05.ポニーテイル
「三つ編みはもうしないのかい?」
ポニーテイルにするため、髪を一纏めにしているエドワードの後からロイは声をかける。
「もしかして、似合わない?」
エドワードはゴムを唇で挟みながらロイを振り返る。
「いや、それはそれでとてもよく似合ってるよ」
言いながらエドワードの口からゴムを取ると、ロイはエドワードの変わりに髪を結ぶ。
エドワードの頬がほんのりと赤く染まっていのは本人には内緒にしておく。
「ただ、私はいつも三つ編みの君しか見ていなかったからね」
はい、できた。と言ってロイはエドワードの髪の毛から手を離す。
「…実はさ、三つ編みできなかったんだよね」
エドワードは鏡越しにロイの顔を見る。
ロイはエドワードの言葉にただうなずき返す。
「今は機械鎧だけど…その前は親父が作った義手だったんだ。けど、それは筋肉の動きを信号で送って指は動かせるけど、機械鎧のように神経を直接繋げて動かす物ではないから細かい所までは器用に動かせなかった」
「成る程」
「だからずっただ縛ってるだけ」
エドワードは振り向き少しはにかんだように笑う。
「私としては伸ばし続けてくれた事が嬉しいよ。君のこの金糸の髪は実はとても気に入ってるのだよ」
ロイはエドワードに見せるように、髪の房に唇を寄せる。
「っつ/////」
髪へのキス一つだけで、真っ赤に顔を染めて恥じらうエドワードにロイは愛しさが込み上げてくる。
「でっ、でも、今は機械鎧だから、三つ編みできるし!ロイが三つ編みがいいならするけど?」
エドワードは顔を左手でパタパタと仰ぎながら、機械鎧の右手を持ち上げる。
「いや、そんな事しなくてもいいよ」
だが、ロイはあっさりとエドワードの申し出を断ると、何か良い案が浮かんだのか楽しそうな顔を浮かべた。
「それよりも私が毎朝エディの髪の毛を結んであげればいいだけだし」
「へ?」
名案だとロイは一人頷いている。
「そうすれば、君は毎日髪を結わなくてもいいだろうし、私は愛しいエディの髪の毛に触れられる…互いにとっても良い事だろう?」
何だか物凄く丸め込まれている気がするが、エドワードも特に嫌なことではないし、むしろ少し嬉しいとさえ思ってしまっているので、コクリと頷いた。
そしてそれから、エドワードの髪の毛を結うのはロイだけになったのだった。
おまけ
「よっ、エドワード」
たまたまロイと一緒に買い物をしていると、後ろからヒューズが声をかけてくる。
ロイは今店の中で店主と値切りの交渉中だったりする(交渉等は世界が変わっても通用している)
最近、やっと想い人の花屋の店主であるグレイシアと付き合い始めたヒューズは以前と比べとても温かな雰囲気を纏うようになった。
それはエドワードのいた世界のヒューズと酷く似ていて、昔を思い出してしまう。
「元気にしてるか?」
片手を上げて笑うヒューズにつられるようにエドワードも笑みを浮かべる。
「元気そうで良かった…ん?エドワードお前髪がほどけてるぞ」
ヒューズはエドワードの三つ編みが解れかかっているのを伝える。
いつの間にかエドワードの髪の毛はポニーテールから三つ編みに変わっていた。いまではポニーテールの方が珍しいとも思える位ずっと三つ編みを続けていた。
「あ、本当だ…」
エドワードは三つ編みを左手で掴み解れかかっているのを確認すると店の中にいる自分の連れの名前を呼ぶ。
「ロイ〜」
「どうしたんだい?エドワード」
ロイは値切りが成功したのか紙袋を持って店から出てくるとエドワードに微笑む。
「これ」
エドワードは髪の毛を指でピンッとはじく。
「あぁ」
ロイはエドワードが何をいいたいのか理解し、手に持っていた荷物をエドワードに渡すと、ゴムを髪から取り去り髪をほぐし、また三つ編みを作っていく。
当たり前のようにエドワードはロイを呼び、呼ばれたロイもまた当たり前のように髪を結っていく。
「エド…もしかしてお前髪の毛しばれないのか?」
ヒューズは大人しくロイに背を向けているエドワードに訪ねる。
「いんや、別に三つ編みならできるけど?」
だが、エドワードからはあっさりと否定の言葉が出た。
「ロイが俺の髪を縛るって言ったから…そうだよな」
エドワードが前者をヒューズに後者とロイに向かって話す。
「そうだね」
ロイは結い終わったエドワードの頭に唇を落とした。
二人の様子にヒューズはもう何も言えなかった。
そして彼の中には、二度と二人でいる時は髪の毛が解れていても無視しようという教訓ができたのだった(笑)
END
コメント
エドワードの髪をしばるロイが書きたかったんです!(断言)
私個人の意見ではエドワードの三つ編みお気に入りですv
このお題は甘い話にしたかったのですが、ちゃんと甘くなったかな?どうも最近甘党と少し抜け出してしまったので砂糖の分量が分からなくなってきました(汗)
ヒューズとロイの会話が無いことに書き終わった後に気付きました(;゜)ウッ!いつか、やりたいです。嫁さん自慢対決(笑)