上長引かせると何が起こるか分からない、相沢は綾野の言葉に適当なレスを返す。
「・・・じゃあ、フラダとかロレックスとかも買ってくれる?」
「あぁ、なんでも買ってやるから機嫌を直して・・・・・・・・・・」
相沢が自分の失言に気づいたときは時すでに遅し・・・綾野は小さなボイスレコーダーをチラつかせながら相沢に満面の笑顔を向ける
「・・・・男に二言は無いよね?」
・・・その日相沢が綾野に使った(貢いだ)額は、いままでの最高記録を作ったという
世間一般では24日がクリスマスとして知られているが24日はクリスマス前日であって当日ではない・・・24日が駄目ならば25日に誘いに行けば良かったと相沢が気づいたのは25日の23時55分、ちょうどクリスマスが終わる直前だった・・・・
END
2003.12.16
『綾野ちゃん同盟』管理人:あきら
コメント
あきらさんから頂いたクリスマスSS第二弾!
相×真綾〜!!教授が可愛すぎです!私はこんな感じの話も大好きなので人様のが読めて本当に幸せv読みながら画面の前で爆笑してました。相沢さんが本当にオモシロキャラ!
クールな教授もすきですが、面白い相沢さんも好きです!天才じゃなかったらこういう性格になってたのかもしれないし…綾野と友達という設定だったら(苦笑)
綾野ちゃん最強ですね。何たって相沢をパトロンに使ってる辺りとか!
あきらさん、本当に素敵ぎなクリスマスプレゼントを2つも有り難うございましたv