エイプリルフール
「今日はエイプリルフールかぁ」
きっかけはエブラの言ったその一言。
それを聞いて僕はとある事を思いついた。
いつも冷静すぎる男の顔を困らせてやりたいという計画を。
いつものように、クレプスリーの棺が置いてあるトレーラーに向かい、部屋の人物を起こしにかかる。
それが僕の手下としての仕事だからだ。
でも、正直この仕事はあまり好きではない。
何せ相手は寝起きがもの凄く悪いから。そう、もの凄く悪いのだ…機嫌が。
暫く時間が経てば全然問題は無いのだけど寝起きは最悪。できれば自然に起きて貰いたいのだけどその確率は10回に1回あるかないかだったりする。
「僕、今日限りでクレプスリーの手下やめようと思うんだ」
ニッコリと微笑みながら、ダレンは目の前にいるクレプスリーに告げた。
「何だって?」
一方、言われたクレプスリーは素っ頓狂な声を上げながら、目の前にいる少年をマジマジと見つめる。
「だから、僕、今日限りで、クレプスリーの手下を、やめようと、思うの」
一語一語、区切りながらダレンは先程よりハッキリとした口調で告げる。
実はダレンは今日が4月1日…つまり、エイプリルフールだという事を知っていたので、クレプスリーをからかおうと密かに計画をしていたのだった。
(だって、毎日僕ばからクレプスリーに驚かされてばっかりなんだもん!たまには仕返し位したってバチは当たんないもんね)
いつもダレンの考えが分かってるかの様に、クレプスリーはいつも先回りをしている。それは凄いと重う反面、何もかも自分の考えを見透かされているような気がしてちょっと腹ただしかったりする訳で…だから、ダレンは1日だけ許される「嘘の日」をここぞとばかりに利用した。
勿論、クレプスリーはもう少し時間が経てば今日が何の日だか分かるだろうが、それでも珍しく驚いた顔をしている目の前の男を見ることができてダレンはかなり満足だった。
一方、クレプスリーは寝起きがてらに告げられた台詞に大変ショックを受けていた。
『僕、今日限りでクレプスリーの手下やめようと思うんだ』
いつもの様にダレンが自分を起こしにきたのは同じ。しかも今日は満面の笑顔を付き。
思わずその笑顔を見て、可愛いとさえ思ってしまっていた所へいきなり目の前の少年が爆弾発言をしてきたのだった。
(我が輩は何か…したか?)
クレプスリーは昨日のダレンとの遣り取りと思い出すが、コレといって特に何も無かった。
昨日もちゃんとおやすみのキスだってしてあげたし、ダレンの機嫌を損ねるような事も言ってはいない。勉強だって、昨日に限りダレンは終始マジメに聞いていたのでクレプスリーが怒ったりする事もなかったのだ。
いくら考えても一向にダレンを怒らせるような事をしでかした事にクレプスリーは思いつかなかった。
と、なれば…ダレンは誰か師匠にしたいバンパイアを見つけたのだろうか?
正直いって、それはかなりショックだった。
自分が今まで基礎からバンパイアの理を教え込んできたのだ。それを途中から他の者に取られるというのは…やりきれないものがある。
クレプスリーはチラッとダレンを見ると、やはり先程同様、満面の笑みを浮かべているダレンがいた。
その笑顔を見てクレプスリーは小さく落胆した。
(きっとダレンは我が輩が快く承諾してくれるものだと思っておるのだな…だが、正直な話ダレンをこのまま手元に置いておきたい…だが…元はといえば我が輩が無理矢理手下にしてしまったのだ。ダレンにも選ぶ権利というのがやはりあるのだろう)
クレプスリーが頭の中で色々と考えこんでいるそんな中、ダレンは『クレプスリーを困らせた』という目的を無事達成した事に大変満足で思わず顔がニヤケテしまっていたりした。
ちなみに、その顔がクレプスリーに誤解を招いているという事を本人は全くもって気付いていない。
クレプスリーの考えなど露知らずのダレンは違う意味で困っていた。。
(そろそろエイプリルフールだって言った方がいいかな。何かもの凄く真剣に悩んでいるみたいだし…)
自分の世界に入り込み考えこんでいるクレプスリーを暫し見ていたダレンは本当の事を言おうと思い口を開ける。
「あのね、クレプスリー…」
「わかった。お前が別のバンパイアの元で学びたいというのなら今日限りで我が輩はお前の師匠を辞める。だが、一つ聞きたいのだが、一体誰の手下になるのかそれだけは教えてくれんかのぅ?」
ダレンの台詞を遮るかのようにクレプスリーは真剣な眼差しでダレンを見ると、ダレンの両肩を両手でガッシリと掴む。
「へ?」
一方ダレンはというと、ただ呆然としていた。
(え〜と…クレプスリー何言ってんの?)
「他のバンパイアといえばガブナー以外我が輩は会ったことないが、ガブナーの元にいくのか?それとも…まさか、お前バンパニーズの手下になるとか言うのではなかろうな!?お前をそんな子に育てた覚えはないぞ!いいか、ダレンそれだけは絶対に我が輩は許さん!バンパニーズの手下など、いくら半バンパイアだからといってもそれだけは…」
「ちょっと待った−−−−っ!!」
「!?」
ダレンの声にクレプスリーはピタリと口を噤んだ。
「……ダレン」
クレプスリーが恐る恐る名前を呼ぶとそこには、思いきり目の据わったダレンがいた。しかも背景はかなり黒いのは…きっとクレプスリーの見間違えでは無いはずだ(多分)
一方、名前を呼ばれたダレンはキッと思いきりクレプスリーを睨みながら、口元を歪ませる。
「…さっきから聞いてれば、何で僕がガブナーの手下になるわけ?別に僕誰の手下にもなる気はないけど…って、まぁそれは後でいいや…、それよりもどうして僕がバンパニーズの手下になるわけ?と、いうか何でそんな発想が出てくるの?クレプスリーは僕がバンパニーズになりたいとか思ってるワケ?」ダレンは一気に捲し立てながらクレプスリーに突っかかる。
「バンパニーズの事は…確かに、その…悪かった。だが、お前は誰の手下にもならないと言っていたがそれはどういう意味だ?」
クレプスリーもバンパニーズというのは言い過ぎたと思ったので素直に謝るが、ダレンの『誰の手下にもなる気はない』という言葉が思いきり引っかかった。
「もしや、…このままサーカス団の一員として暮らしていくのか?もしや、旦那が見つかったのか?誰だ?エブラか?それともコーマック・リズムか…それとも、大穴でハイバーニアスか?後は、ラムスか?ウルフマンはまず無いだろうが…」
また一人ぶつぶつと考えるクレプスリーの言葉にダレンはキレタ。
「サーカスの一員にもなんないの!大体なんで僕がお嫁さんなの…ってそんな事は取りあえず後回しにして、クレプスリーは何で気付かないの?今日は4月1日でしょ?幾ら200歳過ぎてたって一般的な世間のイベント位は知ってる筈でしょ?あ〜もう、何でこういう時に限ってクレプスリーって鈍感なんだろう。今日は4月1日エイプリルフール、つまり嘘を吐いても良い日だって事位分かっててよね!」
怒り大爆発で、ダレンはクレプスリーに向かって怒鳴り続ける。
「しかも旦那って…クレプスリー以外誰がいるわけなのさ。あんなに色々な事…僕にしといて…何で他の人の名前言うわけ!本当に最っ低過ぎ!」
思っていた事を全部吐き出して、ダレンは呼吸を荒く繰り返しながらクレプスリーを睨む。
暫く互いの間に沈黙が流れる。だが、先にその沈黙を破ったのはクレプスリーだった。
「……エイプリルフール?」
クレプスリーがポツリと呟く。
「そう!エイプリルフールだよ」
ダレンが相槌を打つ。
「つまりお前の言った言葉は、我が輩の手下を辞めたいというのは嘘…という事か?」
「だからそうだ……って、クレプスリー?」
クレプスリーがダレンの顎を持ち上げる。
「嘘だったとはなぁ…流石悪知恵が働くシャン君だけの事はある」
ニッと笑うクレプスリーにダレンの方が今度は焦る。クレプスリーが『ダレン』ではなく『シャン君』と呼ぶときは、からかい又は怒っている時のどちらかだという事を今までの経験でダレンは知っていた。
「なっ…そんな事で起こんないでよクレプスリー…イベントなんだし…ね?」
ダレンはクレプスリー に向かって、エヘヘと笑いながら後ずさろうとするが、クレプスリーに顎と同時に右肩を掴まれる。
「おぉ、そういえばエイプリルフールで思い出したのだが…本来エイプリルフールというのは4月1日の午前10時までの嘘を吐いていいと言われているな。しかし、今は午後の10時か…」
「…そんな」
クレプスリーの言葉にダレンの顔が一気に蒼くなる。
その様子をクレプスリーは楽しそうに見る。
(少しは仕返しをさせて貰わんと我が輩も割に合わないのだよ)
心の中でそんな事を思いながら、クレプスリーは更に続けていく。
「第一、バンパイアはとても高潔な生き物だという事を我が輩はお前に教えた筈だったが?嘘は恥じるべき行為だという事もな…まぁ付いた嘘を実行すれば話は別だが?」
「それは…」
クレプスリーの台詞にダレンは思いきり困惑する。
(つまり、僕はクレプスリーの手下を辞めないといけないって事…)
「僕…クレプスリーの側から離れたくない」
ダレンは言うと同時にクレプスリーの腰に思いきり抱きつく。
「だが、師匠を騙す手下というのはのぅ…」
頭の上でクレプスリーの溜息が聞こえてダレンは抱きしめている手に更に力を込める。
「僕、ずっとクレプスリーと一緒にいたいんだ」
(どうしよう…このままクレプスリーと離れて一人で生きてなんて無理だよぉ)
自分の悪戯心がここまで大きな事態になることなど全く予想していなかったダレンはどうしたらいいか分からなかった。ただ、クレプスリーにこのまま見放される事だけは嫌だった。
「…お願い…嫌いにならないで?」
ダレンは、目に涙を浮かばせながらクレプスリーを見上げる。
「シャン君は我が輩に嫌われるのがそんなに嫌なのかね?」
クレプスリーは不思議そうに言う。
「だって…僕クレプスリーの事大好きだから」
ハッキリとした口調でダレンはクレプスリーに告げる。
「なら、これからは我が輩をあまり困らせる事は言うのではないぞ。今回は特別…二度目は無いと思え」
クレプスリーはダレンを抱き上げて、目尻にキスを落とす。
「うん!」
(こんな嘘を毎年吐かれていたらコッチの身が持たん…)
内心そんな事を考えているクレプスリーの事など全く気づいてないダレンは嬉しそうにクレプスリーに抱きついていた。
互いに落ち着きを取り戻した現在。
ダレンは椅子に座っているクレプスリーの膝の上に向かい合う形で座っている。
「ごめんなさい」
「何に対してのだ?」
「…クレプスリーに嘘吐いたこと」
「他には?」
「他?」
クレプスリーの言葉にダレンはきょとんとする。
「我が輩にショックを与えたという事は入ってないのかね?」
盛大な溜息を吐くクレプスリーにダレンは大きな目を更に見開く。
「ショックだったの?」
信じられないとでも言いたそうに聞くダレンにクレプスリーは軽い眩暈がした。
「当たり前だろう。大事にしている相手に別れを告げられて平然としてられる訳無かろう」
「ごめんなさい」
「わかればもういい」
項垂れるダレンの頭をクレプスリーは優しく撫でる。
「ダレン」
甘えるようなその仕草に思わずクレプスリーの口から笑みが零れる。
「あのね、今日は僕ができる事なら何でもするからだから何でも言って」
「何でもか?」
「うん!だって僕がクレプスリーに悪い事をしたんだもん。だから今日はクレプスリーの言うこと何でも聞く」
「そうか」
少し俯きながら言っていたせいか、この時クレプスリーの瞳が妖しく光った事にダレンはまだ気付いていなかった。
また、ダレンは気付いていなかった。
エイプリルフールが午前10時までという決まりなど無いことに。
すっかり騙されて、オイシイ状況がやってきたクレプスリーはダレンには内緒で来年もまたこういう状況を作ろうと考えていたのだった。
終わっとけ…。
コメント
意味不明。エイプリルフールっぽくしてみたのですが、何だかバカップル…。この話一応ダレンとクレプスリーは肉体関係は有りです!ぶっちゃけコイビトドウシ(何故にカタカナ)この後、ダレンはクレプスリーにベットに運ばれて色々とされます。
〜おまけ・その後〜
「やぁ…っ、クレプスリー…っ」
ダレンはクレプスリーに跨りながら、目の前の男を見る。
「今日は何でもしてくれるのだろう?」
ダレンの両手で腰を撫でながらクレプスリーはニヤリと笑みを浮かべる。
「ほら、腰を降ろして自分で入れるんだ」
クレプスリーの言葉にダレンは諦めたように、ゆっくりと腰を降ろしクレプスリーのモノを飲み込んでいく。
「んっ、やぁぁ…ぁっ」
クレプスリーの両手が、ダレンの尻肉を左右に開くように掴んでいる為ダレンは難なくクレプスリーのモノを根本まで全て体内に収める。
「ふぁ…っ…く…るし…っ」
いっぱいまで広げられ、奥の奥まで突き刺されてダレンは苦しさに涙が溢れる。
「ダレン…」
クレプスリはダレンの唇に優しく唇を合わせると、腰を小さく揺らす。
「あぁ…っ」
途端、ダレンの唇から甘い声が漏れる。
それに気をよくしたクレプスリーは、下から腰を突き上げダレンの中を思いきり擦り上げる。
「ひゃぁ…やぁ…あぁ…ん」
ダレンは腰をずらそうとするが、クレプスリーにいつのまにか腰を固定されて、ダレンは自分ではどうする事もdえきなかった。
そしてそのままクレプスリーの与えられる快感にただ身を任せるしかなかったのだった。
ちょっと強制終了。長くなるのもどうかと思うので…。
大体、こんな感じかな。こんな感じでダレンはクレプスリーに夜明けギリギリまで色々とされて、その後一緒の棺で寝て翌日一緒に起きるという、ちょっと恋人らしい設定でもいいかな〜と…。
最後まで纏まり無い文ですみません。また。読んで下さいました有り難うございます。
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