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「羽柴、次の日曜日、開けておくように」 「え、あ…うん。けど、何で?」 今日の授業でやったプリントの採点の手伝いをしていたら、ふいに水都はそんなことを言った。 って、げげ、オレ、問5間違えてる…。な…直したら…バレルよな? 「ちょっと付き合え。…自分のプリントだからと、細工はするなよ?」 「う…。そ、そんなとこしねぇよ…」 ヤベェ、そんなにオレの行動って分かりやすいのか? はー、今回もあんま点数、良くねぇかも…。平均点、低くなれねぇかな…。また追試なんて受けたくないし…。 てかさ、オレだけ個人的に補習授業されるの、ヤなんだよな…。 水都と二人っきり、て状況…は今も変わらないけどさ、こう…指示棒持ってるときの水都は、危険度5割増し、て感じがしてさ…。何されるか分かんねぇじゃん? 問題間違える度に指示棒で…って、うわっ、オレ…、何思い出してんだろ…。 あー…、やっべー。オレ、絶対に今、顔赤いだろうなぁ…。 「…羽柴? 一体何を考えているんだ…?」 「っ! な、何でもねぇよっ!!」 慌てて水都から目を逸らしたけど、絶対にニヤニヤ笑ってんだろっ! くっそー、仕方ねぇだろ?! あんな恥ずかしいこと、放課後の教室とか、水都のマンションでヤられてんだからっ!! 「クク…。どうしたんだ、羽柴」 「自分の点数の悪さに落ち込んでんだよっ!!」 ニヤニヤ笑ってんじゃねー!! 水都はオレの横に立つと、くすぐるみたいにオレの耳元をいじりだした。 「やめ…っ」 「まあ、いい。それより早くそれを終わらせてしまえ。終わるまでは帰さないぞ?」 それなのに、水都は意外にもあっさりとオレから離れると、自分のディスクへと戻って、仕事を再開し始めた。 「そうそう。その程度の仕事を、私が他の仕事を終わらせるよりも早く終わらせられなかったら…、分かっているな?」 「お、横暴だー!!」 「イヤならば、口よりも手を動かすことだな」 おーおー、言われなくても分かってるよっ!! 採点だけなんだから、とっとと終わらせてやるっ!!
そして日曜日。 ちなみにあの日は、なんと水都よりも早く仕事を終わらせることが出来たから、すんなりと帰されたんだよなー。と言っても、寮のメシの時間はもう終わってたから、晩メシは水都に奢らせたんだけどさ♪ 学校の近くにあるラーメン屋でメシを食ったんだけど、運が悪いことに、うちの学校の生徒がバイトしてたらしくて、水都に見付かっちまってた。で、水都はそのままそいつを連れて学校に戻って行ったけど…。 オレのせい、じゃないよな? あんな学校の近くでバイトしてる方が悪いよな?! でも水都に捕まっちまうなんて、哀れなやつ…。 っと、まだこねぇのかよ、水都は…。 水都ってばさ、いきなり今日、10時に駅前に来い、て電話してきたんだぜ〜。 で、遅れたりしたら怖ぇーじゃん? で、一応10分前には来たんだけど…。なんか妙に見られてる気がするんだけど…。気のせいだよな…? 「なんだ、もう来ていたのか…」 ふいに背後から掛けられた声に、オレは振り返る。と、まぁ、そこには予想通りというか、オレが待っていた水都の姿があった。 「ご主人さまより先に来るとは感心だな」 「だーれーが、ご主人なんだ?」 「お前の飼い主といったら私しかいないだろう?」 「オレはペットじゃねぇ!!」 んだよ、ご主人様って!! ヤバイビデオの見すぎなんじゃねぇの?! 「…なんだ、その目は」 「あ?」 目…? 「反抗的な目だな…。そんなにペットがイヤなら、奴隷でも構わないんだぞ?」 「い、いい!! 奴隷よりはペットでいい!」 「ほう、そうか。自分から私のペットになると、そう言ったな?」 し、しまったー!! オレ、自分からヤバイこと言っちまったー!! クク、て水都がすっげー嬉しそうな目で笑ってやがるよ…。 「っと、こんなところで時間を無駄に過ごすことは無いな…。羽柴、車に乗れ」 顎でしゃくった先には、お馴染みの赤いポルシェ。って、嫌味だよなー、あの車…。 にしても、一体どこに行く気なんだ? 歩き始めた水都に追い付こうとして小走りに駆け寄ると、水都は満足そうに笑った。 「なぁ水都…」 「行き先については答えない。…まぁ、楽しみにしていることだな」 「……」 なんで言う前から分かってるんだ? じゃなくて、なんかすっげーヤな予感がするんだけど…。 ヤバイところなんて連れ込まれてりしないよな? 水都だって仮にも教師なんだし…。う…。凄く不安だ…。でも今更逃げても…。 「早くしろ」 「…分かったよっ!!」
で、つれて来られたのは映画館だった。 「へ…?」 「どうした」 「あ…、いや、水都って映画見るんだ…」 「私を何だと思っているんだ」 「何って…」 陰険、鬼畜、変態教師…、とは言えないな。てか、言ったら、このままUターンして、どこぞのホテルなり、水都のマンションなりに直行されそうだし。 「なぁ、それより何を見るんだ?」 「いいから、黙ってついて来い」 「もう、何だよそれ。さっきからずーっとそうじゃん」 「目的地には着いているんだ。ならばすぐに分かることだろう?」 ちらりと振り返ると、水都はすたすたと館内に入っていってしまう。 くそー、そうやれば付いてくるって思ってんのかよー!! って、ついて行くんだけどさ…。 あー、でも水都ってどんな映画見るんだろ…。なんか想像つかねぇかも。 アクションとか、恋愛映画は見ないだろうし…。 じゃあSFか? でも今SF映画なんてやってたっけ? まぁ、水都が言ってたみたいに、始まれば分かるよな。 でもワクワクすんなー。どんな映画なんだろ。 「楽しそうだな…」 「へ? そ、そんなことねぇよ!!」 くそー、まだライトが落ちてないから、思いっきり顔見られてたんじゃん!! でもさ、そうゆう水都だってなんか楽しそうだぜ? さっきからニヤニヤして…、う…、ニヤニヤ笑ってるって事は、あんまりいい事じゃない…かも…。 何でか知らないけど、水都は何故か最後列の真ん中に座った。 前だってまだ空いてるんだから、こんなに後ろに座ること無いのにさ…。そりゃあ、一番前ってのもヤだけど…。 でも、しばらくすっと、カップルとか、高校生くらいの奴らがどんどん入ってきて、前の方の席はほとんど埋まっちまった。 「そろそろだな…」 時計を確認しながら水都が言うと、館内にブザー音が響いて、照明が徐々に落ちていく。 スクリーンに掛かっていた幕が引いてCMが流れ出す。 あ、あの映画面白そうだなー。公開は秋かー…。 はー、金と時間があればきたいけど…。水都が許してくれっかなー? ちら、と水都の方を見たら、なんと水都はスクリーンではなく、オレの方を見ていた。 って、ええっ?! 「どうした?」 「な、なんでもねぇよ…。ほら、水都もちゃんと前見てろよ…」 「ふ…、そうだな。そろそろ映画のほうも始まるみたいだし…、な」 「あ…、ホントだ」 やば…、もうタイトル消えてるじゃん…。 「なぁ、水都…、これなんて映画?」 「さぁ、タイトルは記憶していないな…」 「はー、だってチケット買ったんだろ?」 なんだよ、それ。 「あいにく、フリー券を貰ってな。しかもちょうど二枚…。それでお前を連れてきただけだ」 うわ、水都らしいかも…。 てことは、水都もこれがどんな映画か知らないんだ。 えっと…邦画なのは確かだな。日本語喋ってるし、役者もちゃんと日本人だし。 で、結構人も入ってるから、面白い…んだよ…な? うぅ…、オレ、あんまテレビとか見ないから、役者見てもどんな映画が分かんねー…。祭がいればきっと分かったんだろうけど…。 って、なんだ今の!! なんか車の窓んところに、変な顔が…。 わわ、周りでも結構悲鳴が…。 「み…水都…? この映画のジャンル、知ってる…?」 「ん? ああ、確かホラーだったな…」 「…………マジ?」 ち、ちくしょー、なんでホラーなんだよー! これじゃあ怖くて見れないじゃん!! オレはこれ以上余計なものを見ないように、慌てて膝を抱えて、スクリーンを見ないようにした。 「どうした、羽柴。見ないのか?」 「み、見たくない…」 「クク、この程度のものが怖いというのか?」 くー、何だよその言い方!! 分かったよ、見てやろーじゃん!! オレは恐る恐るスクリーンに目をやった。 その瞬間、スピーカーと、館内から響く悲鳴と、スクリーン一杯に写った女の幽霊の顔。 「っ!!」 とっさに何かにしがみついた。 「っと…」 頭上から降ってくる声も、今のオレには届かない。けど、なんか苦笑するみたいな気配はした。 あれ、なんかこのにおい、知ってる気がする…。 「そんなに怖いか?」 髪を撫でられる感触に、オレはそーっと顔を上げた。 そしたら、苦笑を浮かべる水都と目が合った。 って、オレ、水都にしがみ付いたのかよっ!? 慌てて離れようとしたら、水都はオレの頭をぐっ、と掴んで、肩に押し付けた。 「水都…?」 「泣くほどイヤだったか?」 「う…うん…」 オレ、泣いてたのか? っち、そんなの水都に見られたのかよ…。 でも、なんか今日の水都は随分優しい気がする。なんだ、水都だってこうゆう風に出来るんじゃん。いつも鬼畜で変態って訳じゃないんだな…。 「このまま出るか?」 「いーよ。水都は見てるんだろ?」 「いや、この映画にさほど興味は無い。…悪かったな、羽柴ならホラーでも平気だと思ったのだが…」 「そっか…。ん、ありがとな、水都」 オレのためにしてくれたんだから、素直にお礼は言わなきゃな。 あと…、周りに誰もいないよな? 「んっ…」 「っ…! 羽柴…?」 「し、したかったんだからいいだろ?!」 くそー、顔が熱いぜ。 恥ずかしくなって水都の肩に顔を埋めたけど、すぐに顔を上げさせられて、オレがしたのよりも、もっと濃厚なキスをされた。 |
コメント 海月かなえ様から2つめのキリバンSSです!今回は「休日で空をからかう先生」をお願いしました!うは〜もうリク通りで嬉しすぎですv ホラー駄目っ子空クンがとってもカワユイ〜(誰だよお前…)そして自ら先生にチュだなんて萌えです!読んでて顔がニヤけてきちゃいます♪ 4と重なって載せるの遅くなってしまってすみませんでした。 本当にありがとうございました! |