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お料理 BAN BAN!!

バンパイアの手下である僕の仕事は「食事を作る事」だったりする。

とはいってもまだレパートリーは限りなく少ない。

何せ半バンパイアになるまで、料理なんて一度もしたことがないから。

それでも最近は少しだけど包丁にも慣れた。

クレプスリーと旅を初めてから毎日一緒に料理を作ってるか、初めは何度も指を包丁で切ったりして一大事だったが(そのたびにクレプスリーが舐めて治してくれたっけ)今では素早くとは言えないけど、ケガをしない程度に作業ができるようになったのだ。

そして今日、クレプスリーが目覚める前に僕は完璧なシチューを作ろうと密かに計画をしていた。

今まではクレプスリーと共同作業で作っていたけど、僕だってやれば出来る!という所を知ってもらいたい。

何より、好きな人の喜ぶ顔を見たいというのが一番の理由なのだけど。

まさか僕自身憎む相手であるクレプスリーに恋愛感情を抱くとは全く思ってなかったけど、惚れてしまったのだからこれはもうどうしようも無い事実。

だから、今の僕は『好きな人を振り向かせる』事に一生懸命なのだ!

少しでもクレプスリーの喜んでくれたら僕も嬉しいから…。

 

 

 

お料理 BAN BAN!!

 

 

 

「材料はこれで…よしっと!」

いかにも廃墟という表現にピッタリという家の、おざなりにもキレイとは全く言えない半分腐りかけた木のテーブルの上にダレンは大きな紙袋を慎重に置いた。

勢いよく置いたらテーブルが壊れてしまうという危惧をしての事である。

今日の明け方近くにダレンとクレプスリーはこの廃墟に着いた。幸いに周りは木々と雑草が生い茂っているので、あまり太陽の光を受けないこの家は昼間だというのに薄暗かった。

(クレプスリーにとってはいい場所だけど、僕にとってはちょっとというかかなり問題有りなんだけどな…)

ダレンは周囲を見回して小さく溜息を吐く。

「文句言ってもどうにもならない…か」

小さく愚痴りながらも片手にバケツを持ちダレンは近くの川に水を汲みに行くことにした。

 

 

片手に水を汲んだバケツを持ち、もう片方には木の枝を抱えてダレンは戻ると戸口の直ぐ側に荷物を置く。

そして、おそらく昔薪入れか何かに使われていたかもしれない、周りはレンガで積み重ねられた小さな空洞のある場所にダレンは持ってきた木の枝と、乾燥した落ち葉を入れる。

その後一端家の中に戻り、先程揃えておいた材料の入った紙袋と折り畳んである調理用具一式を持ってくきて袋の中に入っている野菜をバケツの水を使い表面の泥を落としにかかった。

野菜を一つ一つ、取り出してダレンは包丁を取り出すと倒れている大木の幹に腰を降ろと真剣な顔そしてジャガイモを取り出すと…皮をむき始めた。

………。

……。

……イタッ!

皮をむき始めて数十秒後、ダレンの親指の先からは赤い血が滲みだしていた。

「うぅ〜〜〜〜」

目に涙を浮かばせながらダレンはジンジンと響くような指先を唇に含んだ。バンパイアのように傷口は塞がらないが、元々あまり深くは無かったようで血は直ぐに止まった。

ダレンが野菜の皮を全てむき終わる頃には同時に指もまた切り傷だらけになっていた。

特に左手の親指が指先から根本まで無数の切り傷ができダレンの指は色々な意味で赤くなっていた。

「…何とか皮は剥けたからいいっか」

お世辞にも上手に剥けたとは言い難いが、皮の剥けた野菜を一口大に切り、折り畳んである鍋を広げててその中に材料を入れてた後水を入れる。

そして先程準備をしておいた薪の上に鍋を置きポケットから紙を火を出しライターで火をつけた。

紙に火が周り、枯れ木や葉に段々と火が付くのをダレンはぼんやりと見ていた。

(ここまでは何とかなった)

自分一人で下準備を出来たことにダレンは嬉しくなり、顔には自然と笑みが零れてしまう。

「後は入れて、混ぜてで完成だ〜」

鼻歌まじりの声でダレンは鍋の中をお玉で回し始めたのだった。

 

ここまでは取りあえず順調…でもお話としてはここからオチがあるという事を幼いダレンはまだ知らなかった(笑)

 

空はすっかり太陽が沈む時刻で、辺り一面真っ赤に染まっていた。

「もうこんな時間か」

周囲を見回しながらダレンはポツリと呟く。シチュー作りに夢中になっていた為、時間の事はすっかり忘れていたのだった。

ダレンは鍋を回す手を止めて背後にある、赤い夕日を見つめる。

(キレイ…)

そう思うほど、夕日はダレンの目に鮮やかに映っていた。目の前に広がる世界を全て赤く染める夕日は本当に鮮やかという表現がピッタリだった。

まるで別世界にでも行ったように思える程、目の前の景色はとても印象的だった。

ずっとこの景色を見ていたいと思う一方で、この夕日が沈めば自分の好きな人が目覚める時間だという事も思い出してダレンは背後の沈んでいく夕日から目を反らし、目の前にあるシチューの鍋を再びグルグルと回し始めようとした…のだったが。

「あぁぁぁぁぁっ!!」

絶叫が辺り一面に響き渡る。

「どうした!?」

と、同時に家の方から男が慌てて出てきた。

「そんな…せっかく……」

ダレンはお玉を持ったまま硬直していた。

「ダレンどうしたのだ?」

ダレンの絶叫を聞いて慌てて起きたクレプスリーは、目の前で脱力しているダレンの片にポンっと片手を置いた。

「クレ…プ…スリー」

「ダレン!?」

力なく振り返るクレプスリーを見上げるダレンの目の縁には涙が溢れて今にも流れそうだった。

クレプスリーはそんなダレンの表情を見て狼狽えるが、ダレンはクレプスリーの手から力逃げるように身を捩ると、バケツの中に残っていた水を燃える火に思いきり撒いた。

「…せっかく…せっかく…」

鎮火した火を見ながらダレンぶつぶつと何かを呟いていた。クレプスリーは寝起き早々様子のおかしすぎるダレンをみて軽く眉間に皺を寄せた。

「ダレン。我が輩にもう少し状況を詳しく話してもらえんか?」

クレプスリーは立ちつくしているダレンの腕を軽く引っ張り自分の方に躰を向かせようとした瞬間、ダレンの方からクレプスリーに思いきり抱きついてきた。同時にお玉が地面に落ちた。

「うわぁぁぁぁん」

抱きつくのと同時にダレンは声を上げて思いきり泣き始めた。

「ダッ、ダレン?」

自分に抱きつきながら泣き出すダレンにクレプスリーは思いきり焦った。

「どうしたのだ?何故泣いている?」

クレプスリーは泣きじゃくるダレンに理由を聞くが、ダレンは小さく首を振るだけでクレプスリーのスーツに更に顔を埋める。

クレプスリーはそんなダレンの背中を優しく宥めるように撫でて、子供が落ち着くのを待つことにした。

暫くすると、ダレンは落ち着いたのかおずおずという形でクレプスリーから躰を離すと、

「スーツ汚して……ごめんなさい」

小さな呟きのように謝った。見ればクレプスリーのスーツはダレンの涙と手で握っていたせいで濡れて皺になっていた。

「気にするな…それより何があった?」

クレプスリーはダレンの頭を優しく撫でると、腰を屈めて視線を同じ高さにする。

互いの視線が重なると、ダレンは頬を微かに赤く染めてプィっと横を向きクレプスリーから目線をそらした。

「ダレン」

クレプスリーに名前を呼ばれてダレンの躰がビクッと震えた。

「ダレン」

もう一度、今度は少し穏やかな声で名前を呼ぶ。名前を呼ばれたダレンはおずおずだが、とクレプスリーを見た。

そこには困ったような顔をしたクレプスリーがいた。

(何でクレプスリーがこんな顔してるんだろう?)

ダレンは目の前にいる相手を見て心の中でそう思っていると、左頬にひんやりとした感覚がが襲ってきて、思わず躰を強張らせる。

「我が輩に話してはもらえんか?」

ひんやりとした感覚の正体はクレプスリーの手だった。クレプスリーはダレンの頬を手の平で優しく撫でる。

撫でられていく内にダレンは躰から力が抜けていくのを感じていた。

 

「………怒らない?」

小さく、呟くような声がダレンの口から漏れた。

「それは内容によってだが……人間を傷つけたとかそういう話なのか?」

「そうじゃない!」

クレプスリーの台詞にダレンはすかさず反論した。

「なら理由はなんなのだ?」

理由が本当にわからないクレプスリーはダレンの頬を撫でながらに再度問う。

「……シチュー…作ったの」

再び泣きそうな顔をしながら呟いたダレンの台詞にクレプスリーは呆気に取られたという方言がピッタリな表情をしていた。

「一人で…作ろうと思って……だけど……とちゅ…ダメ……って、……ふぇぇぇ」

ポツリポツリと呟くダレンは語るが思い出したようにまた涙をボロボロ流れていく。

ダレンは両手で涙を拭おうとした途端、クレプスリーがその細い腕を掴んだ。と、思った瞬間ダレンはクレプスリーの腕の中にいた。

「つまり、お前は朝食を一人で作ろうと思ったのだな?」

はぁぁ…と盛大な溜息を吐きながら、クレプスリーはダレンの背中をポンポンと宥めるように叩く。

「うん…」

ダレンは小さく頷く。

「しかも…こんなに手を傷だらけにして……」

クレプスリーは背中に回した手をダレンの細く白い腕をそっと握り、自分の前まで持ってくる。

ダレンの白い両手はあちこち傷だらけで、赤くなっていた。クレプスリーはそんなダレンの両手を見て独りでに顔が強張る。

ダレンはそんなクレプスリーを見て、自分が傷を作ったせいで男がいらぬ治療をすることに機嫌を悪くしたと思い込んで、顔を俯かせた。

(また呆れられるんだろうな…)

心の中で盛大な溜息と自分の情けなさにダレンは嫌気がさす。

好きな人に迷惑をかけるのが一番辛い事い事だというのをダレンは毎回の事ながら思い知っていた。自分がもっと、ちゃんと一人で何事もそつなくこなせばこんな思いはしないのだと思ってはいても躰は中々自分の気持ちと同じ行動をおこしてはくれない。そんな自分自身にもの凄く苛立ちをダレンは感じていた。

「……迷惑かけて…ごめん」

でも、やっぱりクレプスリーに迷惑をかけるのには変わりないのでダレンは先に謝る。

「全くだ」

ハッキリと力強く言うクレプスリーの声にダレンは俯いたままビクリと躰を強張らせる。

ダレンは唇をキツク噛みしめる。

何だか見放されたようなその台詞を聞いて、再び泣きそうになるのを何とか唇を噛みしめて耐える。

「ごめ……なさい」

消え入りそうな声でもう一度謝るが、声が少し震えてしまう。

見捨てられはしないだろうけど、見放されたらどうしようという気持ちがダレンの中で大きく育っていく。このまま本当に嫌われてしまったら自分はこれからどうやって生きていけばいいのか、ダレンには全く考えられなくて、だけど本当に見捨てられたらどうしようという気持ちがどんどんと膨らんでいく。

「………僕のこと……きらわ…な…でっ…」

ダレンは顔を上げてクレプスリーを見ながら小さな声で必死に訴えた。

 

何度も『嫌わないで』という台詞を泣きながら呟く目の前の子供を見てクレプスリーは戸惑うが同時にとても愛おしいと思える気持ちが自分の中で芽生える。

「何故我が輩がお前を嫌う?」

今まで腕を掴んでいた手を子供の両頬に添えると、親指で涙をぬぐってやる。

両目を赤く腫らした子供はキョトンとした表情で自分を見るので、思わず笑みが零れてしまう。

「自分一人で何かやろうと思うことは決して悪いことではない。まぁ…あまり無理な事をするのは関心できんが、一人で朝食を作ろうというのは我が輩は良い事だと思うが?」

幼子に言い聞かせるように穏やかな口調でクレプスリーはダレンに言う。

「でも…失敗したよ」

目線を足下に落としながらダレンは言う。

「初めてやることに誰もが成功するとは限らんだろう。むしろ失敗する方が我が輩の経験上多いぞ」

堂々とした声でそう言えば、ダレンは顔を上げてクレプスリーを不思議そうな顔で見る。

「クレプスリーでも失敗するの?」

小首を傾げながら以外そうな顔をして見るダレンにクレプスリーは小さく頷く。

「勿論だ。我が輩だって失敗はしていたぞ。今はもう100年以上色々と経験を積んだからそれ程失敗はせんが……だからもう…泣くな。ダレン」

言いながら、クレプスリーはダレンの頬にそっと唇を落とし、目尻に堪っている涙を舌先で優しく舐め取る。

「!!」

ダレンは目を大きく見張ると、次の瞬間顔を耳まで真っ赤に染める。

クレプスリーはそんなダレンの可愛らしい反応に気をよくして、反対側の頬にも同じように口付けをし、涙を舌で拭う。

「残るは指だなだな」

ダレンの耳元で囁くように言うと、クレプスリーはダレンの両手を優しく握り、そのまま口元に持っていくとペロリと傷口を舐める。

「ッツ!」

ピクンと躰を振るわせるダレンの反応が可愛らしくて、クレプスリーはわざと音を立ててダレンの傷口を舐める。

「クレ…プスリー……な…に…?」

いつもと違う治療方法にダレンは困惑気な表情を浮かべながら目の前にいるクレプスリーを見る。

「いつもと同じ治療だが?」

「んっ」

口の中に指を含まれたまま話されてダレンは思わず声を上げてしまう。

そんなダレンの反応に気をよくしたクレプスリーは、今度は指の付け根から指先までねっとりと舌を這わす。

その間ダレンはビクビクと、小さく躰を強張らせてながらクレプスリーの治療を受けていた。

 

 

ようやく指先から傷が消えてクレプスリーが指から顔を離すと、ダレンは安堵の息を吐いた。

「これで…よしと」

クレプスリーはダレンの両手の平を見ながら満足気に頷く。

「ありがとう」

ダレンは顔を上げ、微かに赤く染めた頬のままクレプスリーに礼を言う。と、一瞬目の前が真っ暗になり次に唇に温かい感触が落ちてきた。

「!?」

自分がキスされたと気づいたのはクレプスリーが顔を離してからだった。

「なっ、クッ…クレッ…」

頭が真っ白になって、顔がもの凄く熱くなって、心臓が飛び出してしまいそうな程ドキドキして、ダレンは口をパクパクとさせた。

そんなダレンを見てクレプスリ思わず吹きだす。

「努力賞だ。次は功労賞を狙ってもらいたいもんだな」

笑いながらクレプスリーはダレンの頭をポンポンと軽く叩く。

「さぁて、手下が作った初めての記念すべきシチューを頂くとするか」

クレプスリーはそう言いながらシチューの入った鍋の所まで行き中を覗く。

「……これはもう温めない方が良いだろうな」

ボソリと呟くクレプスリーの声が聞こえたが、僕は無視してクレプスリーに押しつけるように皿を渡したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

結局僕の初めての一人料理は失敗に終わった。

シチューは焦げてしまってとても美味しいとはいえない出来になってしまったけど、クレプスリーは全部食べてくれた。

そして『次はもっと上手に作れるようになってもらいたい』と言ってくれたから、僕はとっても嬉しかった。

今度は成功して、ちゃんと“美味しい”って思えるシチューを食べさせてあげたいな。

だけどその前に包丁でケガをしないようにしないと…。

クレプスリーは僕の手が傷だらけになるのは嫌だそうだ。

まだまだ僕は一人前になるのは時間がかかりそうだなぁ。

明日もまた頑張ろう!

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント

無駄に長くなったかも…しかも甘々。書いている自分自身、砂糖の分量間違えてしまった気分でいっぱい。おまけに登場人物が別人すぎてもう何も言えない。特にクレプー…オヤジ入ってるし。文中にオカシナ点がありすぎですが突っ込みは無しでお願いします(汗)シチューですが作り方適当です。私はシチュー嫌いで自分から作る事は一切しないので正直作り方知らなかったり…カレーと似てるのかな?

タイトルは昔4時台にとある2人の女優がやっていた料理番組。今は朝に移動したらしいですが見てないのでわからない。NHKの子供向けとどっちにしようか迷いながらこっちのタイトルに決めました。

こんな話ですが、読んで下さってありがとうございますv




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