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Precious Heart

  

 

 

あ、明日兄ちゃんの誕生日だ…。

夏休みに入ってから、オレと藤守は兄ちゃんのマンションに帰ってきていた。

と、言っても、生活自体は寮にいたときとたいして変わってねぇんだけどさ。

今日も朝のトレーニングを終わらせて、ベッドでごろごろしてたんだけどさ。藤守は広夢と出かけてていないし、七海ちゃんも事務所の方で仕事してる。兄ちゃんは学校で補習授業してるから、今はオレしかマンションにいない。

どうしよっか…。兄ちゃんになんかプレゼントでも用意しようかな…。

(いいんじゃねぇの? 真一朗なんかにプレゼントなんてやらなくても)

って、夜!! なんてこと言うんだよ〜。

(だって真一朗だし? そんなことに散財なんてすんなよ)

なんだよ、その理由は〜。

ったく、なんでそんなに兄ちゃんが嫌いなのかな〜。

(オレの空に手ぇだしたし?)

オ、オレのって……。いつオレが夜のモノになったんだよ!!

(そりゃあオレが生まれた瞬間から?)

っ〜〜〜〜!!!

もういいっ!! 夜なんかに構ってたら、ホントに買い物に行けなくなっちまうし!!

(お、なになに。空くんはオレよりも真一朗なんかを選ぶのか〜?)

そんなんじゃねぇって!!

ただ兄ちゃんには色々世話になってるし…。

ベッドから立ち上がった瞬間、夜は凄く不機嫌そうな顔をした。って言っても、顔なんて見えないから、気配がしただけなんだけどさ…。

(世話、ねぇ…。オレより真一朗の方が上手いって?)

なんの話してんだよっ!!

(何って…ナニ?)

ばっ…!! もー、いい!!

ちくしょー、夜のやつ、絶対オレをからかって楽しんでるだろ!!

こんなのに真面目に受け答えしてたら、絶対にオレが馬鹿を見るんだから、夜なんて無視してやる!!

(んな寂しいこと言うなよ)

……えっと、財布んなかにちゃんと金も入ってるよな?

よし、七海ちゃんに外出するから、って言ってこよー。

(空くん?)

と、鍵ちゃんと閉めないとな?

俺たち以外の人間がこのマンションに暮らしてないのは知ってるけど、さ。

んで、オレは夜の呼びかけをシカトしつつ、隣の事務所に入っていった。

「七海ちゃんいる〜?」

「あ、はい。何ですか、羽柴くん」

声を掛けると、奥のほうから七海ちゃんが顔を出した。

で、ちょっと不思議そうな顔をしてるけど、なんでだ?

「うん、ちょっと出かけてくるから。部屋のほう、鍵閉めたけどよかった?」

「はい。大丈夫ですよ。…いってらっしゃい、羽柴くん」

「うん、行ってくるなー」

七海ちゃんの笑顔に見送られて、オレはマンションを後にした。

(小学生じゃないんだから、いちいち了解なんて取らなくていいんじゃねぇの?)

なんだよ、夜…。

(お、冷たい反応…)

さて、兄ちゃんならどんなのあげたら喜ぶかなー。

(へー、空くんはオレのこと、無視するんだ?)

やっぱ、酒?

オレももう呑める年齢だし…。でもそれって誕生日のプレゼントか?

(そーら?)

もう、なんだよ、夜。オレ、考え事してるんだからな?

(そりゃあ分かってるって。空の考えてることなんてお見通しだし?)

じゃあなんだよ…。

(酒はやめとけ。あいつ、酒癖悪いじゃん? 空なんてそのまま食われちまうぜ?)

……う、否定できない…かも。

そうだよな、兄ちゃんて酔っ払うと誰彼構わずキスするし…。でも七海ちゃんもいるんだから大丈夫なんじゃない?

だいたい二人っきりにはならないんだし…。

(七海が真一朗の誕生日を祝う気配、あるのか?)

…………あ、ない…かも…………。

でも、兄ちゃんにあげたいし…。

くっそー、うじうじ悩むなんて俺じゃねぇ、ての!!

なるようななれ!!

(ったく、どうなってもしらねぇぜ?)

夜はそう言って、それっきり完璧に気配を消した。

ありがとな、夜。

 

 

結局、オレは昨日、ビールとジンジャー・エール、それに兄ちゃんのイニシャルが入ったドッグ・タグを買って帰った。

ビールとジンジャー・エールはカクテルを作るためなんだよな。シャンディー・ガフって言う、ビールをベースにしたカクテルで、簡単そうだから作ってみようと思ったんだけど…。

カクテルなんてよく分からねぇし…。

まあ、兄ちゃん、ビール好きみたいだから大丈夫だよな? 上手く出来なかったらビールだけ出せばいいんだし…。

「羽柴くん、私、これから仕事で外に出ますから、後のこと、宜しくお願いしますね?」

「え、ああ…。いってらっしゃい」

「真一朗にあんまりお酒、与えちゃ駄目ですよ?」

くすくす笑いながら出て行ったけど…、なんで?

(やっぱ食われちまうから、だろ? 空が誕生日プレゼントになんかになっちまうなよ?)

なっ!? なんだよ、それ!!

だいたい、まだ藤守もチビもいるんだから…。

「あ、羽柴。俺も今日は祭ちゃんのところに行く約束があるから…」

「へ?」

「チビもいく!」

はい…?

えっと…、みんな兄ちゃんの誕生日だって知らないのか?

「今日は泊まってくるから」

「あ、ああ…。うん、いってらっしゃい…」

「はしば?」

きょとん、とチビが見上げてくるけど…。いや、チビは知らないだろうけど…。

でも祭が知らないとは思えないし…。わざとか?

「うん、それじゃあね、羽柴」

「ばいばい、はしば〜」

チビと藤守も鞄を持ってマンションを出て行く。けど、これってちょっとまずくないか…?

オレ、兄ちゃんと二人っきり?

(いやなら出てくか? オレは賛成するぜ?)

ニヤニヤ笑いながら夜は言ったけど…。うぅ、いっそのこと寮に帰って…。

「なんだ〜、今日は空しかいないのか〜?」

「に、兄ちゃん…」

真剣に自分の部屋のほうを見ていたら、兄ちゃんが部屋から出てきた。

そういえば昨日は徹夜で仕事だったらしくて、朝は起きてこなかったんだよなー。

「えっと…兄ちゃん。お昼はどうする?」

「あ〜…、なんかあるか?」

「ないけど…食べるなら作るよ?」

って言っても、七海ちゃんみたいに美味いメシは作れないけどさ…。簡単なのなら出来るし…。

「空はもう食ったのか?」

「え? いや、まだだけど…」

「なら食いにいかね? ちゃーんと奢ってやるから、な?」

「えっと…」

兄ちゃんの奢りってのは魅力的だけど…。

(やめとけって)

夜?

(いーじゃん。このまま真一朗なんてほっといて、どっか出かけちまおうぜ?)

「空?」

「ぅわっ、兄ちゃん!」

夜と話してたせいで、兄ちゃんに抱きしめられてることにも気づかなかった。

「っと、オレの空に気安く触ってんじゃねーよ」

わ、夜!? なに勝手に出てきてんだよ!

バシン、って兄ちゃんの手を夜が払って、部屋に戻ろうとしたんだけど、兄ちゃんは不機嫌そうな顔をしてそれを遮った。

「オレの?」

「そ、オレの。あんたに空はやらねぇぜ?」

ちょっと待てって!! オレは誰のものでもないってば!!

(空は黙ってな)

反論すると、夜がプレッシャーを掛けてきた。

ってぇ…! やめろって、夜っ!!

「あんたの魂胆なんてお見通しなんだよ。わざわざ七海とらんたちを追い出しやがって」

へ? 追い出した?

(なんだ、そんなことも気づいてなかったのかよ…)

だ、だって追い出す理由が無いじゃん!!

でも、兄ちゃんを見ると、一瞬だけばつの悪そうな顔をした。ってマジ?

「祭にまで手を回しただろ?」

「ったく、オレの計画台無しにする気か?」

「当たり前だろ? オレ以外のやつに、空を喰わせるわけにはいかねぇし?」

なんか兄ちゃんと夜の間に火花が散ってる気がするんだけど…。いや、気のせいだよな?

夜にはらんがいるんだし…。

っていうか、なんてこと言うんだよっ!!

(オレは空のことも愛してるぜ?)

冗談言うなよ…。

(本気だぜ? なんなら証明してやろうか?)

絶対にやだ! そんなことしたら、二度と夜としゃべんねぇからなっ!!

(くくっ、オレは本気だぜ? なんたって、精神世界なら誰にも邪魔されねぇし? いいぜ、啼かせてやるよ、空)

「やだって!! 夜っ!!」

って、あれ? 夜?

(ちっ、最近強くなってきたんじゃねぇ?)

もしかしてオレ、夜を押しのけた?

(ちょっと油断しちまったか…。次はこうはいかねぇぜ?)

けど、オレが夜に気を取られてる間に、物凄く不機嫌な兄ちゃんに抱き上げられてた。

「っ、兄ちゃん?!」

「空くん? 夜になにをされたのか、ゆーっくり話し合おうな?」

「な、何にもされてねぇって!!」

にっこり笑ってるけど、兄ちゃん…、目、笑ってねぇぜ?

で、オレはそのまま、オレの部屋連れて行かれて、ベッドの上に投げ出された。

に…兄ちゃん?

「は、話し合うんじゃ…」

「話し合い、だろ?」

オレの服脱がせながら言うなー!!

慌ててシャツの裾を掴むと、兄ちゃんはその手を掴んで、頭上で一括りにして、何故かポケットに入ってたネクタイで縛って…って、なんでネクタイ?!

「にい…」

「邪魔はするなよ、羽柴…」

……………水都……………???

ちょっと待て、なんでここで水都になんだよ、兄ちゃん!!

「やだ、兄ちゃん!!」

「今は水都、だ」

だ、じゃねぇって!!

これまた何故か持ってた指示棒で、ひたひたとオレの頬を叩くんだけど…。

やだって…、これじゃあホントに夜の言ってたとおりになるじゃん!!

悔しくて目を逸らしたのがいけなかったのか、水都はオレのシャツを捲り上げて、オレの乳首に唇を寄せて…。

ちくしょー、夜のせいだからなっ!!

「たっぷりとお仕置きをしてやろう…」

ニヤ、て笑う水都が信じられなかった。

なんで水都にヤられなきゃなんねーんだよっ!!

 

 

……くそー、腰がだるい…。

「兄ちゃんの馬鹿…」

うわ、声も枯れてるじゃん…。

くそー、途中から記憶ねぇけど、なんか夜とヤったきの事とか、さんざん聞かれた気がするし、凄いよがったような気もする…。

オレ、今日はもう起き上がれないかも…。

「空、そんなによかったのか?」

「よくない…」

優しくオレの髪を梳いてるのは兄ちゃんだけど…。

恥ずかしくなって枕に顔を埋めてたら、髪に何度もキスをされた。

「ごめんな、空」

夜に嫉妬しちまった、なんて耳元で兄ちゃんは囁く。

「っん…」

けど、兄ちゃん…、耳元なんかで囁かれたら…。

「辛いか?」

労わるみたいにシーツの中に手を入れて俺の腰を撫でるんだけど、だから駄目だってっ!!

「ふぁ…にい…ちゃん、ま…って……ンっ!」

さんざんヤられてたせいで、まだ身体が敏感になってて、ちょっとした刺激でも…。

なのに兄ちゃんはオレの髪をくすぐったり、身体を撫で回したりして…。

「やめ…っ」

「空…」

「んんっ!!」

嘘っ、もしかしてまだヤる気?!

「にいちゃっ…も、無理…」

「まだ平気、だろ?」

腰を撫でていた手がオレの双丘を割ろうとした瞬間…。

「いつまで触ってんだよ」

ぎゅっ、と容赦無い力で夜が兄ちゃんの手を抓って、ついでにベッドから蹴り落とした。

よ、夜〜!!

(ったく、あんなによがりやがって…。そんなに水都なんかとやるのが良いのか?)

ちがっ…。

(覚悟しとけよ、空。水都なんよりももっとすげーの、してやるぜ?)

………マジ?

「オレは空とちと話があるから、起こすんじゃねぇぞ?」

「夜、また邪魔するのか…?」

「さっきさんざんヤっただろ?」

不機嫌そうに夜が唸ると、俺はそのまま夜のところまで落とされていた。

夜、伝言…。

(ったく、分かったよ…)

「っと、空があんたのためにわざわざプレゼント用意してあるらしいぜ? 机の上においてあるから、貰ってくれって。じゃあな」

言うだけ言って、夜はそのままシーツに包まった。

「直接貰わなきゃ意味ねぇだろ! 起きろ、空!!」

あ…兄ちゃんの声が…。

けど、その声も遠すぎて、もう俺の耳には届いていなかった。

ごめんな、兄ちゃん……。









コメント
海月かなえ様のサイトでフリーだったので頂いてきました。水都真一朗バースデー♪夜も登場で賑やかな誕生日ですね。読みながら自然と口元に笑みが浮かんできちゃいました。にしても空が可愛いですv兄チャンの為にカクテル作るなんて!
かなえさん有り難うございますv